第四話 龍神の祠
「・・ここか」
俺たちはナルバさんの言っていた洞窟にやって来た
洞窟は龍神の洞窟と言う名前だった
「うん・・なんか・・不気味・・・」
・・何か感じる・・・
何だ・・?
「とりあえず行ってみよう」
「うん・・・」
ピチャ・・ピチャ・・・
「鍾乳洞か?ここは・・・」
「ぁ・・・ぅ・・・」
・・水滴の音にいちいち声を上げてる・・・
そしてなぜか俺の腕につかまっている
「・・そんなに怖いか?」
「あ・・うん・・・ちょっと・・・」
「大丈夫だよ。俺がついてるんだから」
「(キュン)・・・・ありがとう」
「あぁ」
それにしても・・暗いなぁ・・・
「・・火魔法・点灯」
パァ・・・
「よし。明るくなった」
「・・・ねぇ、あそこに何かある」
「ん?・・・本当だ・・あれか。ナルバさんの言ってた祠って」
タッ、タッ、タッ・・・
「・・石ってこれか?」
澄んだ青い色の石・・・
「きれい・・・」
「こりあえずこれを・・・」
・・よっと
「よし・・これが何個かあるのか・・・」
「それを集めて塔の扉にはめればいいんだね」
『何者だ』
「!?誰だ!」
『我が名は青龍。水神なり』
「水神!?」
水の神!?
『お主らは名は』
「俺は戎人。人間界から来た」
「私はレイ。魔界の住人」
『人間界からだと?』
「あぁ」
・・何か考えてるな・・・
『・・我が石をどうする気だ』
「これを次元の狭間に持って行き扉にはめ、闇の支配者とか言う奴をこの世界から追い出す。そして俺は人間界へと戻る」
『・・それならば良かろう。もって行くがよい』
「そうか。じゃ、邪魔したな」
『だが!お主は水の力は使えん』
「水の力?俺は炎だ。水は使えない」
『ならばお主には無理だ。我が力はたくせぬ』
力をたくす?
『・・そこの女。レイと言ったな』
「はい・・・」
『お主は水の力を使える。我が力の継承者よ』
「え!?」
「確かに彼女は水が使えるかもしれない。しかしなぜ俺ではいけない」
『我が力の水は強大すぎる。水を使いこなせる者にしか制御出来ぬからだ』
・・なるほど
俺は水の魔法なんて持ってねぇからな
『レイよ。我が力の継承者となれ』
「・・・・わかったわ」
『ならば、お主の決意を見せてみろ!』
「え!?」
「なッ!?」
水!?
レイ!
!・・・そうか・・・
なるほどな・・・
「し、盾魔法・炎の壁!」
『無駄だ!』
「ぅ・・・・キャーーーッ!!」
「レイ!」
『我が力は水でしか返せぬぞ』
「・・・・・」
「レイ?」
レイが震えてる・・・
『まともに戦わぬか!』
水の弾丸!?
「キャーーーーーッ!・・・」
『・・やはり、お主では無理か・・・』
「・・けほッ・・けほッ・・・カイト・・なんで・・助けて・・くれないの?」
「・・・これはお前が水を使いこなせているかどうか試しているんだ。ここで俺が手を出してはいけない」
『ほぉ。その者はわかっているようだな』
・・俺だって助けたい・・・
レイが苦しんでるとこなんて見たくない・・・
でも手は出せなくても力を貸せる!
『・・残念だ・・お主も違ったとは・・・』
ザザーーーーーーッ!
