表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

プロローグ

短編で終わらせる予定です!

稚拙な文章ですが、是非読んで頂けると幸いです!

一度は夢を見た。


それなりに努力して、それなりに目標を立てて。

時には順調に進み、それなりに精進したと確信を得ていた。

だが、それは所詮一時に過ぎなかったのだ。

「……また、ブービーか」

俺ーーー櫻井尚人は眼前の順位表を一瞥して、特に意気消沈することなく、ただ口癖のように呟いた。

「えー、これから第三回大湘南CCジュニアオープンの表彰式を執り行います。選手は二階の食堂へお集まり下さい。繰り返します。これからーーー」

場内スピーカーから、女性の案内音声が流れている。

ぞろぞろと多くの人がクラブハウスへ入っていく中、俺は、逃げるように駐車場へと向かい、親が待機していた車に乗車した。

「どうだったの?」

母親は、いつものことのように、一言だけ言葉を発した。

「いつも通りだった」

俺も機械のように返答して、シートにもたれかかった。

「そう。じゃ、決まりね。帰るわよ」

「うん」

それから、お互いに会話もせず、俺は目を瞑って寝たふりをしていた。

いつも通りだ。だけど、もう終わりだ。

何の変哲もなく、俺の孔球(ゴルフ)人生は終焉を迎えたのだった。


◎◎◎


始まりは、普遍的なものだ。

古めかしいブラウン管のテレビに映し出されたワンシーンは、俺に鉄製の棒を握らせる糧となった。

父親の錆びれたクラブを練習場で振り回し、小学校を卒業する頃には自前のクラブセットを一式用意して、コーチの指導の下で、型を身につけていった。

その頃は楽しくてしょうがなかった。

振り上げたクラブを振り下ろして面にミートして、思惑を成功させた時の感覚は、ゴルフというスポーツの虜にさせるのに十分な材料だった。

やがて、練習場だけでなく、緑の広がる広大な土地で、芝生を踏みしめ、本来のゴルフをするようになり、数々の試合に出場するようになってきたのだが、徐々に頭角を現す訳でもなく、中の中程度のスコアメイキングのみに留まり、数年が経過する頃には、全く楽しめなくなってしまっていた。

別段、嫌いになったということではない。ただ、周りから仕方なくやっていると捉えられるようになるくらい、打ち込み度が低下してしまったということだ。

当然、そんな態度をしていたら、親に叱責されるのは丸分かりだろう。

これまでに何度も喧嘩をした。主に母親とだが。

度重なる口論の末、今回の試合で結果を示さなければ、金輪際ゴルフをさせないという母親の一存を承認したがゆえに、俺は磨り減ったグリッブを握り締めることを放棄した。

そして、それから三年後。俺は、中堅レベルの私立大学に入学し、一年と半年が経過しようとしていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