憲法、法律、落とし穴
僕は下を眺めている。
「君には下の世界がどう映るかね?」
誰かに話しかけられる。
「意味が分からないね。」
「私の質問に対してかな?」
「いや、そうじゃないよ。下界の意味が分からないと言ってるんだ。」
「どうして?」
「僕にはすごく細かなところまで見える。きっとあなたもそうでしょう?」
「勿論です。」
「人間は細かなところまで見ることができない。でも、細かなところを作り出していく。」
「そうですね。<警察>とか言う、人々を取り締まる機関がさぞ困っていることでしょう。」
「あなたはインターネットというものをご存知ですか?」
「あれは、非常に興味深いものですよ。」
「人はなぜ、憲法やら法律やらを作ったのか分かります?」
「この世が成り立っていかないからですね。」
「はい。僕もそう思っていました。インターネットというものをしている人間を観察しているとよく分かりました。」
「ほう。何を知ったのですか?」
「ほら、ちょうどあの見苦しいデブが見えますか?」
「はい、見苦しいですね。萌え〜とか言ってますよ。」
「あの人は色んなインターネットの使い方を知っています。例えば、動画を見たり、情報を手に入れたり、漫画を読んだりとね。」
「それは違法というものではないのですか?」
「もちろん引っかかってくるものもあるでしょう。しかし、人間は細かいところまで見ることはできないんですね。たかが1人のデブがそんなことをしたところで誰にも気づかれません。」
「確かにそのとおりです。」
「あのデブがそのような違法行為をしたとしたら、正当に生きている人は馬鹿馬鹿しくなる。なぜだか分かりますか?」
「そんなもの簡単ですよ。高い金を払って娯楽を手に入れている自分がいるのに、インターネットを使えばなんでも手に入る。無料でね。」
「はい。そこでトラブルが生じます。それだったらオレも、僕も、私もと、みんながみんな手を出し始める。さすがにそんなに人が増えたらあのデブは<警察>というものにばれて捕まります。」
「それは見苦しいとはいえ、哀れですね。」
「それをみんながやらない理由はただ一つです。」
「憲法や法律で縛られているんですね。」
「そのおかげでこの世は成り立っています。高い金を出して娯楽を手に入れるからお金が循環していく。しかし、それと同時に憲法や法律はあのデブを含め、その同類を守っているのです。」
「細かいところに逃げているから見つからないというわけですか。」
「憲法や法律は自分で自分の首を絞めているのですね。」
「かといってあのようなデブになってはいけません。ほら見てください。」
「おやおや。猫のような耳を頭につけて、腰を振って踊り始めましたよ。」
「彼も彼でインターネットにのめり込み過ぎたせいで、自分で自分の首を絞めてしまったんですね。」
「吐き気がしてきます。」
「はい。そんなことをして喜んでいるデブを見て、意味が分からなくなったのです。」
今回は渡に世の中は醜く映ってしまいましたね。
いえ、決してこの作品はデブを馬鹿にしているわけではないのでご了承ください。