10話 服
「…謎すぎる」
「だねぇ…」「ですねぇ…」
本当にそれしか言うことがない。俺が四季のを、四季が俺のを選んだらちゃんと似合っていた。自分で自分のを選んだ場合、散々だというのに。
「習君はこういうのが好きなのです?」
「ん?四季に似合うのを優先した。でも、四季の思い?的なものも汲んでおいた」
二つが綺麗な四季なら、よっぽどのことがない限り似合う落ち着いたシックなもの。
一つがスポーティなもの。希望してるかどうかはわからないけど、さっきの却下セット中にかっこいのがあったから入れた。軽井沢でテニスしてるお嬢様風。
最後がかわいいもの。超かわいらしいものは四季には少し幼すぎて合わない。でも、ほどほどにかわいいもの…花が一輪あしらわれているとかであれば、いける
「なぜ可愛らしいものがワンピースなのです?」
「そうしないと着ないと思ったから」
可愛いものを着たい気持ちはあるんだろう。実際、選んできたのは可愛らしいものだったし。でも、似合わないことが多いから綺麗系な服を着る割合が高かったはず。その経験から他に選択肢があれば無難に綺麗系を着そう。それを防ぐ。
ズボン以外を履きたい!となったとき、ほかにズボン以外のものがなければ可愛らしいワンピースを着るしかない。そういう魂胆。
「な、なるほど…。でも、似合わないのでは?」
「大丈夫。似合うよ。アイリもそう言ってくれてるでしょ?それに俺が、四季が着てるところを見たい」
きっと可愛らしくて綺麗だろう。
「いやなら綺麗なのに変えるけど?四季なら落ち着いたワンピース…白か水色か薄緑のに麦わら帽子を合わせたら絶対綺麗だよ?」
夏の海辺にいるきれいな女性。感じとしてはそうなるだろう。
「い、いえ。これでいいです」」
照れているのか四季の顔が赤い。…改めて振り返ってみれば、俺、かなり直接的に褒めてる。…そりゃ恥ずかしい。俺も今になって恥ずかしい。
「しゅ、習君は何かないのです?」
「俺?ないよ?」
一般的に男子は服に無頓着。服を気にする人はするけれど、俺はない。その上、自分で選ぶ服のセンスは壊滅的で誰かに頼まなきゃダメ。そうなれば輪をかけて服に興味がなくなる。
「そ、そうですか…」
「だから、四季を信頼して着ることにする。迷惑をかけるけど、お願いね?」
「は、はい。わかりました。習君もお手数ですが、お願いしますね?」
うん。任された。さて、あとはお会計……ん?何か忘れているような?
「…下着」
あ。忘れてた。
「習k「さすがに嫌だよ?」ですよねー」
ていうか、誰かに見せるわけでもないんだから、変でもいいでしょ。
「それはそうなのですけど…ね?」
こてっと首をかしげて「ひょっとしたら習君が見るかもしれないのですから、変なものは嫌です」なんて続けそうなことを言う四季。
たぶん俺の思い上がりではない。だけど…、
「…お母さん。わたしのも」
「あ。了解です。習君。下着は擦れたりして痛いと困りますので、ちゃんとしたもの選んでくださいね」
俺が何か言う前にアイリに引っ張られて行ってしまった。今のは明らかに、どう反応していいかわからなかった俺へのアイリからの助け舟。
はぁ、俺は何をやってるんだろう。好いている子に思わせぶりなことを言わせて、挙句、娘に助けられるなんて。でも、万一、失敗するとこの関係を続けられる気がしない。それが怖い。今の関係が仮初めのものであってもそれを続けていたいのだ。
入り口を間違えた…とは言うまい。どうせ、俺なら「付き合ってください」と伝えるのに足踏みしまくるだろうから。
……はぁ、選ぶか。大きさはわかってるし。下着は白地の無難なやつをえらんどきゃデザインは間違えない。あとは皮膚との相性だけど…、シャッペとかいう動物の毛のはずなのに、下着のさわり心地は綿のよう。たぶん大丈夫だろう。
「終わりました?」
「うん。終わった。後は…」
「お会計ですかー?」
店の出口付近だからさっさと店員さんが声をかけてくれた。
「はい。妻の分、娘の分も合わせてお願いします」
「仲がよろしいのですねー」
仲はいいと思う。今のところ「友人として」ではあるが。
「合計で、小金貨5枚ですー」
「ちょうどなのですか?」
「大量に買っていただいてますので、端数は差っ引いてますー」
なるほど。ありがとうございます。
「では、ちょうどお受け取りください」
「ありがとうございましたー!」
こちらこそありがとうございました。
今買ったのは上下12セット。それに下着を靴下含めて12セットの計24セット。点数にして24+36の60点。女性陣はさらに下着に一個増えるから合計68点かな?…それで50万。雑に一点一万円とすると安い。
でもこれで使った小金貨は10枚ほど。残りはだいたい小金貨22枚くらい。…ぽこじゃか買っていたらまずいな。足りないのが多いから買わなきゃならないのだけど!
