男子高校生の焼肉事情
焼肉それは男達の至福のひとときである。
テーブルに並べられた塩タン、ハラミ、カルビ、ロース、ホルモン、鶏肉に野菜達
どれも皆素晴らしい輝きだ。
まずここで重要なのは誰が焼く係になるかだ
こんなめんどくさい係は誰もやりたがらない
なので暗黙のルールに従い
トングに一番近いものがお肉を焼く係に任命される
今日任命されたのは少し太めの男
山田くんだ。
席に案内された時点で察したようで頭を抱えていた。
ライス大が全員に渡ったところから
焼肉は始まる
山田くんは早速トングを持つとカルビを…
「まった!」
ここで待ったがかかる
隣に座っていた鈴木くんだ!
「普通初めに焼くのは塩タンだろう」
そういうと他のメンバーは一斉にうなづいた。
たじろぐ山田くん正面を見ると信じられないという目で野崎くん
その隣で佐藤くん直箸でハラミを掴んだ
「ちょっとまて」
またもや鈴木くんは待ったをかける
しかし佐藤くんは止まらない
ハラミを網の上に置いた
その瞬間肉の焼ける音、匂いが弾け場の4人を襲った
一斉に腹の音が鳴り出し、彼らの食欲をかきたてる。
佐藤くんは続けて2枚3枚と肉を並べる
そこでふと我に返ったのは野崎くんだった
野崎くんは実力行使
佐藤くんの腕を掴みその愚行を必死に止める。
そして低い声で訴えた
「佐藤、なんてことをしてくれたんだ
これじゃあ塩タンが美味しく焼けないじゃないか」
さらに遅れて我に返った鈴木くん
「そうだ、しかもさっき一緒にうなづいてたじゃないか!あれはなんだったんだよ!!」
二人の猛抗議を受けた佐藤くんは
「え、自分の食べたいもん焼けばいいじゃん」
きっぱりそういうと逆の手でロースを掴み
ハラミの横に置いた。
それを見た鈴木くんと野崎くんは悲鳴をあげる。
しかし、尚佐藤くんは焼く手を止めない
焼肉はなんたるかを語る鈴木くんに
佐藤くんを全力で止める野崎くん
佐藤くんは野崎くんに押さえつけられて
身動きができない
そんな中一人の男が動いた
不意に網の中央に現れたトング
それは綺麗に焼けたハラミを静かに掴むと
タレの入った小皿に導かれていった
そう山田くんの元へ
そして山田くんはハラミをひょいと一口
その顔は至福に満ち溢れていた。
そして一言
「みんな、早く食べないと焦げちゃうよ?」
何かが切れる音が2回聞こえた。
「やまだぁぁぁぁぁ!
お前はぁぁ!人がせっかく焼肉とはなんたるかを教えてやってるというのに
だからお前は山田なんだよ!」
「もーいーし!もう関係ないしー!
じゃんじゃん焼けー!もうめんどくさい
もー知らない!」
山田くんに摑みかかる鈴木くん
そしてヤケになって網に肉を流し入れる野崎くん。
その光景にため息をつきながら佐藤くんはよく焼けた塩タンをレモンにつけ口に含むのだった。
「お、美味い」
これからもたまに投稿すると思うのでよろしくお願いします。
「クスッとできれば私の勝ち」
を家訓に頑張って行きます