第八話 三人の武器
次の日、戒人らは宿を出、さらに西へと向かった
「・・・ねぇカイト」
「ん?」
「あんまり元気ないけど大丈夫?」
「それにここんところほとんど寝てねぇだろ」
「・・そんな事・・」
「あるよ!テントの中から見ててもランプずっとついててカイトは何かしてるもん」
・・・見られてたのか・・・
どうごまかすか・・・
「・・ちょっとな・・・いろいろと作ってたんだよ」
「・・・例えば?何かあるのか?」
「・・これとか」
「これは?」
「俺の火魔法を使っても熔けない刀。そして逆にそれを使って炎の刀にすることができる。これを使えば周りを燃やさずに攻撃することが可能なんだ」
今までは樹がたくさんあったから火魔法は使えなかったからな・・・
「へぇー・・・人間界にそんな技術が・・・」
「ねぇよ。俺が作ったんだ、ここの世界の物でな。ここのは加工しやすいし」
「そうなの?」
「あぁ。それにこの世界にある一部の金属には魔法の力を使い成り立つ物がある。例えばこれに使った金属は火魔法を使い力を発揮するんだ」
「どこで手に入れたの?」
「俺がぶっ壊した暴走族の基地で」
これ見つけた時はびっくりだった
「最近これ作っててな」
「ふーん・・・」
「で、成功したのか?」
「・・まだ試してないよ。でも自信はある」
「・・・そうか・・・完成だといいな・・・」
「・・・」
「やっと着いたー」
「結構かかったな」
街を出てから三日ほどかかったが俺たちは次の村にたどり着いた
「・・・・・」
「・・どうしたの?カイト」
「いや・・東にはその方角を司る神、青龍がいただろ?だから西にも白虎がいるはずなんだよ」
「うん。どこにいるんだろう・・・」
「それと青龍は水神としても祀られていた。だから白虎もまた何かの神として祀られていると思うんだ」
「・・そうだね。・・なんだろう・・白虎の力って・・・」
・・青龍が水・・なら自然の力だろう・・・
けど・・白虎は・・なんだ?
「・・なぁ、二人とも・・・」
「ん?何だ?バルト」
「どうしたの?」
「いや・・神とか青龍とかって・・何の話だ?」
「あれ・・話してなかったっけ?」
「話した気もするけど・・・」
「いや・・・しらねぇな・・・」
・・・話してないか・・・
俺とレイは今までの事を話した
「と言う事だ」
「へぇー、そんな事があったのか」
「それで四神をみんな見つけたら次元の塔を戻す鍵が見つかると思って探してるの」
「なるほどな」
「しかし彼らは北南西東の各方角のどこかにいる、という事しか知らないんだ」
況してや五神の黄龍なんてどこにいるのやら・・・
「・・とりあえず今日はこの村で休憩しよう」
「そうだな。じゃあ俺は宿探してくる」
「俺は鍛冶屋に行ってくる。ちょっと用があるんでな」
「私は・・・」
「レイは俺について来い。聞きたい事がある」
「わかった。じゃあ後でね。バルト君」
「おぅ!」
鍛冶屋ってここあんのかな・・・
「・・・・お!みっけた!」
このマークは間違いないな
「ここ?」
「あぁ。すみませーん!」
「・・・・・・誰もいないの・・・」
「はいはい」
レイが言いかけたその時奥からじいさんが出てきた
「なんじゃ?何か用か?」
「あぁ。ある金属を分けてほしいのとここをちょっと貸してほしいんだ」
「ほほぅ。はて、どんな金属かの」
「・・雷金属」
「・・・・・フム。雷金属とな?分けてほしいものは。・・ちょっと待っておれ」
そう言うとじいさんはまた奥に消えて行った
「・・ねぇ、らいきんぞくって?」
「雷金属ってのは雷魔法 を使い力を発揮する金属だ」
「じゃあその雷金属を使ってここで武器を作るの?」
「いや。ここで作るのはレイの武器だ」
「私の?」
「あぁ。東の町で水金属を見つけてな。どんな武器がいい?」
銃タイプか剣タイプか
「うーん・・・じゃあ銃と剣を合体させたようなのは?」
「・・・・銃剣か・・なるほどな・・・じゃあ一丁と二丁なら?」
「んー・・じゃあ二丁で」
「わかった!」
やってやる!
「おーい。あったぞい、雷金属が」
「ありがとう。いくらだ?」
「金は取らん。ただここを貸す代金は取るがの。ほっほっほっ」
「・・い、いくらだ?」
「300ジェイルじゃ」
ジェイルとは日本の通貨単位、円と同じものだ
・・意外と安いな・・・
カーンカーンカーンカーンカーンカーン・・・
ジュッ!
「・・・・ふぅ・・・っ!」
カーンカーンカーンカーンカーンカーン・・・
「カイト。大丈夫?」
「大丈夫。危ないから、離れてろ」
「うん」
カーンカーンカーンカーンカーンカーン・・・
ジュッ!
数時間後
カーンカーンカーンカーンカーンカーン・・・
「・・どうじゃ?」
「・・・なかなか順調だよ」
「そうか。それにしてもお前さん、手つきが慣れておるな。お前さんも鍛冶屋か?」
ジュッ!
