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Over In Dragon〜悲しみから生まれた絆…〜  作者: みけ猫 ミイミ
第3章〜動き出す国々と世界

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大臣と四天王の3人〜ルトルシニア国〜

ボンゼルとリィザスとラグドルとティガルは書斎で話し合いをしていた。

  ここは、ファストルの城内にあるボンゼルの書斎。


 あれからボンゼルは、綺麗に整頓された机に寄り掛かりお茶を飲みながら、リィザスとラグドルとティガルが来るのを待った。



 書斎の床には、若葉色のじゅうたんが敷かれており、様々な効力を有する研究用の魔草が、壁側の数カ所に置かれている。


 そして本棚には、歴史ついて書かれた本が順序よく並べられており、趣味なのか植物に関する本も、チラホラ見える。



 数分が経ち、リィザス達が書斎に来ると3人同時に、ボンゼルに一礼をし挨拶をした。


 そしてラグドルが、不安げな表情で話を切り出した。


「ボンゼル様。急なお呼びだしとは、ガディスの身に何かあったのでしょうか?」


 ラグドルがそう聞くとボンゼルは、リィザス達の方に視線を向け話し出した。


「ガディスの件もあるが、その前に話さなければならない事がある」


 そう言いボンゼルは、リィザス達を見まわした後、


「ブレグランの動きを、密かに監視させていた者から、先ほど連絡があった。奴らは龍の里(ドラフィル)の山里の龍を封印し、尚且つ龍の里を襲撃したらしい」


「それは、本当なのですか?信じられません。でも、どうやって?」


「リィザス。それは分からぬ。だが、これが事実であれば、ドラゴナードの力が封印された事になる。ただ……」


「ボンゼル様。何を悩んでおられるのですか?我々にとって好都合なのでは?」


「確かにティガルの言う通り、ドラゴナードを一掃するまたとない機会……」


「もしやボンゼル様は、ブレグランの動きを、危惧(きぐ)されておられるのでしょうか?」


 ラグドルがそう聞くとボンゼルは頷き、


「ああ、ブレグランは既に、ドラゴノヴァの領土を陥落(かんらく)させたかもしれぬ」


「ではブレグランは、いずれここにも来るって事なのですね」


「ああ、そうなる。奴らは間違いなく攻めて来るだろう。そうなると、厳重に守りを固め策を練らねばな。我がルトルシニアに、過去の忌々しい歴史を繰り返させる訳にはいかない」


