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[改稿版] 白黒神の勇者召喚陣  作者: 三価種
2章 アークライン神聖国
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37話 アークラインのギルド

「あれがギルドで合ってるの?」

「あってるよー!書いてるでしょ!」


 え? ……あ、ほんとだ。入り口の上に『冒険者ギルドアークライン支部』って書いてある。でも、ギルドのイメージと合わないなぁ…。普通、ギルドって失礼だけどもっとこう……小汚いものでは?



 なんであんな綺麗なの? 白亜の壁の上に筆記体っぽい綺麗な筆跡で輝く黄金色でアークライン支部という文字が躍っている。どう見ても高級ホテルとかそんな風格。プラス方向で周囲から浮いてる。



 いやでも、外面だけかもしれない。中に入るか。



「さー、入るよー。悪いけど馬さんは入れないこともないけど、邪魔だから外ねー」


 入れないこともないのか。まぁ、大きめの入り口が看板の左右にあるもんね。中でぐるり回って出てくるくらいなら出来そうだもん。でも、確かに邪魔だし、外だよね。



「馬車置き場に連れてって?」

「そこ止めてー」


 ん? あれ? 目がおかしくなったかな? 指をさしているの思いっきり道の端っこなんだけど?



「どうせすぐだしー!」


 困惑してたら追撃が。それでいいのか。それって違法駐輪を招く論だぞ? 仮にその人はすぐ出て行っても、それ見て止めた人がすぐに出て行くとは限らないもの。



「むぅ、信頼ない?大丈夫!ブルンナが保証してあげる!」


 ブルンナの保証だから猶更不安ってのは言わない方がいいんだろうね。可哀そうだ。



「では、いざ!」


 何がどういうわけかわかんないけど、ブルンナは中に突っ込んでいった。まだ端に寄せてすらないのにね。はぁ。



「セン、悪いけど隅の方で待ってて」

「もし、邪魔とか言われましたら、周囲の人の鼓膜を破らないようにしながら、鳴いていただけると嬉しいです」

「ブルッ」


 わかった! かな? まぁ、頷いてくれたし、青い目に「?」って浮かんでないし、大丈夫でしょ。



 さて、中……もめっちゃ綺麗。マジで、外見も中身も冒険者ギルドって聞いてイメージするのと乖離しまくってる。



 酒場みたいなのはどこにもなくて、教会っぽくみえる。宗教国家にある支部だからと言われれば、まぁ分からなくもない。けれど、職員さんはそろいもそろって聖職者っぽい恰好か、騎士さんっぽい恰好をしてるのとか、ステンドグラスが天井についてるのとかは行き過ぎでは…?



 挙句、普通の冒険者っぽい人も全然いないし。お仕事で出払ってるのか、この人らがそうなのか…。さすがに前者だろうけどさ。



「…ねぇ、ブルンナは?」

「「え?」」


 ブルンナ? 先に入って行った……はずだけどいない。またか。でも、やることは変わらないし……うん? なんか職員さんがめっちゃ手招きしてる。俺ら以外に彼女の視線の先にはいないから、俺らで合ってそう。だけど、何の用だろう?



