3 町がヤバいみたいです。
三話目です、どうぞ
「————————」
『何か』が目の前にある。
それは圧倒的な存在感を放っていて、今にも死ぬんじゃないかというほどだ。
だが、不思議とそこにあるのが当然と思える。
それはまるで———————————
「んっ、ん?あれ」
大きく伸びをした僕はあたりを見回す。
予想どうり周りには血だらけの傘と、同じく血まみれのゴブリンと光る玉があった。
「アレー」
明らかに倒れる前にはなったものがある。不思議に思って近づいてみると球が僕のほうへと吸い込まれていった。
「何だこれ?」
疑問には思ったがこれ以上どうしようもないので諦めることにする。
「取り敢えずこれをどうするかだな」
自分の生み出した死体の処理に頭を悩ませる。
「放置は流石になぁ、あっ、そうだ」
手をぽんっと叩くと僕は鞄から無色の液体とマッチを取り出す。
そしてゴブリンの死体に無色の液体、エタノールをかける。
「化学部の部室から拝借した甲斐があったな」
僕は化学部に入っているわけではないが面白そうなものがあったら拝借しているのだ。たまに見つかって何度もひどい目に遭ったことがある。
瓶の中身をすべて撒き終わったところでマッチを取り出す。
「弔いぐらいはしてやらないとな」
マッチの火がゴブリンの死体を覆う。パチパチと死体の燃える音が焦げた臭いとともに届く。
死体がほとんど灰になったところで僕は鞄と傘を手に持つ。血のこびり付いた傘は僕が紛れも無く生き物を殺した事実を突きつけてくる。
「そうだ皆は大丈夫かな?」
そう確か今日は界斗と父さんと母さん——界斗というのは僕の弟だ——は東京に行ってたんだっけ。
別に僕を置いて旅行に行ったわけではない。界斗は中学の修学旅行で父さんと母さんは仕事でというように奇跡的に行き先が同じなだけだ。
家族がここにいないことに安堵を覚えながらもトンネルを潜り抜ける。
「……!やっぱりか」
目に飛び込んできた光景に僕は舌打ちして、走り出す。
「きゃああああああぁあああぁぁぁ」
「誰か!助けてくれ!」
「くるな、化け物!」
阿鼻叫喚まさにそう言える光景だった。血だらけで泣き叫ぶ人、ゴブリンに襲われている人、火事で崩れた家の下敷きになっている人。町は絶望に包まれていた。
「ボーとしてる場合じゃないだろ!!」
自分に喝を入れ、近くでゴブリンに襲われそうになっている人を助ける。
「せいっ」
ゴブリンの後頭部に傘の柄の部分を叩きつける。ゴブリンがボールのように吹っ飛ぶ。
「こんなに軽かったっけ?」
思い当たるのはあの光の玉ぐらいだ。おそらくあの球はゴブリンの力が込められていたのではないだろうか?。
そんなことを考えながらも僕はゴブリンを追い詰めていた。
「詰みだ」
足を払われて無防備になったゴブリンに傘を振り上げる。全身の力を腕に込める様にすると光が溢れる。
まただ。力を籠めるようにすると『これ』が出てくる。
「フッ」
鋭く息を吐きながら傘を振り下ろす。
「グゲえぇ」
空気のような手ごたえと共に血が飛び散る。
断末魔が響く中、傘の血を振り払うと、僕が助けた女性に目を向ける
「へっ、これ、あなたが?」
「まあそうですね」
驚いた様子の彼女は僕とゴブリンの死体を交互に見る。……そして——
「おえぇええぇ」
あれ大丈夫かな?
お読みいただきありがとうございます。




