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swords〜Drgntc・soul〜  作者: 久松 泰河
3/5

其の参 (いろんな意味で)強いとは思ってませんでした

 とてもじゃないが……これは酷い。

「おいナノア」

「ふぁい」

「お前は、そんなに、カレーが食べたいのかよ?!」

 そう、カレーが食べたいがために、シチューをすべて捨ててしまったのだ。

「だって、だって、食べたいのですぅ〜! うわ〜ん!」

「はぁ、今から外食するぞ」

「! カレーなのですか? カレーなのですよね? カレーがカレーでカレーして」

「置いてく」

 俺は無残に言い放った。


 ー次の日ー


 いつもの登校時間。

 いつもの登校ルート。

 いつもの2人。

「ねぇねぇ、伊月」

「どうしたの?」

 とりあえず聞き返してみる。

「なんか最近気分悪いんだよね〜、私」

 ふーん。

「で?何?」

「最近誰かに付けられてる」

「鈴奈はいつ気づいた?」

「昨日よ、ほら、木の上でカサカサ聞こえたでしょ? あれだと思うの」

「とりあえずこの話は終わりにしておかないと」

 そう言って話を無理やり終わらせた。


「全く、あのクソ教師のせいで体育出来なかったじゃねぇか」

「別にいいだろ、拓人、体育を楽しみにしてる奴なんてお前ぐらいだろ?」

 クソ教師とは小林先生の事である。

 俺がいる城西中学はクソみたいな教師が多い。

 その中の四天王は別格だ。

 ハゲの野波。

 ゴリラの小林。

 胸だけの小沼。

 お世辞だらけの校長。

 この4人は素晴らしいくらいにウザイ。

 とにかく、この学校の教師はまともなのがほとんど居ない。

「それより次は美術だ、早く移動しないと怒られるから先に廊下に出ておくぞ」

 「りょーかい」

 俺と拓人は足早に教室を出た。


「アイツ、やばいオーラかなんかを纏ってやがる、何者だ?」

 伊月を見下ろす1人の少年がいた。

「ねぇねぇカルト、私帰ってもいいですか?」

 もう1人、面倒な連れがいた。


 ー放課後ー


「伊月には話したよね?鬼人とかの事」

「聞いた気がする」

「ていうか私たちってキスまで行ってる事になるんじゃ……」

「あ」

 確かにした気がする、が、あれは事故というか、偶然というか、とりあえず怪我した鈴奈を助けるためにやったことだからノーカンじゃないか……でもでも他人が聞くとただの成り行きでしたって思われるんじゃ……。

「まぉ、あれは仕方なかったからね、私は気にしてないよ」

「俺、意外と気にしてるんだけど」

 2人でそんな会話をしながら歩いていると背後から突然禍々しい瘴気が発せられた。

「「はっ?」」

 2人同時に発した言葉は背後に突然現れた怪物にかき消された。

「くっ!帰り道に来るって新手の嫌がらせか何かかしら?」

「大丈夫か?!」

「問題ないわ!私一人で片付ける!」

 ドヤ顔でそんなことを言った鈴奈は目の前の怪物に向かっていった。


 ー数分後ー


「ハァハァ、なんだよアイツ?! まだ追ってきてる!」

 俺達は今、怪物に追われていた。

 結論から言うと、ボロ負けってやつ。

 怪物に殴りに行った鈴奈に向けて消化液を吐き出し、服を溶かしたのである。

 そしてその怪物は触手を使って鈴奈を絡め取った。

 このままだとR18禁みたいな状況(今まさにそうだが)になってしまう為、何とか(服が)ボロボロな鈴奈を救出し逃げてきたという訳だ。

「うわぁん、あ〜ん、ゔっ、もうお嫁さんにいけないよ〜、うわ〜ん!」

「大丈夫だから、もし本当に行けなくなったら俺が貰ってやるから! だから泣くな!」

「今さらっとすごい事言わなかった?」

「言ってない」

「言ったよね?」

「言ってない! てか後ろからすごい速さで迫ってくるんだけど」

 ちなみに言っておくと、俺が鈴奈をお姫様抱っこして逃げているという、傍から見ると大っっっ変いやらしい絵面になっている。

「追いつかれるぅ! イヤ〜! またあのヌルヌルな触手に絡まれるのはもうイヤ〜!」

「こらっ! 暴れるな! そしていやらしい誤解を招くようなことを言うな!」

 逃げ切れるのだろうか……。


「何だ? アイツら、モンスターに追われてるのか?」

「モンスター……なのでしょうか? こちらの世界では怪物と呼ばれているらしいですが、なにせここに連れてこられてまだ1ヶ月も経っていないので、知識が無くて」

「いや、充分だ、行くぞ!」

「はいなのです!」

 突如怪物が悲鳴をあげた。


「何が起こってるの?」

 驚きのあまりそんな声を漏らす鈴奈。

「誰か助けに来てくれたんじゃないか?」

「そうなのかな?」

 そんな会話をしていると、怪物がいつの間にか倒されていた。

 同時に目の前に見たことない人達が現れた。

「あ、ありがとう……ございます」

「誰だ? あんた達は」

「俺達はお前らを助けに来た、が、用事ができてしまったのでね、わかりやすく説明すると、俺達はこの世界とは別の世界、そこにあるルノワールという街から連れてこられた、最も500年も時が進んでいるが、それじゃ行くからな」

「ちょ、ちょっと待ってくれ、名前、なんて言うんだ?」

「俺は倉部カルト、で、隣にいるちっこいのが」

「ナノアなのです!」

「倉……部?」

「じゃあな」

 そう言うとカルトとナノアは立ち去っていった。

「嘘……でしょ?」

 隣で驚いている鈴奈を抱き、家まで送った。


「そう言えばお前寒くないのか?」

「ー、ー」

 どうやら寝ているらしい。

「ったく、家まで送るか」


 続く

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