第六話 カイトの家族と故郷
俺たちは次の村に向かい西に歩いていた
「な、なぁ・・カイト・・そろそろ・・・休・・もうぜ・・・」
「つ、疲・・れた・・よ・・カイト・・・」
「お前らだらしねぇなぁ・・俺、これくらいなんともないのに」
「きゅ、休憩・・しよ・・・」
「・・しゃあねぇなぁ・・・今日はここでキャンプするか」
「じゃあ魚とって来る」
「うん」
「姿魔法・ペリカン」
バッサバッサバッサバッサ・・・
「レイ。俺は何すればいい?」
「うーん・・・じゃあ森から何か食べられる物採って来てもらっていい?そしたら薪を集めてそれに雷魔法で火をつけて」
「わかった」
「ここはたくさん魚がいるなぁ」
どうやって捕まえよう・・・
「・・これ、鮭か?・・なら簡単だ・・・」
「・・とって来たよ」
「あ、大きな魚!おいしそう」
「・・見たことないのか?」
「うん。小魚しか・・・」
「これは鮭って言って川から海に行く魚なんだ。でも産卵の時期になると川の上流に戻ってきて卵を産んでまた海に戻る。でも失敗すれば熊の餌食になるんだ。鮭の卵は熊の好物だからな」
「へぇー」
ガサガサッ
「カイト生き物に詳しいな」
「バルト。何で森から?」
「かなり時間かかったけど、きのこ採り終えました」
「なるほどな」
「あと一緒に薪もとってきた」
カランカランカラン・・・
「んじゃ。火魔法!」
ボッ!
「・・バルト・・・」
「ん?どうした?」
「何でほとんど毒キノコなんだ?」
「毒ぅ!?」
「本当?」
「あぁ・・この模様・・毒入ってる・・なんでこれ選んだ?」
「・・悪い・・カラフルでうまそうだったから・・・」
カラフルな奴ほど危ねぇよ・・・
「・・まぁ、いいよ。鮭とイクラ手に入ったし」
「イクラ?」
「鮭の卵。俺のいたところでは値段の高い食材だ」
「おいしいの?」
「ちゃんと味付けすればな」
「どうするの?」
「こうする」
俺は市場でもらった皿と醤油を出した
「・・んー・・まぁ、これくらいかな。食ってみろ」
「・・・結構勇気いるんじゃ・・・」
「大丈夫だよ」
「・・・・」
パクッ
「・・おいしい!」
「だろ?」
「初めて食べた」
「バルトもほら」
「・・・・」
パクッ
「・・ん!うまいな」
こうして俺たちの晩ご飯が始まった
「なぁ。カイトって動物とかについて詳しいよな」
「しかも色々と機械も作っちゃうし。何で?」
「ん?あぁ。うちは変な家族でな。親が二人とも仕事で、父さんは生物学者で世界中に行って、母さんは科学者。それでときどきっつーか毎日のように父さんの生物学の本とかよんで、母さんに機械の事教えてもらっててな。それでそれぞれ詳しくなった」
「植物に関しては?」
「それは俺の趣味だ。自然を克服するには自然を知らないと。そしたらだんだん興味がわいて山とか自然に触れ合ってるうちに詳しくなった」
「それで足腰が鍛えられたのか」
「てかそれよりも父さんについて行っていろんな所に行ったからだな」
「へぇー」
いやぁ・・・
あの時は大変だった
「絵魔法!」
ボンッ!
「バルト君はテントにする?」
「・・いや。俺は木の上で寝るよ」
「わかった。カイトはテント使わないよね。おやすみ」
「あぁ、おやすみ」
「・・なぁカイト」
「ん?」
「お前ささっき、俺のいた所ではって言ってたじゃん。あれ、どういう意味だ?」
なんでって・・・
「あぁ、そっか。バルトには言ってなかったな。俺、人間界から来たんだ」
「人間界から?」
「あぁ。どうやってかはわからないが、そのようだ」
「へぇー・・じゃ、おやすみ」
「あぁ」
次の日
「はぁ・・はぁ・・はぁ・・はぁ・・・」
「ほら二人ともだらしないぞ」
「・・お前と違って俺は気ままに旅してたんだ。休憩のときは休憩ってな・・・」
「・・馬車使っちゃだめぇ?」
「だめだ」
「・・疲れたよぉ・・・」
「・・・じゃあ少し休むか」
「お、おぅ・・・」
「・・・じゃあそろそろ行くか」
「あぁ」
「もう、大丈夫」
「・・・」
俺は少し歩いたところで足を止めた
「・・どうした?カイト」
「・・・二人に聞きたい事があるんだ」
「何?」
「ある男はある町に住んでいた。男が住んでいた町は男にとってつまらなかったが、ある日、目が覚めると男は知らない町にいた。男は住んでいた町はあまり好きではなかったがなぜか帰りたいと思っている。それはなぜか」
「・・・クス・・・・そんなの簡単だよ」
「その男は住んでいた町があまり好きではなくても愛着があった」
「男は住んでいた町を恋しく思ったの。好きじゃなくても故郷だから」
・・故郷・・そうか・・・
「ありがとう・・・絡まっていた糸が解けたよ・・・」
俺はあの世界が、故郷が恋しいのか・・・
「俺はまだ・・ガキだな・・・」
第六話 終わり