二つ名。
ライトアップされたミスリルクラブは綺麗だったし、王妃様と姫さんは相変わらず元気なご様子だ。そして日中はリザと祭りを楽しみ、夜は皆でカードゲームやボードゲームやったり、俺と王様がハブられ女子会が開かれたりと楽しみながら過ごした。祭りが終了するとミスリルクラブは速やかにインゴット化された。
「ほいリザちゃんおまたせー。全部で1憶と4000万ガルドね。普通サイズに比べかなり純度が高く殻も厚かったから高額になったぞい。あと言われた通り一部はインゴットで渡すな」
「ありがとうございます王様」
「インゴットで貰ってどうすんだリザ?」
「ふっふっふ、それは新しい武器を作るのです!」
「買うんじゃなくて?」
「お金も入ったし此処はバーンと、既製品じゃなく思い切ってをフルオーダーしよう思うわ、そのために王様に良い鍛冶工房教えて貰ったし準備万端よ!」
「いや何でわざわざインゴット持ち込むんだ? 持ち込まんでも作ってくれるだろ?」
「甘いわねハルキ、工房に常に自分の望む素材ががあるとは限らないし、持ち込めば確実だし、しかも安くなるわ!」
「なるほど把握」
「あとこれ迷わない様に工房の地図ね。今回はフルオーダーだからスーンの出番は無いなぁ」
「えぇお忙しいのに案内だけ頼むのも気がひけますし、それでじゃ早速行ってきます王様。ハルキも行くわよ」
「ほほい」
地図に記された工房にやって来ると厳つい40位のおっさんが出迎えてくれた。
「いらっしゃい、今日はどんな要件だ?」
「これで総ミスリルの双剣をフルオーダーしたいんだけど、お願いできるかしら?」
リザがマジックバッグからミスリルのインゴットを取り出しカウンターに置く
「おぉ、素材の持ち込みとは気合の入り方が違うな、任せとけ! それじゃ今使ってる双剣見せて貰って良いか?」
「えぇどうぞ」
「ふむふむ、ちょっと其処で適当に素振りして見せてくれないか?」
「えぇ」
手に取り何やら確かめていたが、今度は素振りの要求だ。リザはそれに軽く答え俺は離れてそれを見守る。店内はそこそこ広いので何ともない。
「おう、ありがとうな、もう良いぞ。次は今の武器の気になる点とか、こんな感じにしたいとかあれば教えてくれ」
「えっと―」
リザとおっちゃんは色々と相談しながらどうするか決めていっている。俺にはわからん世界なのでほっとく。
「そういや嬢ちゃんも疾風の双剣に憧れてるくちかい?」
ピク
「いえ、別にそういう訳じゃ無いですよ。たまたま同じ双剣使いだっただけですよ」
「そうか、いや失敬。そりゃそうだな。わざわざ素材を自前してくる位だしな。いやなに、うちのお客さんに結構そういうのがいてな? 済まなかった」
「いえ別にお気になさらずに」
「おっちゃんその話もうちょい詳しく教えてくれ!」
「な!!!!?」
俺はリザが一瞬変な反応したのを見逃してないぞ? しかもその反応……うひひ。
「ん? 知らないのか? この王都の近くにな、グラムっていうダンジョンのある大きな街があるんだが、そこの少女の話だ。なんでも当時若干14歳でダンジョンを踏破した可憐な少女らしいぞ? あそこのダンジョンは初心者向きだが、それでも14歳の少女がそう易々と1人で踏破できるほど生易しいものでもない。そんなダンジョンで双剣で疾風の如く魔物を狩る姿から、疾風の双剣と呼ばれてるって話だ。あと別名可憐な少女から、ツインソードフェアリーとも謂われてるらしい。まぁそういう話があって憧れで双剣を習い始めるお嬢さんとかいるんだ」
「ほっほぅ? ふむふむ、なるほど。ん? どうしたリザ? 顔が真っ赤だぞ?」
「うわ! ほんとだ嬢ちゃん大丈夫か!?」
俺はわざとらしくリザに問いかける。おっちゃんの話に途中から顔が真っ赤だったが、十中八九リザ本人のことだろう。なんかプルプル震えてるし。
「あーさっきの話のツインソードフェアリーは其処にいるリザ本人だと思われます」
「その名で私を呼ぶなぁーーー!!
羞恥心に耐え切れずにとうとう叫びだした。
「うわフェアリーどうした!?」
「くっ!!!! 次それ言ったらハルキでも容赦しないわよ?」
「わかったわかった。ケーキ奢ってやるから機嫌直せ」
「…3件」
「おう任せておけ」
どうやら機嫌は直ったらしいがそれにしても3件か。まぁ別に良いが。
「あーなんかすまんなお嬢ちゃん。詫びに割り引いてやるわ」
「…ありがとう……」
リザの二つ名が暴露されるという面白イベントがあったが、おっちゃんとリザの相談も無事終わり、その後ケーキ屋をはしごして城に戻った。新しい双剣は4,5日程かかるらしい。
「というわけで王様もうちょい世話になるわ、祭り終わったのにすまん」
「そっか。んじゃ明日からまた海行くからよろしく」
「ん? ちょっと何言ってるか分からない」
「え? だから明日からまた海行くんだぞい」
「いや前に行ったじゃん」
「あーあれは予行練習だから」
「海に予行練習とか新しいな。また同じプライベートビーチに行くのか?」
「いやあそこの近くのベネッツァという街に行くぞ」
「なんでまたそのベネッツァに行くんだ?」
「ん? 波乗り大会があるんだぞい、ハルキとリザちゃんもエントリしといたから」
「「は?」」
黙って聞いていたリザだが、いきなり大会にエントリーと告げられ俺とハモった。
「いやだから波乗り大会があるからエントリーしといたぞい。俺は一般の部、ハルキとリザちゃんは魔法の部だ」
「え? 魔法で戦ったりすんの?」
「違う違う。物騒な奴だな、ハルキは。そうじゃなくて魔法の部は主に強化魔法を使って良い部門だ。妨害とかそういうのは無しだから安心しろ。ちなみに一般の部で魔法使うとバレて失格だからな」
「なるほど、ちゃんと安全なんだな」
「おう安心していいぞ、んじゃそういうわけだからよろしくな」
「だってさリザ」
「ハルキには負けないわよ!」
「この俺に勝てるかな?」
「ふふ、やってみなくちゃ分からないわよ!」
魔法無しならリザの圧勝だが、魔法有なら俺はホバーボード化できるからな、優勝も出来るんじゃないか?




