いつもの風景?
「ないーっ!!無い無いないない!!!」
「美代ちゃん?どうしたの?」
「あ、ママ!!私の体操ズボンがないねん!!今日、体育あるからいるのに!!」
「えぇー?二階のベランダに干したんだけどなかったの?」
「なかったの!!」
「おはようございます。いやぁー今日も賑やかですね」
「あら、拓郎さん!おはようございます」
「美月さん、美代ちゃんどうかしたんですか?」
「体操ズボンがね、消えちゃったんですって。コーヒーでいいですか?」
「ありがとうございます。ほぉー。美代ちゃんすぐに物をなくしますね~」
「ほんと、困った娘ですわ」
「ちょっと、クズさん。。」
「おはよう。美代ちゃん!それと、僕はクズじゃなくて、久住拓郎だからね」
「おはようやないねん!!!それ!あんたが履いてるそれや!!!」
「ん?このズボンかい?昨日ね、僕がお風呂から出たら、かごの中に入っててね。」
「それや、うちが、一時間も探してたのはそのズボンや!!!」
「あ、これ、美代ちゃんのズボンだったの?ごめんね、今脱ぐから」
「いらんわ!クズさんが履いてたんとかはきたない!!いってきます!!」
「あら、でも体育は?」
「休む。ママそれ、取り上げて洗濯しといて」
これが、我が家の日常風景
我が家は、大阪と奈良の県境にある山のふもとで小さな下宿と定食屋を営んでいる。
そして、毎回毎回うちのズボンやらリュックやら、電子辞書やらを勝手に使って
ひょうひょうとしてるのが、うちの下宿に住んでいる、久住 拓郎
なんの仕事をしてるかわからん男
ママによると、25歳で小説家らしいけど、それもほんとかどうかは怪しい。
そして、七瀬 美月ママは下宿と定食屋を一人で切り盛りしてる頑張り屋さん
近所で評判の美人さんなんよ
で、うちが七瀬 美代 高校三年生。