14.シェルターの現実
案内された「シェルター」は、ユミが想像していたものとは全く違った。まるで病院の個室のような、簡素な部屋。窓には格子がはめ込まれ、壁は鉛色に塗られていた。職員が部屋を出た途端、ガチャンと重い音が響き、外から鍵がかけられた。その音を聞いた瞬間、ユミは初めて、自分が**捕らえられた**ことに気づいた。血の気が引いていくのがわかった。
部屋の隅に座っていた年配の女性が、ゆっくりと顔を上げた。白髪交じりの髪は無造作に結ばれ、顔には深い皺が刻まれているが、その目はどこか達観した光を宿していた。
「あんた、新入りかい?」
女性は、ユミの緊張した表情を一瞥し、くすりと笑った。その笑いには、諦めと、ほんの少しの諦念が混じっていた。
「どうやらあんたと同室らしいね。アタシはヨシエ。よろしく」
ヨシエは、床に広げていた読みかけの雑誌を閉じると、身を乗り出した。
「なあに、心配することはないさ。ここじゃ、大したことは求められない。奴らの言うことだけ聞いてりゃ、三食昼寝つきのいいご身分って訳さ。ま、ちょっとしたお務めはあるけどね」
ヨシエは再び笑った。その笑みは、ユミの背筋を凍らせた。まるで、檻の中にいる獣が、新しい仲間を迎えるような、そんな諦めの笑いだった。ユミは、自分がとんでもない場所に足を踏み入れてしまったことを悟った。そして、憲一から渡された仕事用のスマートフォンが、バッグと共に預けられてしまったことに、絶望的な焦りを感じていた。




