17.救出作戦、開始
憲一の軽バンに積まれた端末が、突然けたたましい音を立てて起動した。画面には、シェルター内部の映像がリアルタイムで映し出されている。**FPS(一人称視点)端末**により、憲一はすぐにユミが置かれた状況を正確に把握した。鉄格子の窓、閉ざされたドア、そして諦念を宿したヨシエの姿。すべてが、ユミが囚われている現実を物語っていた。
「くそっ!」
憲一は思わず舌打ちした。自分の読みが甘かったわけではない。相手が、憲一の予想以上に周到だったのだ。しかし、今は後悔している暇はない。憲一は即座に、ユミ奪還のための作戦を頭の中で組み立て始めた。
彼は、冷静な声でドローンを通じてユミに語りかけた。音声は、ドローンのスピーカーから微かに流れ出す。
「ユミさん、状況はわかった。必ず迎えに行く」
高橋実咲:希望の光
聖書から飛び出したドローンは、音もなく部屋の中を漂っていた。ユミが呆然とそれを見上げていると、ドローンのスピーカーから、聞き慣れた憲一の声が響いてきた。
「ユミさん、状況はわかった。必ず迎えに行く」
その言葉は、凍りついていたユミの心に、温かい光を灯した。絶望の淵にいた彼女にとって、それはまさに神の声のように響いた。
部屋の隅で様子をうかがっていたヨシエは、憲一の声を聞くと、フッと笑みを漏らした。そして、何も言わずに目をそらし、見ていないふりをした。
「若さってのは……」
ヨシエはそう呟いたが、その声には諦めだけではない、どこか懐かしむような響きがあった。彼女の目には、かつて自分にもあった、希望を追い求める若き日の姿が重なったのかもしれない。