 ボンゼルは目を閉じ思い出しながら、かつてブレグランが、このサリスワイズ全土を支配しようとし、

 ここファストルとシャスタ以外の、ルトルシニアの5ヶ所の領土が、ブレグランにより攻め落とされた事を話した。


 その後ボンゼルは、本棚の方に視線を向けた後、リィザス達を見ると、


「しかしその後、何故かブレグランは、大きな動きを見せなくなったのだ」


「ではブレグランは今まで、この龍神祭の機会を狙っていたという事なのですね。ですが何故、今になって龍の里を襲撃したのでしょう」


「それは分からぬ。だが、かつてのその戦の後、ブレグランはドラゴノヴァの存在を知り、奇襲をかけたと聞く」


 ボンゼルは聞いた話を思い浮かべながら、ブレグランがその時、龍の力と龍神バルロスの力を侮り返り討ちにあい、陥落させる事が出来なかった事を話した。


「ではブレグランは、そのため今まで動かず、身を潜めていたのですね」


「ティガル。うむ、そういう事なのだろうな」


 そう言いながらボンゼルは、引き出しの中から地図を取り出した。


 そして地図を机の上に広げ、人差し指でファストルを指差しながら、


「うむ。ここファストルは、険しい山に囲まれている。それを活かし作戦を立てたい」


 そう言うとリィザス達は頷いた。だがその後、ボンゼルは不安な表情を浮かべながら、


「だが、本当はガディスが戻りしだい、策を練る方が良いと思っている」


「ボンゼル様。それは、どういう事なのでしょう。何故そう思われるのでしょうか?」


「お前たちも知っていると思うが。異世界の女(涼香)をこちら側に引き入れる為、現在ガディスは任務を遂行している」


「はい、その事は承知しております。ですが、その事とこの件と、何の関係があるのですか?」


 リィザスは不思議に思い、ボンゼルにそう聞いた。


「うむ、関係か。実はな、ガディスを向かわせた後、あの女(涼香)の能力の事が気になり知りたくなった」


 そして、ボンゼルは本棚を見ながら、書庫で色々な本を読み調べ、どの本にも異世界の者たちは皆、特殊な能力を持つと書かれていた事を話した。


「そういえば確か、その女(涼香)の他にも、異世界の者がいたと聞いていましたが」


 そう言うとリィザスは、こめかみの辺りに右手の指先を軽く添えながら、真剣な面持ち(おももち)で考えていた。


「ああ、あわよくばその者も、こちら側に引き入れる事が出来ればと思っている」


「ですが、その2人が素直に我々に協力してくれるとは思えないのですが」


「うむ、確かにな。その事については謝るつもりではいる。それに、あの龍神祭が、なぜ行われていたのか、バルロス様も知っていることだ」


 そう言いながらボンゼルは、机の上に置いてあるお茶を口に含んだ。


「そうですが。それを理由にするには、無理があると思うのですが」


「確かに、リィザスの言う通りだとは思うが。だがな……」


「ボンゼル様。確か我が国の者の不注意から、バルロス様を怒らせ、その怒りを沈める為、龍神祭が行われるようになったと聞いております」


 ラグドルが顎に左手を添えながらそう言うと、ボンゼルは深刻な表情でリィザス達を見渡し、


「うむ。その通りだ。だが、現在バルロス様は、異世界の女(涼香)に吸収され同化している。それを利用できるのではと、思っているのだがな」


「なるほど。そうなると、その事も踏まえ、策を考えないとなりませんね」


「ああ、そうなるだろう。だが先程も言った通り、このままガディスが戻らないとなると、待たずに作戦を立てるしかない」


 ボンゼルがそう言うと、リィザス達3人は深く考え込み、更に真剣な表情になっていた。


「確かに、ボンゼル様の言う通り。いつブレグランが攻めて来ても、おかしくはない状況下ではありますね」


「ああ、ラグドルその通りだ。ここにいる者たちだけで、何とか城と領土を守り切るしかない」


 ボンゼルがそう言うと、リィザスは目を閉じ考えていた。


(例えば、異世界の者が協力してくれたとして、戦況はどうなる?…………)


 そうリィザスは思考をめぐらせていた。


 何の策も立てずにガディスを待てば、間違いなくブレグランに攻め落とされる。


 だが、異世界の者の力を借りる事が出来ればと、そう自問自答を繰り返していたが、ふと思いつきリィザスは話し出した。


「ボンゼル様、提案なのですが。ガディスが戻った場合と、戻らなかった場合の策を考えてみたのですが……」


 そう言うとリィザスは、身振り手振りをまじえながら説明し始めた。


 まずこの地形を活かした策として、シャスタ側のブレグランとドラゴノヴァの境界線付近の山や森などに兵を配置し、

 魔法壁を張り巡らせ第一防衛壁を作り、ブレグランの動きを監視する。


 そしてもしもの場合を想定し、ここファストルとシャスタの領土の境の山や森などに、魔導兵と飛空魔導士を配置し第二防衛壁を作っておき、

 いつブレグランが襲って来ても、城と連絡がとれる様にしておく。


 その一方でシャスタと連絡を取り合い、各城に主力部隊を配置し、第三防衛壁を作っておきその間、互いに策を協議する。


 そして、もしガディスが戻らなかった場合の事を想定し、ブレグラン側とドラゴノヴァ側の動きを即座に知る為、

 それに対応できる魔導兵を、ブレグランの首都アザレアと、まだ陥落されていないドラゴノヴァの領土に送り込む。


 そうする事で、ガディスが戻っても、戻らなかったとしても対応する事が出来るのではと提案した。


「……なるほど。確かにそれならば、どちらでも対処できる」


 ボンゼルがそう言うとリィザス達は頷いた。


 その後、リィザスが提案した策と併せ、他にも何かいい案がないか、お互い意見を出し合い作戦を立て始めた。


(さて、ガディスはいつ戻る?だが、このまま待っている訳にもいかん。そうなると、どう動く?……)

読んでくれてありがとうございますヽ(^o^)


『それにしても、ガディスは遅いですね。何をしているのでしょう?』…by,ラグドル


『確かにな。だがまぁ、流石にガディスに限って “大怪我をして寝込んでいる” って事はないだろう』…by,ティガル


『それもそうだな。ん?いや、あり得る!?女が関わっているとすれば』…by,リィザス


『『なるほど、確かにそれはあり得る!?』』…by,ラグドルとティガル


その頃……


『ふぇ〜くしょん!……ん?何だこの変なクシャミは?まぁいい、どこかのいい女が、俺の噂をしているのだろうからな』…by,ガディス


『ふぅ〜ん、なるほど。これは貴方に、またあれをやって頂かなければ、ならないみたいですね』…by,ユリナシア


『……ヽ( ̄д ̄;)ノ=3=3=3』…by,ガディス


と、いう事で……∩^ω^∩


では、次話もよろしくお願いします(*^▽^*)

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