熊。
「ふぅー、広くて良いわね、ハルキありがとう」
「おう上がったか。飯食ってくか? オムライスで良ければだが」
「食べる食べる! あと髪お願い」
「ほいほい」
湯上りのリザの髪を、俺の魔法『ファイア&ウインド』で乾かしてやり、其の後はオムライスとサラダを作り、一緒に食べる。我ながら美味いと思う。リザも美味しいと褒めてくれた。
帰るとき送るか?と聞いたら、近いから大丈夫と言われてしまった。まぁ歩いて5分も掛からんしな。
翌朝ギルドにロイ君達と集まり相談すると、このまま狩りに行くことになった。今は何を狩るが吟味中だ。俺とリザは別になんでも良いがロイ君達はそうも行かない。最悪死んでしまうから獲物選びは慎重だ。久々に会ったロイド君とリリィちゃんは変らずの様子だったが、ロイ君とは少し背が伸びて、筋肉もつき始めている。ちょっと男らしさが出てきている。多分剣の稽古の成果だろうな。
「あ、これなんてどうですか?」
ロイ君が掲示板に張られた1枚の紙を指さしリザに訪ねていた。俺はというと掲示板を見るのも初めてだから色々と見ていた。どうやらギルドには主に日雇い労働から護衛依頼や常時ある採取や魔物の討伐等があった。ロイ君が選んだのはその中の魔物討伐の1つで、ビックグリズリーと書かれている。熊か?
「あぁ良いんじゃない、ゴブリンキングより強くウルフキングより弱いし、丁度手頃な強さね。素材も良い値で引き取ってもらえるし。でも良いの? 見つからなきゃ無駄足になるわよ?」
なるほど、常に出くわすとは限らないからな。会えなきゃその分赤字だしダンジョンの方が堅実か。
「その時はその時ですよ、折角リザさん達と狩れるんですから、何時でも行けるダンジョンじゃ勿体無いですよ」
「そう? じゃ見つからなきゃ森で野宿するつもりで行くわよ!」
「「「おー!」」」
「おー」
リザの掛け声にロイ君、ロイド君、リリィちゃんが、元気よく返事をする。俺も遅れて返事をした。
街から歩いて数時間の距離に森が広がっていて、この森にビックグリズリーが生息しているらしい。離れ離れにならない様注意しながら皆でビックグリズリーを探すが中々見つからない。今は街で皆で買って俺が収納していたサンドイッチやホットドッグを配り、適当に樹の根に腰かけ遅めの昼食タイムだ。
「やっぱり新聞に載ってたハンターって、ハルキさんだったんですね」
「くぅー! 俺も一獲千金狙いてぇ!」
「マジックバッグって何時頃一般に出回るんですか?」
「んー早くても、もう1,2か月位かな? 俺も丸投げしてるから良く分からん。ごめんなリリィちゃん」
「まぁどうせ俺らには買えねぇよ、いくら位になるんすかね?」
「ギルドの買い取りのおっちゃんは、安くても100万位って言ってた」
「かぁー! 無理」
実は既にマジックバッグの件は公にされていた。まぁダンジョンで扉作ってる時点で隠しようがないんだが、発見者の俺の名前は俺の希望で伏せて貰っている、あんま目立ちたくない。だがまぁロイ君達の様に気づく人は気づくし、多分イリーナさん達も薄々気づいてるんじゃないだろうか。だってあんな豪華な馬車で迎えに来たらバレバレだろう。
「それでどうする? 見つからないけどビックグリズリー諦めて帰る?」
「いえ、もう少し探して暗くなったら野宿しましょう」
「そっすよ、折角リザさんの戦闘が見れるチャンスなのに、諦めるなんて無いっす」
「私もせっかくならビックグリズリー狩りたいかな。いい経験になるし」
今日は野宿決定の様だ。まぁ来るとき食料は買ってあるから大丈夫だけどな。
「じゃ皆、ビックグリズリー狩り再開するわよ!」
「「「「おー!」」」」
リザの掛け声に今度は俺も遅れず返事をした。その後を結局見つからず、今は夕飯の中だ。
「なかなか見つかん無いもんだな」
「そうね、やっぱダンジョンの方が良かったかしら?」
「いや見つかんなくても楽しいですよ、やっぱりダンジョンは慣れてくるとマンネリ化しますしね。それにしてもハルキさんは凄いですね」
「ん? 何がだ?」
「いえ、ファイアもウォータも僕達とは全く違って吃驚ですよ。焚き火の為に枯れ枝でも集めようとしたら、これですからね。魔力どうなってるんですか?」
ロイ君が俺の出した焚き火もといファイアを見ながら言った。野宿の為に焚き火をしようと、燃える物を探しに行こうとしたロイ君達を止め、俺が出したものだ。
「さぁ? 俺は魔力とか良く分からんし」
「そういうのは大抵ハルキだからで納得しとくと疲れないわよ」
「ほんと収納が使えるだけでもスゲェのに、ファイアも規格外とかどんだけっすか」
「でも俺ファイヤーボールとか使えないし、ロイ君は何か派手な魔法使える?」
「派手と言えばファイアトルネードとかですかね、この間使えるようになりました」
「いいなぁ、派手な魔法」
そんな他愛も無い会話をしながら交代で睡眠を取った。
翌日も森でビックグリズリー探しだ。食料の問題で見つからなくても街に戻らなきゃいけない。っとリザが声をあげずに手振で合図をしている、どうやら見つけたようだ。皆が素早く音を立てない様集まると、リザが指差した方に2本足で立つ茶色い熊がいる。なるほどビックグリズリーの名に恥じない大きさだ。3メートは優に超えてるんじゃないか? あんな爪で攻撃されたら俺なんか一撃で死ぬ自信がある。
「ちょっと小さいわね、じゃロイ君達、見守っててあげるから頑張って」
「え? リザさんが狩って、僕たちに勇士を見せてくれるんじゃないんですか?」
「それじゃロイ君達の経験にならないじゃない。次見つけたらちゃんと私が狩るし、危なくなったら助けるから、安心していってらっしゃい」
リザの説得にロイ君達はビックグリズリーの前に姿を現す。確かにリザが狩ったらロイ君達の経験にならんし最もだな。まぁロイド君は残念がってるが仕方がない。取り合えずもう1匹見つかることを俺が神様に願っておこう。というかあれで小さいんか。




