冒険者登録?(いえ、ルールとか規約とかめんどくさいんで)
12「冒険者登録?(いえ、ルールとか規約とかめんどくさいんで)」
俺は日々の生活の為にお金を稼ぐ事にしたんだが、バイト探し感覚で冒険者ギルドに来たのだが・・・
「ねえ?冒険者登録しようよ
ほら?君冒険者として初心者でしょ?
初心者のうちは冒険者を他の人たちと比べることで学んで・・・」
かれこれ10分ぐらいは俺を引き止めている、受付のお姉さん
もうなんか、俺の後ろにいた人達も他のところに行っちゃったし、えらい注目を集めている
ソロソロ勘弁して欲しいんだが・・・
ここはそれらしいこと言って乗り切ろう
「俺は冒険者がどんなものか聞きに来ただけなんだ
もしかしたら、他にも俺の天職があるかもしれないから、今日は冒険者登録はやめとく」
これなら、今日はダメでも次ならばというふうに思って諦めてくれるだろう
我ながら中々言い返しだと内心ほくそ笑んでいると
「ダメだよ!今日登録してもらえないと安心出来ないじゃん!
気が変わったら登録してもらえないかもだし・・・
ほら!すぐ登録出来るよ!ほんの5分程度で!」
なぜかそれらしい言い訳したのにもかかわらず、相変わらず食い気味にお姉さんは説得してくる
これには他の職員も手を止めて呆気に取られている
そして、後ろから一人の職員がお姉さんに歩み寄って
「どうしたのよメルル?貴方今日おかしいわよ?
冒険者登録するのは相手の自由じゃない
なぜ彼に貴方がそんなにこだわるの?」
と言ってお姉さん、メルルさんに尋ねる
うんうん、そりゃそうだよな
いくらなんでも決定権はこっちにあるはずだし
側から見てもこのお姉さんの俺に対する執着は異常だ
俺もこれを好機と見て畳み掛ける
「まあそういう訳だ
次もし登録する時はメルルさんのところ
に行くからさ」
それを聞いて、メルルさんを説得していたお姉さんもうんうんと頷く
「ほら、彼もそう言ってることだし
すいませんお兄さん、またのお越しをお待ちしております」
何やら帰っていい合図が出たので、ここはありがたく帰らせてもらう
ばいばーいと手を振ってギルドを出る
後ろからメルルの悲痛な泣き声が聞こえててくる
まあ、可哀想だけどしょうがないよね
俺は心の中で謝ってからギルドを後にするのだった・・・
ーーーーギルド休憩室にてーーーー
「それで何があったのよメルル?
彼、ここに来たのは初めてでしょ?
なんで初対面であるはずのあなたがそんなに勧誘するのよ」
今日私の後輩、メルルが新人の男の子をしつこく勧誘した事が問題となった
彼は怒らずに冷静でいてくれたが、あれほどしつこいとギルドとしても問題になるほどだ
しかも当のメルル本人は今でも彼の事を帰した私に恨み言を言っている
「もう!エルザさんたらあの人を帰しちゃうなんて!
ボクがもうちょっと粘ったら落とせたかもしれないのに!」
彼女はいつもはおとなしげな職員なのだが、実は自分のことを"ボク"という僕っ子である
いつもの彼女なら私の前でもあまり言わないはずだが、今は興奮していてそれどころではないようだ
私が再び理由を聞くと
「だってあの子、僕のこと全然興味ないみたいなんだもん!
サキュバスとしての名折れだよ!あのまま帰しちゃうなんて!」
そう、この子は父親に人間、母親にサキュバスを持つ、半魔の存在だ
この子より可愛い受付嬢は他にもいるが、半魔でもサキュバスの血が流れている為、実はこのギルドではダントツで人気の受付嬢なのだ
サキュバスは処女のほうが魅了の力が強い種族である
それに当てはまる彼女は、その魅力のためか同性にも絶大な人気があるのだ
だから自分の担当した、それも男が自分の言う通りにしないことが不満なことは分かるかも知れないが・・・
「だからって、あなたの魅了が効きにくい人だってたまにはいるんだから
あなたの思い通りにならない事ぐらいあるわよ」
彼女は存在するだけで人を魅了してしまうが、たまに魅了が効きにくい人も存在する
また、魔力耐性が高ければ魅了を跳ね除け易い
しかし彼女は首を振って
「ううん、僕もそう思ってずっと魅了をしてたんだよ
なのに彼は全然興味なさそうだし
だから思い切ってチャームを掛けてみたんだよ」
チャームはサキュバス特有の魔法で、対象(特に男性)に自身への強力な魅了を掛けるというものだ
しかしそれは生半可な魅了とは一線を画すものであり、その魅力の度合いによっては場所も考えず襲ってくる可能性すらあり非常に危険なものだ
「何やってるのよ!あんたは!
もし彼が襲ってきたらどうするつもりよ!
あれ? でもおかしいわね・・・
それじゃあなんで彼はあなたに何もしなかったの?」
私の言葉に、メルルは「それが疑問なのさ」と言い
「それがわからないから頑張ってたんじゃないか!
でも決めたね、ボクは彼を絶対にボクのものにしてみせる!」
などと立ち上がって宣言してくる
なぜ自分のものと言っているのかはわからないが、とにかく私もその噂の彼に興味が湧くのだった・・・
次話でようやく魔物討伐かも?




