第十一話 仲間割れ
次の朝
「ぅー・・・眠い・・・」
「大丈夫か?レイ」
「うん・・大丈夫・・・」
「そうか・・・ところでさ。あれ、どうしたんだ?カイトは」
「・・・・・・・」
「・・さぁ・・どうしたんだろ」
・・・人間界、か・・・
「カイト♪どうしたの?」
「レイ・・いや・・・・・俺、こっちで暮らそうかな・・・」
「え・・?」
「こっちだったら向こうと違って学校とか無いし法律なんかも無い。それに楽だし・・・」
「じゃ、じゃあこの世界を救うのはどうするの・・?」
・・この世界を救う・・・
「何か・・面倒臭くなった・・・」
「な、何でだ?この世界を救うって言ってただろ。ここを幸せにして人間界に帰るってよ!」
「・・・もう、いいや・・・」
ここがどうなろうと・・・
「俺は・・所詮子供だ・・母さんとは違う・・・俺はこの世界で静かにくら・・・」
バチン!
「・・・・・」
俺が言いかけてレイがビンタしてきた
「お、おい・・レイ・・・」
「私・・カイトの事、見損なった。ここを救うって誰よりも一生懸命だったのに・・・」
「・・・・・・」
「もういい。私、一人で行く。バルト君はどうするかわからないけど私は行く」
レイ・・・
「私がカイトにはじめてあった時、あの時私、実は毎日泣いてたんだよ。お父さんもお母さんも死んじゃって残ったのは私一人だったの・・でもカイトと出会って一緒に旅させてくれてうれしかったの・・でも・・もう知らない・・・」
「レイ・・・」
「・・・カイトなんて大っ嫌い!」
レイはそういって飛び出していった
・・・レイ・・泣いてたな・・・
「カイト。俺もお前を見損なったぜ」
「バルト・・・」
「・・あいつはなお前の事、好きだったんだぜ」
「・・・・・・・」
「それにお前を誰よりも信じていた。なのにお前はその気持ちを踏み躙ったんだ」
「・・・・・・・」
「俺ももうお前になんてついて行けねぇ。俺は行く。追うかどうかはお前しだいだ」
・・・・・バルト・・・
バルトも出て行きその数秒後
「カイト様・・おや?お連れの二人は・・・」
「・・・わかってたさ・・・」
「はい?」
「そんな事・・とっくに知ってたさ・・・」
俺だって・・レイのこと・・・
「・・カイト様、何があったか知りませんがお仲間は大切にするものです。一人では出来ない事が仲間と一緒ならできることだってあります。・・あのお二人はあなたを尊敬していました。頼れる仲間として、そして信頼ある友として」
「・・・・・俺は、どうすれば・・・」
「自分の気持ちに素直に答えてあげればいいのです。そうすれば進むべき道は自ずと開けます」
俺の気持ち・・みんなと一緒にいたい・・・
「すまない!ちょっと出かけてくる!」
「道が開けたらまたここにお集まりください」
「ありがとう!」
「・・ぐす・・カイト・・なんでなの・・・?」
「レイ!」
「・・バルト、君・・・ぅ・・うわーーーーーん・・・」
「お、おい、泣くなよ・・・」
「う・・ひっく・・なんで・・ひっく・・なんでカイトは・・ひっく・・あんな事・・・」
「俺も知らねぇよ・・そんな事・・・」
がさがさ・・・
「・・何かいる・・・」
「え・・ぶ、武器を・・・あ、あれ・・・」
「どうした」
「お、置いてきちゃった」
「何!?俺もだぞ」
「・・魔法だけで何とかするしか・・・」
がさがさがさ・・・
「へへへっ、久しぶりじゃねぇか」
「・・誰だ!」
「俺さ」
「・・あ、あなたは!」
「レイ、知ってるのか?」
「うん、私のいた村を襲った暴走族のリーダーだよ」
「よく覚えてるじゃねぇか。でもお前らはここで死ぬ運命にある!」
その時、周りを暴走族が囲みました
「に、逃げられない・・・」
「へへっ・・やれ!」
「ひゃはははははは!」
「〜〜〜〜・〜〜〜〜〜〜」
「え・・?(今の声・・・)」
「やられる!」
「ぐあ!」
・・どさ・・・
「ひぃぃぃ!俺達の基地を破壊したやつだ!」
「に、逃げろー!」
「・・・・え・・な、何がおきて・・・」
「ぐがーーーーーッ!」
「・・あ、あれは・・・」
・・・ったく、俺がいないとだめじゃん・・・
「カイト・・・」
「・・・カイト・・・・!な、何しに来たの?この世界がどうなってもいいんでしょ?」
「レイ・・・その・・俺・・・」
「もう、カイトなんて嫌いって言ったでしょ!ほっといてよ!」
「レイ!」
ギュ・・・
俺はなぜかレイに抱きついた
「カ、カイト!」
「ごめん・・俺、ここがどうなってもいいって言ったけど・・やっぱり助けたい。母さんの、俺の故郷だから・・レイやバルトがいるから・・・俺は・・二人と一緒にいたい・・!」
「・・で、でも私は手を貸さないわよ。一度私たちを裏切って・・許さないんだから・・・許さないんだから!」
レイは抱きつく俺を引き離し、向こうを向いて言った
「・・・ごめん・・でも・・俺・・・」
「カイトなんて嫌い!」
「・・レイ・・・」
「・・レイ。許してやれよ。本当はうれしいんだろ?カイトと一緒にいたいんだろ?・・・自分に素直になれよ」
そしたら次はレイから抱きついてきた
「レイ?」
それはとてもつよく、そして温かかった
「・・私・・カイトなんて嫌いなんだから・・・」
「・・・許して、くれるのか?」
「・・うん・・・」
「・・一緒にいてもいいか?」
「・・うん・・・」
「レイ・・・」
・・・ありがとう・・・
俺はレイを抱き返した
「一件落着、だな・・・」
「・・・・・カイト・・・」
「ん?」
「・・大好き・・・」
第十一話 終わり