三、
あ、そうそう、と、帰ろうと言ってきたシエルがまた話だした。
「グリンヴェルドューユ様は忠告、とおっしゃったけど、あれは君たちへのヒントだよ。守護神に対しての、ね」
「ヒント?」
「それから、そのエメラルドのことは誰にも話さないほうがいい。どんなに信頼している人にもね。お守りとして、というより預かりものと思うのがいい。君は仲介人だ」
大切な話をしてくれているのはわかるため、眉を顰めながらも頷いてみせる。金糸で編まれた袋の中に入ったエメラルドが、ずしりと重みを増した。
「あと、二回目の石像事件のときに、君が見た、というか、君の視界を隠したのは僕だよ。君を護りたくて、つい手をはさんじゃった。見えてたら君も危なかったからね」
「どういうこと?」
「僕が言えるのはここまで。あとは君が、君たちが考えることだ」
中途半端な説明に物足りなさを感じるが、シエルがこれ以上話すつもりがないのがわかる。やはり人間に介入するには制限があるのだろう。
「護ってくれてありがとう。あと、アドバイスも」
「再会できてうれしかったよ。戻ってもうまくやってよ」
「俺もだ。事件は解決できるようにがんばるよ」
シエルが大きく手でアーチ描く。
「安心して、今度は、帰る時間は間違えないから」
間違わないのはわかった。シエルももう大きくなったし、ここに自分を連れてきたのも彼だ。
でも、いつ、どこに続いているのかは教えてもらえていない。
それに。
「碧は、碧のことは教えてくれな」
「またね」
ふおん、と視界が明るくなったその中へ、とん、と背中を押される。
身体はそのまま吸い込まれていった。




