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夕日は瞳の奥に  作者: ぬりえ
第十一章
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九、

 樹たちが生徒会室を出て四人の気配がなくなると、長四人が臨時会議を始めた。

「では、これから」

「いや、いい、弦矢。お前も席についてくれ」

「へ?」

 長の会議開始の際の口上を述べようとした弦矢は、拓真にそれを遮られてしまう。しかも長の会議と思いきや、自分も座れと言われてしまい、戸惑った。どうするべきか助けを求めて他の三人に目をやるが、助太刀をいれてくれる人はいなかった。弦矢は怖々と席につく。

「弦矢、さっきは臨時会議と言ったが、実が違うんだ。ちょっとした話し合いなのだが、おまえの意見も聞きたくてな」

「ぼくに、ですか?」

 紅葉(くれは)の話に首をかしげる弦矢に、さらが説明を加える。

「碧さんの寮分けの儀式でのことなんですけれど、私たちの持つ宝玉が、碧さんが魔力を流したときに反応したんです」

「反応、というのは」

 儀式のとき、碧の力が魔法陣に伝わり、ぽう、ぽう、と白い珠のような光が現れた。それに反応するように、三人の持つ宝玉が、魔力を帯びたそうだ。自分たちは何もしていないのに。

 拓真は宝玉こそ有していないが、物質に起きた小さな変化を敏感に感じ取っていた。

 そしてその反応は、碧が力を止めるとともに、すぅ、と消えたらしい。

「ちりっと熱を帯びたかんじだったな」

「ほんの少し、光を放っていた気もします」

 それで自分が呼び止められたのか、と弦矢は納得した。

「ぼくにもなにか視えなかったか、ということですね」

「そうです。心当たりや気になったことはありませんか?」

 一水(かずみ)に問われる。

 儀式のことを思い返す。あのときは、白い光の美しさに見とれて、ぽーっとしていた。他になにか視えたものはなかったか。


 四人は、弦矢の返事を黙って待っている。長四人の中に自分一人というだけで緊張するのに、こんなふうに黙って見つめられ、さらには答えに期待されてしまっては、弦矢にとって大変なプレッシャーだ。

 しかしそのプレッシャーのおかげか、一つ思い出したことがあった。

「あ、そういえば」

「なんだ?」

「うっすらと光の線を見た気がします」

「光の線?」

 白い光が浮き出たとき、その中で三本の光の線を見た気がしたのだ。そしてその線は、多分さらの耳元、一水の胸元、紅葉の指から、それぞれをつなぐよう三角形に出ていたような気がする。

 確信ではないが、四人にその旨を伝えた。

「やはり、なにかあるのか」

「碧さんの力には、この宝玉の力をも動かす力がある、ということですか」

「四つの力をつなげる、と考えられますね」

「まるで“樹”だな」

 拓真、さら、一水、紅葉が次々に感じたことを口にする。

「あのぉ、お役に立てたでしょうか……?」

 おずおずとたずねてみる。

「ああ、大変参考になった。ありがとな」

 拓真にそう言われ、弦矢は心から安心する。もうお役御免ならこの場をすぐにでも離れたい。自分がいるのは場違いな気がしてならない。

「では、ぼくは……」

「引き留めて悪かった。ここの片付けは俺たちに任せてくれ」

 弦矢はお言葉に甘えてそそくさと退散した。


 弦矢が退出すると、四人の顔は難しくなった。

「色々、調べる必要がありそうですね」

 一水の言葉に、三人は黙って頷く。

 その後もしばらく討論は続いた。

 もう、すっかり夜になっていた。

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