第十話 カイトの母、チホコの真実
「・・なぁ、カイト。このまま歩いても着くのに時間かかるんだからお前の魔法で鳥かなんかになって飛んでった方が早くないか?」
「でも健康的には歩いた方がいいんだぜ?」
「それでいつもいつも足が棒になってちゃ意味なくね?」
んな事言われてもなぁ・・・
「レイはどうだ?」
「私はバルト君の意見に賛成。もう疲れちゃったよ」
「ほら。どうする?」
・・・みんなして・・・
「わかったよ。恐竜魔法・プテラ」
「・・なんでプテラノドン?」
「空を飛ぶやつで一番でかいから。さて、行くぞ。乗れ」
バッサ、バッサ、バッサ、バッサ、バッサ、バッサ・・・
「うーん♪風が気持ちいい♪」
「やっぱ飛ぶので正解だったな」
疲れるのは俺だからな・・・
「でも気をつけろよ。空飛んでて危ない事だってあんだからな」
「大丈夫大丈夫」
ダメだろ・・・
「少しは気に・・・」
バキューン・・・
今何か聞こ・・・
ビュン!
「うおッ!?」
「わっ!カイト!危ないじゃない!」
だ、弾丸・・!
これはやばいぞ・・・
「・・二人ともとりあえず手を離せ」
「え・・そしたら落ちるじゃ・・・」
「いや、落ちろ!」
「何!?うわーーーーッ!」
「キャーーーーッ!」
「動物魔法・象!」
ぴゅーーーー・・・
どしん!
「な、何だぁ!?」
「恐竜魔法・アロ!・・・・・グラーーーーーーッ!!」
「ひ、ヒィィーー!」
「に、逃げろーーーーッ!」
撃ってくんじゃねぇ!!
「ったく・・ってやべぇ!動物魔法・大猿!」
「わーーーーーッ!・・!」
「キャーーーーッ!、!」
「・・・・セーフ・・・」
あぶねぇ・・もう少しでこいつらの顔つぶれてた・・・
「・・た、助かった・・・」
「・・・もう!カイト!」
「何で落としたんだ!!」
「いや、悪いわるい。鳥と間違えたのかハンターみたいなのに俺が狙われてたからさ」
「だからって落とすこと無いでしょ!」
・・あぁ・・うるせぇ・・・
「悪かったって・・・・古代魔法・サーベル!」
「!・・ど、どうする気だ」
「乗れ。空より地面の方がきっと安全だ」
「・・そうだね・・・さっきみたいな事はもう・・・」
「あぁ・・じゃあ乗るぞ」
ダッ!
「・・着いたぞ」
「よっと・・ここが南の村か」
「何か一気に暑くなったような・・・」
「・・そういえば飛んでるときこの前に一つ町があったけど・・・」
「こっちに着ちゃったんだからいいじゃん」
「・・そうだな」
・・なんだろう・・・
「どうしたの?カイト」
「いや・・俺、何かここ知ってる気がする・・・」
何か・・懐かしいような・・・
「え?でも来たことないんでしょ?」
「あぁ・・・」
「変だな・・・」
「気のせい・・かな・・・」
「・・うん、きっとそうだよ」
でも・・何か・・安心できるような・・・
「とりあえず宿探そうぜ。な、カイト」
「あ、あぁ」
「すいません」
俺はそばにいた男性に話しかけた
「ん?なんだ?」
「この辺に宿ってありますか?」
「ここら辺に宿は無い・・ん!?」
俺が話しかけた男性はこちらを向いてなぜか驚いた
「お、お前・・・」
「な、何だ・・?」
「お前、名は?」
「カ、カイト・・・」
「・・カイトか・・・」
な、何だ・・・?
「あの方にそっくりな目をしている・・・」
「あの方?」
「フレア様じゃ」
「じ、じいちゃん」
誰だ?
ここの長老か・・?
「おぬし」
「な、何?」
「おぬしの家系にフレアと言う者はおらぬか?」
「・・フレア・・・」
聞いたこと・・あるな・・・
「いる」
「やはり。お前はフレア様に続くこの世界の救世主だな?」
「・・・・なぁ、フレアって何ものなんだ?」
「フレア様はこの世界の者ながらこの世界を護った前救世主なのじゃ」
この長老らしき人が言うには・・・
数千年も昔、闇を継ぎし者がどこからか現れそして同時にこの世を救いし者も人間界から現れた
闇を継ぎし者はこの世界で一番高いあの塔の最上階から闇を広めようとしていた
そしてこの世を救いし者は仲間を集め、闇を継ぎし者を追放するため、そして人間界に戻るために塔へと向かっていた
「ちょっと待て、母さんはここの世界の者なんじゃないのか?」
「まぁ話を聞け」
しかしこの世を救いし者はこの世界が気に入り人間界に帰ろうと思わなくなった
と同時にこの世を救う事にも否定した
その間にも闇は広がり、もう皆があきらめたその時、五人の戦士が立ちあがった
彼らは五つの自然の魔法を扱っていた
水、雷、炎、大地、そして風
しかし彼らはそれだけでは闇には勝てないと思い五人の神に力を貸してほしいと頼んだ
神々はもちろん協力をした
神々の名は青龍、白虎、朱雀、玄武、そして黄龍
五人は神の力を手にし闇に立ち向かった
しかし闇の力は強大すぎ、倒す事が出来なかった
闇が彼らを倒そうとした時、ある一筋の光が射した
それは太陽の神、鳳凰の光だった
鳳凰が現れると朱雀は火が消えるようにいなくなってしまった
朱雀は鳳凰の炎から生まれた神だったのです