「…で、次はどうするの?」
「出来たら足がほしいけど…、もうすぐ夜だし、先に宿かな?」
「が、よいでしょう。そろそろ商人の引き波がありそうですし、押さえておきませんと…」
まだ大丈夫だと思いたいけど…、それで野宿になったら笑えないしね。
「…お父さんの言ってることを両方満たせる宿があるよ?」
「え?あるの?」
足…移動手段と宿だよ?あるの?
「…心配しなくても移動手段ってことはわかってる。…有名なところだけど、位置は知らない」
位置は聞けば良い。なら、
「四季、俺は足が必要だと思うけど、どう思う?」
「長距離を移動することになると思うので、値段によりますが…。買ってもよいのではないでしょうか?」
了解。じゃあ、
「高かったら諦めよう。高かったらちょっと歩いてみて、どうしても必要そうだったらそのときに買えば良いしね」
「ですね。では、行きますか」
近場に居る人にアイリから聞いた宿名を伝え、位置を把握してから移動。
「通り道に市があるらしいけど…、今の時間やってるかな?」
「どうでしょう?なんとなく市というと、朝のイメージがあるのですが」
「…フーライナだからやってるはず。…ほら、遠いけど見てみて?」
ん?アイリの指さす方向はところどころ人が居て、先まで見通しにくい。けど、向こうの方は賑わってる。昔テレビで見たような築地とかの朝市よりは人が少ないけれど、活気は十分。
しかも、この時間だからかあっちから足の速い葉物野菜やお肉がところどころで安売りされてるっぽい声が聞こえてくる。
この世界には時間を止めたり、ゆっくりにしたりする袋はある。でも、高くて手が出ないんだろうな…。
「…どこで買うの?」
「どこでもいいけど品揃えが多くて美味しそうなところ」
今の時間だと『品揃えが多い=売れ残りが多い』の方程式が成立しそうではあるけれど、駄目そうならスルーすれば良い。
「あ。習君。あのおばあちゃんのところが良さそうですよ?」
「どこ?…あぁ、あそこね。うん。良さそうだね」
おばあちゃんがたくさん野菜を広げてる。これだけだと売れ残りまくりの心配があるけれど…、彼女がもっと多くの物を売ってたであろう痕跡が地面に残ってる。それを見る限り大丈夫だろう。
「おばあちゃん。野菜を見ても良いですか?」
「あぁ、構わないよ!じっくり見て買っていってくだしゃいな!」
貴族っぽく見えるはずだから萎縮されるかと思ったけれど…、そんなことはなかった。めっちゃ元気に許可をくださった。
ま、悪いことではない。言われたようにじっくり見させていただこう。売っているのは地球でも見たことがあるような野菜。ゴボウとかにんじんっぽいのがあるけれど、たぶん地球のとは違うはず。
でも、確証が持てない。ごぼうっぽいモノは『ルーボ』っていう正式名称っぽい名前が書いてあるんだけど、その横に()でこっちの文字で『ごぼう』って書いてある。この『ごぼう』は明らかに日本語で翻訳がめんどくさいやつにカタカナを当てるみたいに発音をまねてるだけなのだろうけれど…。どうなんだろう?