「・・いや・・・そうじゃないけど・・・なんでだろう・・なんか知ってて・・・」
「そうか・・・・お前さんはどこから来た?」
カーンカーンカーン、カーン!
「・・・人間界から」
カーンカーンカーンカーンカーンカーン・・・
「・・なんと!人間界からとな!?それはそれは・・・」
カーンカーンカーンカーンカーンカーン・・・
ジュッ!
「・・・・よしっ!」
「完成かの?」
「あぁ。早速レイに試して・・あれ?レイは?」
「嬢ちゃんならほれ、そこで寝とるよ」
本当だ・・ぐっすり寝てる・・・
「・・・じゃあこのままつれて帰るわ」
「いいのか?それを試すんじゃろ?」
「・・・じいさん。明日また来てもいいか?」
「・・よいぞ。お前さんなら100ジェイルで貸そう」
「サンキュー!じゃあな」
「・・ほっほっほっ。若いとはえぇのぉ」
「・・ん・・・ん?カイト?」
「お?レイ、起きちまったか」
そりゃそうか
あれだけ揺れてたらいやでも起きる
「私・・寝ちゃったの?」
「あぁ。そうみたいだな」
「・・も、もうおろしていいよ」
「そうか?じゃあおろすぞ」
「ごめんね」
・・なんで謝るんだ?
「それよりほら、お前の武器。二丁銃剣だ」
「わぁ!すごい!」
形としては二丁ハンドガンの銃口の上下に刃がついたような物を思い浮かべてほしい
「・・でも剣の部分、短くない?」
「それの先に水で出来た刃を思い浮かべて水魔法やってみろ」
「うん・・水魔法!」
するとその先に刃が出来、まるで銃の形をした双剣になりました
「すごい!剣になっちゃった!」
「それをすばやく出来るようになったら短距離でも長距離でも自由に戦えるぞ。あとこれ」
「これは?」
「そんな物騒な物出しっ放しには出来ないからな。ホルダーみたいな物だ」
鍛冶屋で作っておいて正解だったな
「わぁ・・ありがとう!」
「どういたしまして」
さて、明日はバルトの武器だな
「おーい!二人とも!」
「よぅバルト。宿は見つかったか?」
「あぁ。結構いいとこがな。案内するよ」
そうしてバルトに案内されたのは古風な洋風の宿だった
「へぇ、いいとこじゃん」
「へへっ!だろ?探したんだぜ?ここ・・ん?あれ?レイそんなもの持ってたっけ?」
「あ、うん。私の武器だよ。さっき鍛冶屋でカイトが作ってくれたの」
「へぇー、そのためにか」
・・何で変ににやついてるんだ?
「明日はお前のも作る。今のうちにどんなのがいいか考えておけ」
「俺のも?でも俺は雷魔法で作り出すぞ?」
「魔法だと自分自身が攻撃されると一瞬それが消えるんだよ。その隙に攻撃されてみろ、痛い目にあうぞ」
「むぅ・・確かに・・・じゃあ考えておく」
「そうしろ」
次の日
「・・なぁ。二人はどんな武器なんだ?」
「あ?俺のは刀だ。これに火魔法を加えると炎をまとった刀になる」
「私のは二丁銃剣。このまま水弾で攻撃も出来るし水魔法を加えたら双剣にもなるの」
「なるほど・・・」
そしてバルトが考えているうちに鍛冶屋についてしまった
「ん?お前さんか。借りるんじゃろ?」
「あぁ。ほら、100ジェイル」
「あれ?昨日は300ジェイルじゃなかった?」
「・・ウム、確かに。使ってよいぞ」
「なんかな、俺だったら100ジェイルでいいんだと」
「ふーん・・・」
「で、何にするんだ?バルト」
「そうだな・・・でっけぇー剣にしようかな」
でっけぇー剣・・・
「太剣か・・太刀か・・どっちがいい」
「・・どう違うんだ?」
「太剣は刃の部分をでっかくした剣で威力はあるがその分重くて攻撃が遅くなる。太刀は刀の刃を長くしたもので広範囲の攻撃が可能だ。太剣よりは軽く、攻撃パターンも多い」
「・・じゃあ太刀にしてくれ」
「わかった」
二時間後
カーンカーンカーンカーンカーンカーン・・・
カーンカーンカーンカーンカーンカーン・・・
ジュッ!
「・・・よし。出来たぞ」
「おぉ!」
バルトはすばやく近づいて太刀を手に取った
「どうだ?」
「あぁ。持ち心地もいいし重さもちょうどいい。完璧だよ」
「へっへっへ。あとそれに雷魔法を加えると雷をまとった太刀にもなるし魔法で刃を大きくすれば太剣にもなるぞ」
「へぇー」
「やってみろ」
「あ、あぁ。雷魔法!」
そうしたら細かった刃が太くなり一気に雷の刃の太剣へと変わった
「おぉ!サンキュー、カイト」
「どういたしまして。それじゃあそろそろ行くか」
「うん。そうだね」
「じゃあじいさん。ありがとな」
「気をつけるんじゃぞ」
第八話 終わり