 とりあえず、呼ばれているなら近づこう。



「俺らをお呼びですか?」

「お呼びです!」


 メッチャ食い気味。少し引いてしまうくらいには。だけど、彼女はそんな俺らに目もくれず、次の言葉を放った。



「早く早く!あ!!」

「部屋の用意は出来ていますわ!」

「さっすがぁ!さぁ!こちらです!」


 口調がお嬢様っぽい人がいるけど、話しかけてくれてる人は聖職者っぽくない元気さ。とはいえ、なんか焦っておられるっぽいからそのせいかも? さっさと行こう。



 部屋に入ってもやっぱり綺麗。ガワだけ綺麗とかそんなオチはなかったね。



「お座りください。あぁ、別に皆様が何かなされたというわけではありませんので、気楽にしてください」

「了解です。じゃあ、適当に座ろ」


 放っておくとアイリは立っとくって言いかねないから、鎌を強だt……あ。いや、でもなぁ。立てかけておいても、見えないところで弄られるとよくないな。



「警戒されていますか。であるならば、立ったままで構いません……と、いいますか、今の時点で、こちらが確認したかったことは確認出来たも同然ですね」


 ? 一人で納得されてる。ちょっとよくわからない…。



「あぁ、すみません。確認したかったことは、この街が現在、危険であることを認識されていますか?ということです。皆さん、黒髪でしょう?」


 あー。なるほどです。



「俺らが今現在、この街がどうなっているかの現状を知らずに来たのかもしれない。そう思ってくださったのですね。ありがとうございます」

「ですが、ご安心ください。私達はちゃんと、エルヌヴェイ教となのる集団が怪しい動きをしていて、ひょっとしたら私達が黒髪という理由で狙われるかもしれない。ということは認識しております」


 俺らが答えると彼女はほっと息を吐いた。



「そうですか。であれば、何故こちら(ギルド)に?皆様であれば、貴族街におられました方が、安全上、よろしいかと思うのですが…」


 なんかいきなり丁寧になった!? いやまぁ、黒髪だし、そういう情報ちゃんと持ってるしで、貴族では? って思われたのだろうけれど。



「それはですね、ブルンナから依頼を受けまして」

「え」


 ? 何故に「え」? 



「えーと、ブルンナ様からですか?」

「えぇ、ブルンナからです」

「落ち着いて、落ち着くのよ。私。ブルンナ様が呼び捨てにされていても、あの方なら普通に、あり得ることよ。えぇ、普通にあり得ること。この人たちに悪意はない…」


 独り言がでかい。何で後ろ向いて、顔を椅子の方に近づけてるのに、聞こえる声量で早口でぺらぺら言ってるんでしょう。しかも、受付嬢をされてるからか、早口でも普通に聞き取れちゃってるし。



「えぇ、そうよ。知っていたらカチェプス教皇猊下の妹様にそんな口ぶりをされるはずがないもの…」


 正解です。知りませんでしたね。今、知りましたけど。やっぱブルンナ、偉い人だったんだな…。そんな立場の人間がほいほい出歩いてるのはヤバイ。



 まぁ、知っても態度は変わらんけど。怒られたら止めよう。



 てか、貴族街と平民街の間にあったあのクイズ、教皇猊下が用意してたのか。教皇猊下なんてやってたら暇じゃないはず。……教皇猊下、ブルンナのこと好きだな?



「あれ?でも、私の記憶の黒髪の貴族リストの中にはこのお三方はなくて……。ブルンナ様がご依頼なさったなら腕の経つ方々のはず。でも、ギルドの冒険者で強い人の中にお三方はいなくて……。であれば、野良の強い人か、勇者様では?」


 独り言が長い。勇者様ってのは合ってる。合ってるけど、正解とか言わないよ。振り回されても嫌だし、まだバシェル近いし。



「うん?でも、勇者様だとすると年齢が…。勇者召喚したとは聞いていますが、同年齢の人たちって言ってたはず。なら、お子さんがいるのはさすがに変では?お子さんが12くらいだとすると、親御さんは25-27くらい…。あ。そういえば平均年齢は17とか言ってたような。じゃあ、勇者様ではない?」


 本気で長い。声をかけた方がいいかな? でも、こういう思考は打ち切っていいものか…。



「あれ、でも、あのお子さんはどこかで見たような気がする」


 あ。察されちゃうか? 見たことあるのはおかしくないしねぇ。アイリはルキィ様の近衛だった。だから、アイリがルキィ様に付いて回っていて見ているってことは十分あるはず。うん? なら、ブルンナと面識あってもおかしくないよね?