「…()の中は勇者が言いまくるから定着した名前。()がない方が元々の名前らしい。…両方生き残ってるとこんな感じ」
「ありがと、アイリ」
「ありがとうです」
「…ん」
二つ定着した名前…ね。地球にもあるから不思議ではないか。化学物質ならそういうのは結構あったはず。エチレンとエテンみたいに。
さ、それは置いておいて買い物だ。お値段はだいたい鉄から銅。多分ご飯屋さんで作った目安は間違ってないね。
「そういえばアイリちゃん。野菜の名前を書いて置いてありますが…、皆さん読めるのですか?」
「…大人なら読める。統一王の功績の一つ」
識字率は高いのね。アイリの言い方的に、江戸時代の日本の寺子屋に相当する施設を作ったのが統一王さんになるのかな?
「おばあちゃん。甘い物はどれですか?」
「甘い物?すまないねぇ、果物類は売り切れちまったよ」
あぁ、それで(いちご)とか(桃)みたいなフルーツ関係の名前がないのね。売り場が縮小してるのはそのせいか。
「それは仕方ないですね…。では、砂糖を売っているようなお店を知りませんか?」
「砂糖?あるにはあるけど…、高いよ?」
「どれくらいです?」
「キロ小銀貨」
1 kgで千円か…、想像よりは安いけど高い!
「もしあんたらが自力で作れる能力があるなら、こっちのがいいと思うよ?」
おばちゃんの指の先にあるのはカブ。名前は『ガーツ』(甜菜)。勇者の中に甜菜を見たことがある人がいたのかちょっと疑問だが…、勧めてくれてるということは砂糖が作れるのは間違いないだろう。
「美味しいのです?」
「手間はかかるけど、美味しいらしいよ。あたしゃ、作ったことはないけど」
ないんかい!ま、いいや。甜菜から砂糖を作る方法は知ってる。ちょっと手間がかかるが魔法でゴリ押せば時短も可能だろう。
「ではガーツをあるだけ、野菜類も一番美味しいと思うやつを5個ずつ全部ください」
「いいのかい?ありがたいけど…、傷むだろ?それはよしたげてほしいんだけど」
「そのあたりの心配はご無用です」
時間を止める鞄がある。容量は限られているけれど、これくらいなら普通に入る。
「そうかい。じゃあちょっと待っておくれ。お代は…大銀1でいいよ」
え??一万円?
「良いのですか?かなり安いように思えるのですが?」
「かまやしないよ。痛ませないで食べてくれるってんならこいつらも本望だろうさ。それにきっちり儲けは出てるさ!」
では、ありがたく。
「後、一つお聞きしても良いですか?」
「あぁ、何でも聞いてくんな!」
では、お言葉に甘えまして。
「お勧めのお肉屋さんとかありますか?」
「ん?それならうちの倅のとこかね。ひいき目もあるけど…、美味しいよぅ!」
「では、そこを教えてください」
「わかった。おーい!店番頼む。ちょっと倅のところ行ってくる」
え。道さえ教えてもらえればいいのですけど…、全く聞いてくれる様子がない。諦めて好意を受け取っておこう。
おばちゃんと共にお肉屋へ。ここでも全種5つずつ大銀貨1枚で購入。おばあちゃんが倅と喋ってたから、また割引してくださってると思う。こっちはありがたいけれど、本気でそれでいいのかという気分になる。残金は…、ほぼギルドで預けた小金貨30枚だけかな?
