肉。
「じゃ今日もダンジョンで行くわよ!」
「おいダンジョンはフィットネス施設じゃ無いぞ?」
「変らないでしょ?」
「まぁいいが1周だけだぞ?」
「ぶー! まぁいいか、明日も行けば」
昨日のダンジョンがよほど楽しかったのか、今日も朝からダンジョンに行こうと誘ってくる。リザにとってダンジョンはフィットネス施設と何ら変らないらしい。
「ふー! やっぱ体動かした後の肉は最高ね!!」
「まぁそれは否定しない」
「ふっふっふ、素直になっても良いのよ? ほら明日も美味しく食べるためにダンジョン行くわよ? それとも午後からも行く?」
「行かねぇよ! っと言いたいとこだが実際することは無いんだよなぁ」
「あら暇なんでねハルキさん」
「うわでた!」
まぁ出たも何も此処はギルドの食堂なんだから、メアリーさんが居るのは当然なんだが、心臓に悪い。
「驚き過ぎですよ、別に何にも無いですよ。そうそうダンジョン踏破おめでとうございます。そこで記念に―」
何かくれるんだろうか?
「ドラゴンでも倒しに行きますか?」
「いや意味が解りませんが? 記念関係ないですよね?」
「そうですか? 行けば良いじゃないですか? 暇なんですし」
「いやいや、暇で狩るような魔物じゃ無いですよね? それより何か仕事ですか?」
「いや本当に何でもないですよ。只からかいに来ただけです。それとチョコブラウニーありがとうございました。とても美味しかったです。お金2倍払ってもいいのでもう1個ないですかね?」
なるほど、それが目的か。
「ありま―」
「ありがとうございます!!」
取り出し、言い終わる前に、目にも止まらぬ速さチョコブラウニーを強奪すると同時に消えた。馬鹿な! 速すぎる! そしてテーブルには本当に2倍の代金が置いてあった。
「メアリーにそんなの見せたら駄目じゃない」
「なんであんなに素早いんだ?」
「他の職員に見つかったら、戦争が起こるからじゃない?」
「それほどか……」
「あーーーーーー!! ハルキ君とリザちゃぁぁぁん!!」
唐突な叫び声に俺とリザは同時に声のする方へと咄嗟に顔を向けると、そこにはイリーナさん、バルドさん、シンリーさん、ウィルさんの4人が居た。
「いつ王都から戻ってきたのよ! ご飯誘おうと思ってたらいつの間にか王都に行ってるってメアリーさんから聞いたけど、一向に帰ってこないし。はい今日は焼く肉パーティーをします! わかりましたか!?」
「「え? はい」」
イリーナさんの剣幕に思わず俺とリザは返事をしてしまった。
「宜しい。さぁ皆、今日は忙しくなるわよ! 全力でハルキ君達2人をもてなすわよ」
「やっと約束を果たせる時が来たな」
「あぁ、あの時の礼を僕達は忘れてはいない」
「私の本気を見せるときが来たようね」
「シンリー、君には何も作らせないぞ?」
「え? 何言ってるのウィル?」
「何言ってるのはあなたでしょシンリー。先週ウィルに内緒で料理して鍋ダメにしたの忘れたの?」
「なーに今日は大丈夫よ」
「その根拠のない自信は毎回何処から出てくるんだ? 良いから今日は僕達と一緒に食材買いに行くぞ、バルドは酒の手配を頼む」
「あぁ任せておけ」
「んじゃハルキ君夕方6時頃に私の家に来て、庭でバーベキューよ! ちゃんとお腹を空かせて来てね!!」
イリーナさんはそう言うとさっさと報酬を受け取り、出ていってしまった。俺とリザはただ茫然とその様子を見ているしかなかった。
「リザ、今日バーベキューらしいぞ?」
「そうね。取り敢えず言われた通りお腹空かせるために、ダンジョン行っとく?」
「あぁそうするか…」
こうして本日もダンジョン2週目に行くことになった。その帰りに前に見つけた酒屋さんでバーベキューの差し入れにと寄った。
「此処お母さんとお父さんがちょくちょく来てるみたい」
「おぉそうか、売り上げにちょっとは俺も貢献できたかな」
しかし【配達中】の札がドアに下げられていた。ありゃタイミングが悪い。仕方が無いので諦めてバーベキュー会場へと向かった。
「かんぱーい!!」
「いえーいかんぱーい!」
何度目か分から無い乾杯をし飲めや喰えやの大騒ぎである。近くにはビールとワインの木箱が置かれているが、その木箱には先程寄った酒屋さんのロゴマークが焼き印されていた。なるほど、此処に配達に来ていたのか。
「ハルキ君ちゃんと食べてる? ほらビックグリズリーのお肉とかあるわよ!」
「あぁ、大量入荷したらしくて普段より割安で買えたんだ。美味しいぞ」
「肉には赤ワインか、ビールが合うぞ」
「ほらリザちゃんを見習って食べて食べて!」
皆さんが俺に色々とおススメしてくる。というかこのビックグリズリーの肉って俺らが捕ってきたやつでは? そんなリザは一心不乱にイリーナさんが取り分けられた焼けた肉からひょいひょい食べてはワインを飲んでる。ちゃんと野菜も食べような。
「そうそう、聞きたかったんだけど新聞載ってたハンターってハルキ君だよな?」
「あーそれ私も思ったわ。というかそれ以外ないでしょ、同時期に王都に行って、しかも豪華な馬車が迎えに来たって。その目撃情報にリザちゃんが乗ってた話だもん」
「あーはい、それ俺です」
あぁー俺はともかくリザは街でも実力者で有名だからな。という事は街の皆が知ってるのか、そこまでは考えてなかったわ。
「やっぱり! じゃあマジックバッグがいつ頃売られるか知ってたりする?」
「いやーちょっと分かんないですけど、今度王様に会ったとき聞いときます」
「そっかありがとう、ちなみにいくら位か分かる?」
「ギルドの買い取りのおっちゃんは、安くても100万位って言ってたました」
「ふむそうか、売り出されたら僕達も1つか2つ買っとくか?」
「そうだな、ハルキ君の収納程じゃないが、やはりあれば何かと重宝しそうだしな」
ウィルさんとバルドさんがマジックバッグについて検討し始めた。え? そんな簡単に買えんのか、凄い人達なんだな。
「俺今何個か持ってますけど、良ければお売りしましょうか?」
「んーそれは有難いがやめておこう。僕らが持っていると他の人もハルキ君に売ってくれと迷惑がかかるし、発売まで待つさ」
「あぁそうだな、急ぐわけでもないからな。気を使わせてしまったな」
「いえそんな」
「まぁ今日はリザさんを見習って楽しんでいってくれ」
「はい!」
リザは相変わらず食べて飲んでいるが、そろそろ浄化掛けて酔わないようにしといてやるか…。




