其の呉 美少女転校生現る?!
「グゥー」
「おい、拓人、腹鳴らすなよ」
「すまんすまん、朝ごはん食ってなくてよ〜」
「はぁ、後でパン奢ってやるよ」
「サンキュ、伊月!あ、そう言えばお前聞いたか?」
「何を?」
「なんか転校生が来るらしい、それも2人」
ふーん、《《2人も》》か。
「1人は男子らしいが、ぶっちゃけ興味無い、大事なのはもう1人!」
こいつ、まさかとは思うが期待しているわけじゃないよな?
「女子なんだけどさ、10歳らしいんだ」
「?!」
どうゆう事だ?飛び級制度なんてあったか?
でもでも10歳は流石に……、ん?俺どこかで出会った気が……。
「お前ら席につけ〜、えー、転校生を紹介する、ほら、入って来なさい」
先生がそう言うとガラガラと扉が開かれた。
「「「?!」」」
クラス中が驚いたであろう、俺以外は。
コン、コンコン、コン。
「では自己紹介を……」
なぜ先生はためらったのだろうか、答えは簡単、もう始めてたからだ。
「私は倉部 七彩なのです!」
少女はそう言い放つと、クラス中が活気に満ちた。
男子は「ロリ最高!」とか言っているし、
女子は「可愛い! 今度カラオケに誘ってあげようよ!」とか話してる。
正直驚くもんかね〜?俺は見慣れているって言うか、もうなんとも言えないっていうか。
すると隣で前で騒ぐバカがいた。
「10歳で、身長130ちょい、更に白髪の赤眼で口癖まであり!ロマンや!ロマンなんや!」
あのバカ、ちょいと止めに行こう。
「可愛すぎて鼻血が!」
ガンッ!
「グボッ!」
いきなり鼻血を吹き出し、拓人は倒れた。
「出るなら出せ、このバカが」
「あ! この間の人! えーと、いびき!」
「伊月!」
「あははは、ごめんなのです! ちょっと忘れてたのです!」
「いえいえ、問題ありませんこんちくしょうが」
「ちょっと伊月、やめた方がいいよ、女子から反感買うよ?」
確かに、一理ある。だが、少しばかりいじった方が楽しいというもの。
「俺はからかう天才だ!ハーッハッハッハ!」
「ところで、えーと、七彩ちゃん? カルト君は?」
「風邪引いてたから置いてきたのです!」
この時、クラスの男子が思ったことは多分全員一致で『えげつねぇ』だろう。
「えーっと、席は……伊藤の前で」
「?!」
おいおい、そりゃないぜ先生!そんなことになったら俺クラス中に叩かれるぞ。
やばいさっきっからバカの視線が、やばい!
「よろしくなのです!」
「よ、よろしく」
「よろしく♪」
でも近くで見ると意外と可愛いな。確かに男子が騒ぐほど、だ。しかーし!俺には通用しない!
とりあえず、様子を見る事にする。
「伊月、食べよ♪」
「いいよ」
俺達は昼食の時間、毎回屋上で食べるのだが、どうやら先に人がいたようだ。
「アレって、七彩ちゃんじゃない?」
「本当だ、1人はでなにやってんだ?」
何をしているのか少し気になり、様子を見ていると。
「「?!」」
やばい!俺達は本能的に察した。七彩がやばいんじゃない。戦ってる相手がやばいんだ。
「なんでこんな所にいるんだ……」
「全く気配も感じなかった」
そんな会話している中、1人で巨大な怪物と戦っていることが問題なんだ。
「しょうがねぇ、行くぞ! 鈴奈!」
「うん!」
俺達は五月雨と時雨を鞘から引き出し、怪物に斬り掛かる。
「ウゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!!!!」
怯んでいるようだが、まだまだ間発入れず、次の攻撃に移る。
「停止!」
俺がそう言うと時が止まる。
そして、さっき考えた技があれば、奴をぎったんぎったんのめちょんめちょんに出来るだろう。
ポチッ!
《ステンバーイ》
《5》
《4》
《3》
《2》
《1》
「行くぞ!」
《dash,on!》
その音声と同時に、体中(主に脚)に電流が流れ、凄まじいスピードになる。
「うぉぉぉぉぉぉぉ! コケるぅぅぅ!!」
別のことを言いながらも、怪物を切り刻んでゆく。
そして――
「これがよくある必殺ってやつだ、やる前に一言、言っておく」
俺は息を吸って大声で叫んだ。
「俺に二度と顔合わせんな」
スゥ……。
「ラーテル! シュライバァァァ!」
俺が叫ぶと同時に幾つものターゲットポインターが現れる。
そしてそれをすべて攻撃し、奴を倒す。
イメージするなら『クリム〇ン・スマッ〇』
みたいな感じだ。
そして、奴を倒すと同時に、時間が稼働する。
「さっきのは何だったの? それと伊月ずるいよ〜、時間停止したら動けないじゃない」
「あれね、任意で人を3人まで停止時間の中で動かせるんだ」
「どーゆー事?」
「俺が鈴奈は停止しないって思えば、鈴奈はこの中でも動ける」
「何でしてくれなかったの?!」
「その、忘れてた」
「死ぬ準備OK?」
「nono!アフガニスタン!」
2人で、会話(一方的な暴力を食ってる最中)していると、後ろで七彩がモジモジしながら立っていた。
「ど、どうしたの?」
「その、助けてくれて、ありがとう……なのです、お礼は……」
「礼はいらねーよ、だって〜、この街を守るのは鈴奈さんの仕事ですから〜!」
「確かにそうかも」
「フフッ、2人とも仲がいいのですね♪ もしかして、恋人だったりします? キスまで行ってたりして」
七彩が凄いことを言ったと同時に!
「「してない!」」
2人はそう言った。
しかし。
「誰もしたとは言ってないのです、その反応だとしたのですね?」
こいつは、意外と罠撒いてくるのな。
「とりあえず、3人でご飯食べよ♪」
「食べようなのです!」
「わかったわかった」
この日常がいつまでも続けばいいのにな。
続く