自分で稼いだお金じゃないからか、減るスピードが尋常じゃない。
「馬車に使えるお金は…」
「最高で小金貨20枚ですかね…」
だね。地球で言えば馬車は車のようなもの。買えるかどうか微妙だけど、聞くだけなら無料。お金がほぼないからギルドで小金貨21枚を下ろしておいて、宿へ。
「宿の横に牧場があるのですね」
「だね」
牧場といっても小さめではあるが、街の中ということを考えると大きい。こんなスペースをとる建物だから、街の郊外に置かれているのだろう。
ついでに有事の際に街を焼くときの時間稼ぎのための障害物も兼ねているのだろう。街の南東、川に一番近いところだしね。
「人がいますね。ちょうど良いので声かけてみましょう」
だね。
「すみません。大人二人と子供一人、三人の宿泊と、予算小金貨20枚で馬と馬車を見繕ってほしいのですが、いけますか?」
「え?あ。あぁ。すまない。どっちも無理…とは言わないが、きつい」
宿も駄目ですか…。ちょっと来るの遅かったかな…。
「すまないな。この時期だからなぁ。一応、泊めることは可能だ。ただ…、あぁ。もう見て貰った方が早い。ちょっと汚いが構わないか?」
「はい。もちろんです」
貴族に見えて相手が面倒だから適当に言ってる…という訳ではなさそうね。連れて行かれたのは宿に併設されてる小屋のようなところ。だけど、
「おっちゃんが俺らを案内するのをためらうほど汚くないように見えるのですが?」
「というより、宿と遜色ないくらいに整ってますよね?」
「そうか?あんたらに言ってもらえると嬉しいね」
恥ずかしそうに鼻のところをかくおっちゃん。
「自慢じゃないが、いつもは馬と一緒に居たい!という客やどこでもいいから泊めて!という客に貸している場所でな。宿の一部だから手入れはしっかりしてんだ」
馬と一緒に居たい?てことは…、
「臭いが問題なんですか?」
「頑張ってるからほぼないぞ。多少はあるけどな。だが、問題は…、見てくれ」
おっちゃんが戸を開けて脇にどく。空いたスペースから中を覗くと、一頭の馬が先客としている。
「把握しました。あの子が居るから駄目なんですね?」
「そうだ。あの子に危害を加える気はないのに、他の馬たちが怖がっちまってな…。こっちに隔離せざるを得ないんだ。そして客も怖がっちまってな…」
?何故です?
「わからん。なんというか…、こう、雰囲気的なもんが駄目なんだろ。あの子がおとなしいから大丈夫って思える俺も、微妙に怖い」
あの子が威圧感を放っていると?
「こんなことを言うのも何ですが、放逐しちゃうなりすれば良いと思うのですけど」
「俺も思ったぜ?だがよ…。経緯はどうあれ保護しちまったからなぁ…」
この人、いい人だ。しなくても良い苦労を背負い込むけれど、その分好かれる。そんな人だ。
「差し支えなければ経緯をお聞かせいただいても?」
「この宿に泊まってた客が街道で保護したんだとよ。で、保護したはいいが、急に帰らないといけなくなって「回復するまで置いてやってくれ!」と言って、有り金全部置いて出てった」
何してんですかね、保護した人…。
「…お金、足りるの?」
「そんなもん気にしてんじゃねぇよ」
きっと足りてないな。これ。おそらく現時点で微妙に赤字だ。
「いつまで置く予定なのです?」
「回復するまでだ。だが、色々やってみたが…、そもそもあの子、ご飯を食べないんだよな…」
!?
「何もですか?」
「あぁ、何もだ。穀物も野菜も、肉も魚も駄目だ。何だったら良いのかがさっぱりだ。すりつぶしても駄目だった」
普通の馬なら食べるものを食べない。…ひょっとしてこの子、魔獣か魔物っていわれる子では?
「って、本筋はここじゃねぇだろ。ここしかないのだが、構わないか?威圧感は大丈夫か?近寄ってみるか?」
この距離だと俺は大丈夫。四季もアイリも平気そう。一応、確認させてもらおう。
建物の中へ。外と中で雰囲気が違う…と言うこともない。地面が露出している部分を歩いて小屋の最奥へ。安全のために二重柵になっている。一番馬に近づける場所までいってみても大丈夫。お馬さんが暗い奥の方で寝転がっているからかもしれないけど…。
「いけそうです」
この子の存在が気になるけれど…、静かだし、騒いだりしないだろうから、大丈夫。
「夜と朝の食事はいるか?」
「お願いします」
「なら、料金は3人あわせて…、小銀3でいい」
朝夕付きで三人なのに三千円!?