「「アイリ(ちゃん)?」」

「…ん。ないよ。聖堂に入ってないし、ブルンナもこっちには来てないはず。…人間領域最大の国の王族相手に、さすがにわたし達を相手するみたいなことは出来ない」


 察してくれた。ありがと。なるほど、ないのね。…まぁ、あったらブルンナが言ってるか。お子さんじゃないでしょ? って言えるし。いやでも、言ったら逆鱗に触れるってわかってるから言わなかった説もあるな。



 アイリは見てなくても、ブルンナは見てるとかありえるし。あの神出鬼没さ的に。



「であれば、あの子は付き人で、お二人だけが勇者?正直、25-27でも18でも、そんな変わらない……わけがないね」


 です。さすがに27と18は違いすぎます。もっと大人なら兎も角、28だとして9歳って、9/28 = 0.328…くらいだから、差は33%もあるんですよ?



「うーん、ま、どっちでもいいか。いや、よくない。よくないぞ……。勇者様をガン放置してたってなったら死ぬしかない。であれば、この人たちは一般人。なら、ド不敬だけど、心に留めておかないとね」

「いや、一般人でも駄目でしょ。ミーア」

「ブルンナ様!?」


 ブルンナの言う通り。一般人相手でもちょっとやばいかなぁ。



「何が駄目…あ、はい。分かっています。放置時間が長すぎたということですよね」

「後、三人に身分明かしてないのに明かした。それと、三人は勇「「違(います)」」…ちっ」


 うわっ、舌打ちした。でも、勇者じゃないって言ってるのに人がいる場面でそれをなおしようとしてくるのは嫌いだなぁ。それだけ、ブルンナもなんか嫌な予感してるんだろうけどさ。



「とりあえず、すみませんでした」


 深々と土下座する受付嬢さん。こんなとこにも日本文化があるのね。



「いえ、お気になさらず」

「です。ちょっとアレな面はありましたが、私達を気にかけてくださったという事実がありますので」


 フォローしたけど、差し引きでマイナスに突っ込んでるけど。



「すみません。では、皆様のご用件は何でしょう?」

「今、この街で流行りつつある新興宗教についての情報が欲しいなと」

「承知いたしました。それでしたら、資料がありますので、取ってきますね」

「「お願いします」」


 なんか急にまともになった。「ブルンナ様から聞いていないんです?」とも聞いてこられなかったし…。まともな時とそうじゃないときの落差が酷いな。てか、ブルンナ……あ、うん。いないか。



 ほんと、何がしたいんだあの子。



「お待たせいたしました。こちらが資料です」

「ありがとうございま……うん?」

「どうされました?」

「あの、全部こちらによこして大丈夫です?」


 四季が聞いてくれた。だよね、持ってきた資料、全部こっちに渡して喋れますか?



「はい。重要案件ですので、この件は暗記していますので」


 当然という顔で言う受付嬢さん。ほんと、落差が酷い。



「と、いいましてもこちらもブルンナ様方とほぼ同じ情報しかありませんね。さすがにこれを共有しないのは……ね?」


 ですね。一応、中立的な組織といっても、無視は出来ない。しかもそれが人間領域で最大の勢力を持つ宗教ともなれば。



「それでも、お願いいたします」

「勿論です。チヌヴェーリもエルヌヴェイもともに、比較的最近、台頭してきた宗教ですね。本部はこの街のちょっと奥まったところに向かい合ってあります。仲悪いのに」


 え。



「仲悪いのに、向かい合っているのです?」

「ですです。ですが、順序が逆です。同じ時期に教会を立て始めて、完成したのもほぼ同時の約2カ月前。そんなのだったので、相手のことが気に入らないのでしょう」


 てめぇ、何建ててやがる! ってか。アークライン側からすれば「お前が言うな」だけど。



「勝手に若干、ギスギスしてくれているのはこちらにとっては運が悪いのか、いいのかはわかりませんが…」


 ですね。それがなければ落ち着いてた……わけないか。こんなとこ(世界的宗教の聖地)に教会ぶっ建てる時点で…ねぇ。



「ただ、どちらも信者っぽい人の増える速度が異常ですね。さすがにアークラインに聖地を置いた宗教なんてなかったので、比較はできませんが…。ただ、明らかに邪なものを侵攻対象にしている分際で、既に村クラスの信者はいるみたいですね」