鳳凰は炎の魔法使いに力を託した
闇の力は弱まったものの炎の魔法使いはもうボロボロである手段を取った
それは、封印
闇を違う器に封印することで闇は封じられる、そう思った炎の魔法使いは札を作りそこに封印した
そして闇を継ぎし者を人間界へと追放した炎の魔法使いは自分は人間界へいくと言った
人間界と魔界とでは文化が違うと言う、その世界へ行きたい
と言い人間界へと行った
最後に、また戻ってくる、と言い残して
「・・じゃあその炎の魔法使いがフレアなのか?」
「うむ、そうじゃ。しかしあれからフレア様は戻ってこず、もう何千年もたっている」
「人間界でお亡くなりになられたのでしょう・・・」
・・フレアは死んだ、ねぇ・・・
「・・なぁ、お前ら一つ間違ってる。俺の家系の事で」
「な、何じゃと!?」
「フレアは俺の先祖じゃねぇし俺はフレアの子孫でもないんだよ」
「・・どういう事だ?」
わからねぇ奴らだ・・・
「フレアは俺の母親だ。今、チホコって名前だけど。俺の親父と話しているのを聞いた事がある」
「な、何を言っている!」
「フレア様がここを去ったのは何千年の前の話!生きているはずが無かろう!」
「でも母さんは二十年前に来たって・・・!・・そうか・・・」
そういう事か・・・
「どうしたの?カイト」
「きっとここと人間界とでは時間の流れの速さが違うんだ」
「何じゃと?」
「たぶんここは人間界より時間が速いんだよ。それならこっちで何千年たっても向こうじゃ何十年しかたってないことになる。それならつじつまが合う」
でないとめちゃくちゃだ
「で、ではフレア様は生きておられるのか・・?」
「あぁ。父さんと仲良くやってるよ」
「あぁ・・ああ・・・・よかった・・・よかった・・・」
・・なんで・・?
「それはさておき」
「ん?」
「カイト様はどの様な魔法をお持ちで?」
「あ〜・・・動物魔法、古代魔法、恐竜魔法、龍魔法、それと火魔法だ」
「火魔法?見せてください」
「あ、あぁ・・?・・火魔法」
ぼっ!
「・・・これは・・炎魔法ですね」
「炎・・?どう違うんだ?」
「火魔法は単に物を燃やしたり火の玉を作れるくらいで炎魔法は腕などからまるで燃えてるように炎を出せそのまま攻撃する事も出来ます」
「へぇー・・・」
・・それマンガで見たことあるな・・・
・・なんて名前だっけ?
「・・やはりあなた様はフレア様の子、そしてソル様のお孫様ですね・・・」
「・・ソル?」
確かソルって、どっかの国で『太陽』って意味だったな・・・
「ソル様はフレア様の父親、そしてこの南の村の太陽のような存在の方でした」
「しかしある時この世界で凶暴な希少動物、九尾が幼かったフレア様を襲ったのです」
「九尾!?」
九尾って・・こっちの世界にはいるのか!?
人間界では想像上の生き物だぞ!?
「その九尾は突然変異で巨大化してしまい誰も手がつけられなかったのですがソル様は自らの命をかけ九尾を傷つけずにフレア様を護ったのです。そしてソル様の魂は炎となって天にのぼりました」
「それからソル様は我々を天から見守っておられるのです」
「・・・いや・・ソル、いや、じいちゃんはもうここにはいない」
「何ですと!?」
「人ってのは生前、偉大な事をし、人々の心に残っていれば神となるんだ。そしてじいちゃんは人々を救った、だから神になったんだ。じいちゃんはどんな魔法が得意だった?」
「ソル様は火炎魔法を使っておりました」
・・母方の家系は炎ですか・・・
「じいちゃんは炎を使いそして偉大なことをしたそして・・・」
「炎の神・・朱雀・・・」
「違う!じいちゃんは太陽みたいな人だった。だから太陽の神になったんだ」
「太陽の神・・・」
「そして後に鳳凰と呼ばれるようになった」
まさかじいちゃんが鳳凰だったとは・・・
「しかし、なぜそれがわかるので?」
「・・・闇との戦いで母さんを護ったのは?」
「・・・・太陽の神・・・」
「そう。鳳凰は闇を消したくて手を貸したんじゃない、母さんを護りたかったからだ」
父子の絆、か・・・
「そうですか・・・ではソル様はもういないと言うのは?」
「鳳凰、つまりじいちゃんは母さんに力を貸したんだろ?だったら一緒に人間界にいるんじゃないのか?」
「人間界に・・・」
俺もどうか知らないけど
「・・さて、もうだいぶ遅くなってしまいましたね。ここに宿はありませんが、一つ、誰も住んでない家があります。そこへ案内しましょう」
「ここです」
「・・・・・」
何か懐かしい・・・
「・・まさか・・ここって・・・」
「はい。フレア様の住んでいた家です」
「・・ここが・・母さんの住んでいた・・・」
・・気持ちが温かい・・・
「カイト・・・」
その夜・・・
「・・母さん・・俺、今魔界を救うためにがんばってるぜ。母さんと父さんは元気か?俺は元気・・母さんはこっちの人間だったんだな、驚いたよ。そっちに戻るのは結構遅くなるかもしれないけど心配するなよ。・・じゃあ」
「(カイト・・人間界が恋しいのかな・・・)」
第十話 終わり