「安くないですか?」
「不便をかけるからな…。あぁ、この部屋はトイレ付きだ。板張りのところに上がってくれりゃすぐだ。自由に使ってくれ」
共用じゃないのですね。トイレがあるなら、
「お風呂はないですか?」
「ない。この部屋ならトイレの横に場所があるから、そこで水浴びなら出来るぞ」
やっぱりお風呂はないですか。
あ。落ち込んでる場合じゃないわ。一般的な量だとアイリが足りない。
「あの、小銀貨5枚出すので夜は少し、朝はけっこう多くして貰うことは可能ですか?」
「ん?出来るぞ。内容はこっちに任せて貰って構わないか?」
はい。お願いします。
「後、馬車だったな。馬車自体は小金貨15もあれば6人乗りのそこそこ良いやつがある。が、馬がねぇ」
「予算的に駄目ですか?」
「いや、そもそも馬がいねぇ」
馬がいない?
「収用でもされましたか?」
「正規の値で買ってくれたよ。だが、今、魔物がフーライナでよく湧いてるらしくてだな…、その魔物が騎士の乗る馬を襲ったらしい。その関係だ」
なるほど。馬がいないから馬がほしい。騎士だから馬だけあればいい。結果、馬車があるけれど、馬がいないって状況になるのか。
「その子が元気になるなって、その子が良いって言ってくれるなら引いてもらえるんだが」
「え?状況によってはこの子を譲ると?何故です?」
「言っちゃあなんだが、この威圧感だからな。野性に返しても狩られるかもしれない。売ってもいじめられるかもしれない。それならかわいがってくれそうな人に預けるのが一番だ」
なるほど。俺らが鈍いのか何なのかわからないけど、威圧感を感じないしね。
「ま、回復しないことには意味がないんだがな。兎も角、すまねぇ。馬は出せない。宿を変えるなら変えてもらっても構わないが?」
「いえ、ここがいいです。あの…、俺らならあの子が食べられるものを持っているかもしれませんので、試してみても良いですか?」
回復させてあげることが出来れば着いてきてくれるかもしれないし。
「あぁ!願ったり叶ったりだ!」
おぉ、下心あるのわかってるだろうに許可くれた。…まぁ、俺らがそう言うことを期待してさっきの話を振ってくれたんだろうけどさ。
「おとなしいから大丈夫だとは思うが野生の馬だ。気をつけろよ」
もちろんです。
「夜ご飯はすぐに持って…あ。ご飯はこちらで食べるか?それとも食堂があるからそっちにするか?」
「こちらで…いいですよね、習君?」
「あぁ、こっちでというかこっちがいい」
時間もご飯時。貴族っぽい俺らが行くと休まらない人も居るだろうから。
「すまねぇな。食べ終わったら小屋の前に置いておいてくれ。勝手に回収する。水は…」
「魔法で出せるので大丈夫です」
「そうか。わかった。じゃ、またな」
さて、板張りの部分に荷物を置いておこう。日本人なら靴を脱いで上がるのだけど、こっちはどっちだ。綺麗だから裸足でも平気そうだけど。
「…洗えば?」
「それが早いか」
四季から紙を貰ってちゃちゃっと完成。四季の手を取って発動。元から綺麗だった板張りがもっと綺麗になった。
「持ってきたぞ…ってめっちゃ綺麗になってるな」
「あぁ、ごめんなさい。綺麗だったので靴脱いで上がれるかな?と思ってしまいまして」
「ま、綺麗にしてくれる分には構わんさ」
ありがとうございます。
「もう一人分はとってくるから待ってくれよ。ところで、多めにの程度がわからんから、普通の一人前より多くしてあるんだ。が、それで足りなければもう一人前増やすが、どうする?」
大盛りの四人前?多そうだけど…、アイリは目の前の量を見ても「…むしろちょうだい」って顔をしているから、大丈夫そうね。
「お願いしても構いませんか?」
「あぁ、待ってろ」
すぐに二つを持ってきて、おっちゃんは手を振って戸を閉めていった。
「とりあえず、鍵をかけておいて、」
「いただきます。します?」
絶食中のお馬さんが心配ではあるけれど、
「食べよう。冷めちゃうし。それに、ちょっと時間置いておけばお馬さんが信頼してくれるかもしれない」
見ず知らずよりは、なんか前でごそごそやってた人。のがマシだろう。
「そもそも、寝ているようですしね。食べますか」
「「「いただきます」」」
食べたらお馬さんに合うご飯がないか試してみなければ