「村ってどれくらいですか?」


 村って結構、人数に幅がある。ほんとに限界集落みたいなとこはちっさな集落に20人くらいしかいなかったりするもの。



「両方合わせて100人ですね」


 多いのか少ないのか微妙なところ。けど、このアークライン自体はそんなに大きな街じゃないから、多いと言えば多い。



「教会を建てた時って何人くらいだったのです?」

「両方で10人ですね」


 となると90人増えたのか。2カ月で90人。日本でなら増えてもおかしくなさそうだけど、こっちだとちょっとやばいか。あっちでも大差ないかもだけど…。



 でも、日本みたいに無宗教人が多いわけでもない、というか、聖地とかいうガッチガチの場所でそれってのはやばそうな気がする。



 そしてそれもやばそうだが、最初の10人……半々だとしたら5人か。それでアークラインっていう超一等地に土地を買って、教会を建てれるのもやばい。どこからお金を持ってきた?



「教祖とかの情報はないんですか?」

「捜査中なので、ないですね。たまに教会の屋上から互いに罵り合っていたり、信徒が激突したときになだめようとして激突したりしているのをよく目撃されています」


 一文で矛盾するのやめてください。たまによくってどっち。まぁいい。捜査中…ねぇ。



「となると、建設費用の出所も不明な感じでしょうか?」

「ですね。奥様の言う通りです」


 商会がバックにいるとかではないっぽいと。うーん、捜査能力がどこまであるのか分からないけれど、これ、ここまでスカスカだと一切バックボーンのない奴が、魔法でごり押しした可能性もあるか? なら、くっそ怪しいチヌカとかいう存在がいるな。フーライナに続いて、こっちでも噛んでるか?



「建設会社を洗ったりはしていますか?」

「出来ていませんね。どうも会社の社長はそれぞれの信徒のようで……、協力を拒まれています。強力を受け入れてもらえなければ、我々は犯罪捜査組織では残念ながらないので…」


 考えている間にも四季が話を続けてくれた。



 捜査権限がないから違法と。なら、体制側であるブルンナ達も出来てないな。体制側は証拠がなければ動けない。



「会社が支払いに使ったお金を分析するとかはしていますか?」

「どこに払ったのかもわからないので…」


 出来ないと。ま、もし出来ていたとしても現代日本の紙幣みたいな偽造防止技術があるわけでもなし。偽物って分からない可能性があるからなぁ…。



「であれば、街の人からの印象はどうですか?」

「今のところは「街の評判下げてるくそ野郎ども」ですね。実際、両方ともたびたび衝突をおこしていますから。捕まえようにも、両方とも騎士とかがくると逃げてしまいますし…。教会に逃げられるとどうしようもないんですよね。物損とか他の人が怪我しているとかもないので。ただ、」


 ただ?



「基本的に黒いのが白いのに絡みに行くので、白いのの方が印象は若干いいです。どんぐりの背比べですがね」


 それでも、白いののほうが印象いいのか。白いのが黒いのを飲み込むとかそういう展開もあるか? あ。そういえば。



「黒髪が危ないとかはどこから出てきたんですか?」

「両者の激突ですね。根も葉もないうわさと言えばそうなのですが、エルヌヴェイ教はエルモンツィの復活を掲げています。そして、しばしば実際に、黒髪の人が襲われているのです」


 実害出てますやん。なら、エルヌヴェイ教はしばけるのでは? そう思ったのが伝わったのか、受付嬢さんはさらに言葉を続けた。



「ですが、犯人は捕まえても聖印などの直接のつながりを示すものを持っていませんので…。ただ、ここ数日、誘拐未遂や誘拐事件の数は増えています。そして、その中で髪が黒または夜に黒に見える色である確率はかなり高いです」


 状況証拠しかないと。…これはさっさと片付けないとこっちに被害が出かねないな。

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