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九、
ははは、と乾いた嗤いが部屋に響く。
それはどんどん大げさに、大きくなっていく。
“影”か。
自分的には“陰”とか“翳”のほうがしっくりくる気もするが、光のもとにひっそりと、だが確実に存在する意味では、目に見えるこっちの“影”もいいかもしれない。
あいつの心に侵入するのは簡単だった。これからどう働いてもらおう。
くくっ。
のどの奥から嗤いが漏れる。
邪魔な能力が増えたし、こいつらを試してみるのもいいかもしれない。
ふふふ……
これからが楽しみだ。
私の、“影”の、存在を知らしめてやろう。忙しくなる。
私の計画はまだ始まったばかり。“影”の名のとおり、おまえらには気付かれずにひっそりと、でも確実にやりとげてみせる。
はははははは……
真っ暗な部屋に、光はない。しかし、影は見えていないだけで、ここに存在する。
“影”の嗤いに共鳴するように、真っ暗な部屋の外では、星たちが妖しく揺らめいていた。




