十、
ううーん、これはなかなか面白い。
これからどうなるか、楽しみで仕方がない。
予定どおりにものが進み過ぎてしまったら、それもそれでつまらない。駒が思い通りに動いてくれているのも気持ちがいいのだけれど、やっぱりちょっとした想定外がないと。
今の状況は私の思っている方向へまっすぐ突き進んでいる。それをどう覆してくれるかな。
まぁ、無理だろうけれど。
シナリオに横やりが入るのも、余興の一つだ。
せっかくだ、無駄な抵抗という名の一大イベントを楽しんでおくとするか。
窓から月が見える。
にぃ、と不気味に笑う瞳のような形。
光は嫌いだ。私は“影”。闇と一体化できる夜のほうが好きだ。
光がなければ影は存在しない、というのはなんという皮肉だろう。
まぁ、こんな光なら悪くない。
すぐに闇に染め上げることができる、か細い希望という名の光。
すぐにぽきんと折ってしまえる。
自分は“影”だから、まだ今は必要だ。
自分が闇となるまでは。そう、今は、まだ。
ああ、でも、よく考えれば、ここに今は私ひとり。暗い部屋の中。
私の嫌いな“光”はいない。けれど私は存在している。
そうだ。私は“光”がなくても存在できるのだ。
だって今ここに、“影”として在るのだかた。
“影”の口元も、空を切り抜いた月と同じ形に、にぃ、と弧を描いた。




