37.病院での再会
憲一の怪我は、全治2週間ほどのものだった。幸いにも傷は深くなく、命に別状はなかったが、しばらくは入院が必要だった。退屈な入院生活だったが、グルリンが暇を見つけては病室にやってくるため、憲一は退屈することなく過ごせた。
「今日の配信、見てくれた?」
グルリンは、明るい声で憲一に話しかける。タケシの件で怖い思いをしたはずなのに、彼女は以前にも増してたくましくなっていた。グルリンは、憲一に代わって「お馬さんに聞く超限戦」の配信を続け、タケシの事件についても独自の視点で解説を加えていた。
どういうわけか、グルリンはすっかり**恋人気取り**だった。憲一の手を握ったり、食事を運んできてくれたり、まるで恋人のように甲斐甲斐しく世話を焼く。憲一は戸惑いながらも、彼女の優しさに心を許していた。
事件のその後
一方、タケシは**殺人未遂**で逮捕された。彼の背後に某国がいるのは間違いなかったが、事件の真相が明らかになることはなかった。じいさんたちのロケット弾も、タケシの凶行も、地元の政治家たちの介入によって、全てが**うやむやにされた**のだ。
憲一の「掃除屋」としての仕事は、事件の真相を闇に葬ることも含まれていた。だが、この一件は、彼のこれまでの仕事とは全く違っていた。彼の行動は、誰かの人生を、そしてこの町の未来を、確かに変えたのだ。
憲一は、窓の外の空を見上げた。青空に飛行機雲が一本、まっすぐに伸びている。彼の「掃除屋」としての戦いは、これからも続いていくだろう。だが、その隣には、彼を支えてくれるグルリンという存在がいる。憲一の心は、静かな安堵と、かすかな希望に満たされていた。




