魔道具を取り込んでみた。
用意された量のお薬を飲み終わったので鑑定具を使って魔術回路の状態を調べようとしたら、何故か発動しなかった。魔術回路が塞がった状態のままだからなのかな?と訊いたら、その場合でも結果は出ると言うので壊れたのかも知れないんだって。魔術回路が塞がってるって結果じゃなくて良かった。
その日は村の人が持ってきてくれた採れたてのトマトとナスを使ったスパゲティを作って食べた。魔法で成長させたトマトもなかなか美味しい。
ちなみに手動のパスタマシンを地球から持ち込んでいたりする。野菜の種などを持ち込んだ後トマト料理の参考にとイタリアンを食べに行ったら彼がパスタを気に入ったので帰りに買った。茹でるパスタを大量に買い込もうとも思ったんだけど、食べたお店が生パスタだったから一緒が良いだろうと思って。
後日茹でるパスタを見せたら保存食に向いてるなと真剣な顔で調べていた。そしてパスタを乾燥させる魔法が完成した。
その魔法を改良したら干し柿を作れないかと期待している。うちの庭にあるんだ渋柿の木。
食休みをしていたら彼が新しい鑑定具を持ってきたので再び調べる。なんだか難しそうな顔で結果を見続ける彼。それから壊れている鑑定具を分解してより難しい顔、どうかしたのかな?
彼の話によると、私は魔道具に書かれた術式を取り込んでしまったらしい。…意味がわからないんだけども。
これを調べて見てくれと机に置かれた杖を見るけど特に何も無い。鑑定具を思い浮かべてみてと言うのでうみゅーって頑張ったら、なんか魔力増幅という言葉が浮かんできた…なにこれ?
彼が言うには、私は魔道具の術式を取り込んで自分の物にしたらしいとのこと…言葉の意味はわかるんだけどやっぱりわからないよ。
混乱してたら彼が真剣な顔で言ってきた。
地球へ帰ろうと転移魔道具に触れたら魔術式を取り込む事になるんだけど、その結果どうなるのかわからないって。
え、帰れないって事?
彼が地球へ行って色々買い、私がこちらで暮らすと言うなんだかよくわからない事になってきた。
バイトは辞めて車は従姉妹に譲った。乗らないとバッテリーとか問題出ちゃうし。
母さんは特に心配した風でもなく、彼に私の事よろしくと言ってた。ちょっと軽いんじゃって鞄越しで言ったら、電話も寄越さないお姉ちゃん達より会えてるからそんなに大げさな事じゃないって。そうなのかな?
今はリビングに開いたままの鞄を置いてる。