「こ、これは・・・水壁!」
『そう。この水壁は少しずつ壁が迫って行きやがて中の者は死にいたる魔法』
「・・・そんな・・・」
「レイ・・レイ・・!」
「カイト?カイトなの!?その姿・・・」
「あぁ。姿魔法・ネズミ。水の流れにそって中に入ってきたんだ」
結構大変だったなぁ・・・
「・・ねぇカイト・・私・・どうしよう・・・」
「水魔法を使え!なぜ使わない」
「・・怖いの・・・」
「怖い?」
「水が・・怖いの・・・」
水が怖い・・・
「小さい頃に家族と川原でキャンプしてたの。そのときいきなり大雨が降って川の水量が上がって・・私、川に呑み込まれたの。それからずっと水が怖くて近づけないの・・・」
・・レイ・・・
「・・お前馬鹿だよ」
「え?」
「そのあとそれを克服しようとしたか!?近づけないって事はそんな事しようとして無かったってことじゃねぇか!それを言い訳にしてんじゃねぇ!!挑戦しようとしないで水が怖いなんてよく言えるな!!」
「カイト・・・」
「・・俺だって・・・」
「え?」
「俺だって水が・・いや、自然が怖いんだ」
「自然が・・・」
「小さい頃みんなで外で遊んでる時いきなりの雨で家に走って帰ってる途中、雷に打たれて目が覚めたのが二週間後だった」
「・・・・」
「目覚めた一週間後には大地震でタンスの下敷きになって、その翌年は海でおぼれてサメに襲われた」
「・・・・・・」
「・・でも、一番怖かったのは火事だ。おぼれた二ヵ月後、家が火事になって俺は外に出るためのドアも開かなくなって炎の海の中一人ぼっちで・・すごく悲しかった・・・そのあと燃えた屋根が落ちてきて俺は死に掛けたんだ」
俺は災害で何度も死に掛けた・・・
すごく・・すごく辛かった・・・
「・・・・そうだったの・・・」
「でも俺はその後自然が怖かったけど何とか克服しようとしたんだ。雷が鳴る日は必ず布団に潜り込んでいたけど雷鳴くらいは平気になった。地震は少し揺れただけで震えていたが震度三強までは我慢できるようになったしおぼれた件は泳ぐくらいなんて事なくなった。炎はまだ怖いけど火魔法のおかげでだいぶ怖くなくなったよ」
「・・・・・・・・」
「それに・・・護りたい者がある時、怖さなんて全く無いんだ」
「守りたいもの・・・」
「レイの水が怖いっていう気持ちは良くわかる。でも挑戦して克服しないといけない時もあるんだ」
「カイト・・・ありがとう・・・」
『ん?(気配が変わった?)』
「・・水魔法・水分裂!」
バシャッ!!
『ぬぁ!?我の水壁が砕けただと!?』
「もう・・水は怖くない!水魔法・水床!」
『ぬわっはっはっは!そんな事をしても意味は無いぞ!』
「いいえ。意味はある。水魔法・水上拳!」
『ぬぐぁ!!』
「水魔法・水縛り!!」
『ふははは!我は水神だぞ!!』
バシャッ!!
『それを知ってての攻撃・・か!?』
「それは少しの間あなたの動きを封じる為の囮。行け!水龍!!」
「がーーーーーーッ!!」
『ぬ、ぬぁーーーッ!!わ、我が・・負けるとは・・・!!』
ずぅん!!
「・・・やった・・やったー!!」
「レイ!やったな!」
「うん!ありがとう、カイト!」
と、そこでアクシデントがあり
「ぉわッ!!」
俺は床がぬれている状態になっている事をすっかり忘れていて走ってしまい思いっきり滑った
「え、えぇ!?」
スコーン!
俺はそのまま滑ってレイにぶつかってしまった
「ん・・ん!?」
「んん!?」
そのアクシデントで俺とレイはくちづけを交わしてしまった
「・・・ご、ごめん・・・」
「い、いや・・悪いのは俺だ・・・ごめん・・・」
『ぐぅ・・我が敗れるとは・・・』
「なッ!あいつまだ!」
『・・レイ様こそ我が力を受け継ぎし者。この力、お受け取りください』
そう言って青龍は青い勾玉になった
「・・・・・」
「お守りにしておけ。そいつの力が必要になるかも知れねぇからな」
「うん」
「・・・おい、青龍。この石はどうすればいいんだ」
『それは扉には必要ありませぬ』
「何だと!?」
『必要なのは我ら五神の勾玉のみ』
五神・・・
「・・もしかして他の四神は白虎、朱雀、玄武、黄龍じゃないか?」
『そうだが・・なぜお主はそれを知っている』
「俺のいた人間界では昔、それぞれが神と崇められていたんだ。青龍は水の神、白虎は雷の神、朱雀は炎の神、玄武は大地の神、そして黄龍は大空の神でな」
『そうか・・我らがそのように・・・』
「そういえばお前さ、お主も違ったかみたいなこと言ってたけど・・どういう意味だ?」
『・・この洞窟には昔、たくさんの子供たちが遊びに来ていた・・しかしある時を境にその子たちは姿を見せなくなった。それは闇の継承者の復活。奴のせいで子供たちが来なくなりここは静かになった。そこで思いついたのが我の水の力を誰かに継いでもらい闇を消すと言う事。我は人々がここの来てその者を試し我を倒せた者に闇を消してもらおうと。しかし皆水を操りきれず我に敗れた・・・そして現れたのがレイ様なのです』
「なるほどな」
そうだったのか・・・
「とりあえず旅だな。他の四神の勾玉を集めに行こう」
「うん!」
第四話 終わり