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本日、世界が堕ちました。  作者: 振釣いふと
世界の異変と魔力と異能
2/8

2 戦う。

少しお知らせです。

二週間に一度というのはさすがに長いので少し変更して短い話補こまめに投稿という形をとりたいと思います。誠に申し訳ありません。

 ではどうぞ


「グギャ、グぎいギギギ」

 

 え?どういうこと?。混乱する僕に緑の子鬼が近づいてくる。右手にはどこかで拾ったかのようなこん棒が握られている。そして一気に僕との距離を詰めてくる。10メートル以上あった距離はあっという間になくなりこん棒を振りかぶり…………


 …………僕の頭は真っ白になる。


「ガハッ」


 勢いよく壁にぶつかり衝撃で肺から空気が絞り出される。くそっ、痛い、殴られた頭が痺れたみたいだ。冷たいコンクリートに僕の血が滲んで赤く染まる。すぐに起き上がろうとするが子鬼は僕の腹をに向かってこん棒を振り抜く。殴られた腹を抑えて蹲るが目の前にはまたこん棒があった。

  

「ギッギギぐグウッ」


 子鬼は狂ったようにこん棒を何度も何度も僕にたたきつける。僕は腕で頭を守るが腕や腹部を重点的に狙われ痛みに呻く。


 こん棒は雑に作られているらしく、とげのようなものが腕に何度も刺さっている。血が大量に吹き出し意識が遠のいていく、このままじゃ…………死ぬ


 嫌だ、いやだ死にたくない


 こんなところで…




 死んでたまるか。


「グギッ」


 子鬼………ゴブリンの足を全力で蹴ることでゴブリンの体勢が崩れ体が自由になる。


 素早く起き上がった僕はゴブリンに向かって啖呵を切る。


「ここまでやってくれたんだ、殺されても文句はないだろ」


 僕は唯一の武器、傘を構える。この傘は先が尖っており重めの金属で作られているので十分に武器として使える。なぜそんなものを持っているのかは聞かないでほしい。


 ちょうどゴブリンが起き上がり、此方に向かって踏み込んでくる。


 左から向かってくるこん棒を屈んで避ける。そしてがら空きになった頭部に突きを放つ。


「硬っ」


 額にはじかれた傘は上へと逸れる。がら空きになった体にこん棒が撃ち込まれる。体勢を立て直すために一度後退するもそれを読んだようにゴブリンは距離を詰める。


「嘘だろ!…ガハっ」


 顎をかすめたせいで平衡感覚が狂った。やはり僕が押されている。慌てて蹴りを放つとゴブリンはモロに食らい吹っ飛ぶ。この隙に僕は一度脱力する


「もっと、もっと集中しろ十影」


 深く、深く集中する。


 僕は昔から集中力があった。一度集中すると周りが見えなくなるが通常の何倍ものパフォーマンスを発揮することが出来た。例えば野球ではボールを打ち漏らしたことはないし、誤差をほとんど出さずボールを投げることが出来た。おかげで中学時代のあだ名は『精密機械』だ


「グギ」


 待ちきれなくなったゴブリンが飛び出してくる。しかし


「遅い」


 踏み出そうとした足を地面に付く直前に払うことでゴブリンは盛大に地面とキスする。今の僕にはゴブリンの動きがゆっくりに見える。極度の集中によって時間の感覚が引き伸ばされたためだ。僕はこれを『思考集中』と呼んでいる。


「かかってこいよ」


 起き上がってきたゴブリンに軽く挑発する。僕の言葉の意味が分かっているかは分からないがゴブリンは叫びながら僕へと飛びかかってくる。が、今の僕にはゴブリンの動きがまるわかりだ。


「右、左、右斜め下、右斜め上、突き……」


 できるだけ無駄を少なくして躱す。コンマ単位で自分の動きを修正していく。動きが洗練されていく感じだ。


「グウ、グウ、グウウ」


「………………」


 何分か経った頃には大きく差が現れていた。


 息が上がっているゴブリンに対して僕は余裕がある。これは僕の体力が多いからではなく、僕の動きに無駄が無くなったからだ。


「もう終わりにしよう…かっ!」


 そう言うと同時に僕はゴブリンのところへと到達する。僕はゴブリンを傘で切り殺すつもりで傘を振り上げた。 


 その瞬間、


「なっ」


 光が、溢れていた。僕の腕から傘に絡みつくように。それは少し青を混ぜたような銀色でその存在を主張している。


 これをゴブリンに当てたらどうなるだろうか?


 僅かな好奇心に導かれて僕はおびえるゴブリンに銀の輝きを振り下ろす。


「グギャアアアアアアアアアアアア」

「うおっ」 


 切れた。まるで豆腐みたいに。真っ二つにされたゴブリンの身体は崩れ落ちた。


 それと同時に銀色の光が霧散する。戦闘が終わった僕は息を大きく吐く。


「ふう」


 『思考集中』を解く。僕の身体は支えを失った人形のように崩れ落ちる。とっくに体の限界が来ていたみたいだ。


「少し、少しだけ」


 そんなことを言いながら僕は瞼を閉じた。冷たいアスファルトが思いの外気持ちよかった。


お読みいただきありがとうございます。

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