ご飯を食べてくれない!
「おなかすいたー」
学校から帰ってきての第一声。
「おやつ、なんかなーい?」
「おせんべいならあるよ」
「えー、じゃあ豆乳ヨーグルトに白桃ジャム」
朝も食べたんだけどなと思いながら、冷蔵庫を開ける。
9月に入って、生の果物で食べさせたいものがなくて、朝はジャム&豆乳ヨーグルトが定番になりつつある。
あっという間にヨーグルトを平らげたケンタ。
「緑のスムージーちょうだい」
「コーヒー牛乳も!」
結局、おせんべいまで食べた。
「もう!そんなにおやつ食べたら夕飯食べられなくなっちゃうよ!」
私が言っても、腹ペコあおむし状態には馬に念仏なのだ。
そして夕食時。
「おれ、鶏肉いらないや」
「えっ、食べないの?」
「お腹いっぱいだからご飯もいい。味噌汁だけ飲む」
「ママが一生懸命作ったのに、ダメだろ」
夫が注意してくれたけれど、食べられないものは仕方ない。
「ぼくも食べたくなあーい」
にゃんスケまで言い出すものだから、私はなんだか毎食ご飯を作ることがばかばかしく感じてタンカを切る。
「こんなんだったら、ママはもうちゃんとしたご飯なんてつくらないからね!明日から味噌汁とご飯と納豆か卵だよ!」
翌朝、昨晩の残りの鶏肉にレンズ豆とトマトジュースを合わせて煮込んでみたけれど、子供達は手もつけなかった。
一人前には多すぎる量を朝昼兼用に食べ、栄養バランスの良い食事を子供に作る大変さを友達にグチってみる。
「子供達がなかなか食べてくれなくて嫌になっちゃう」
「どんな料理でもそうなの?」
「見た目とか匂いで判断するんだよね。ひとくちも食べないの」
「へぇー、そうなんだ」
「たしかに、昨日は急いでたから、大皿で野菜の上にドンと焼いた鶏肉乗せたから、見た目は良くなかったかもしれないんだけどね」
「うん、うん」
「夫が言うには、食事の時間が楽しくないからじゃないかって。まぁ、あれ食べろ、これ食べろって口うるさいのかもしれない。ワクワク嬉しくなるような見た目でもなかったし」
「やっぱり楽しいのは大事だよね」
自分の腹の中の不満を口にしてみると、私自身ご飯作りを楽しんでないのだから、そのエネルギーが乗っかったご飯なんてちっとも美味しそうに感じないんだろうなと気づいた。
人生楽しまなきゃ!って思っているのに、息子達のアトピー体質は食べ物が原因だと決めつけて、子供達の食事のことになるとやたらと原理主義者的になっている自分を省みる。
食べることは生きることだけれど、生きることは食べることではないのに。
マクロビオティックの教科書を最近読み直していたせいかもしれない。もちろんマクロビオティック自体が悪いのではないけれど、マクロビオティックを食事に取り入れようとすると、ついつい悪いものを排除しようという思考になる。結果、神経質になって、作る楽しみ、食べる楽しみが置き去りになってしまう。
ごめんね、ケンタ。私は心の中で息子に謝った。
家族には、おいしく食べて健康でいてほしいと願っているだけだという自分の気持ちを感じて、明日からやさしい気持ちでご飯を作ろう!と思ったら、今朝、保育園に行くときににゃんスケが言ってきた。
「ぼく、子供用の、エビフライとか、ハンバーグとかのご飯が食べたいな」
「あー、お子様ランチだね」
「そう、それなら全部食べるよ」
「保育園ではどんなもの食べるの?食べられないものある?」
「少ししか乗せてもらわないものはあるけど、前は食べられなかったきのことか今は食べられるし好きになったよ」
「そうなんだ。好みが変わってきたのかな」
「うん、ウサギ組の時は食べられなかったからね」
「すごいね!これからも、どんなものを保育園で食べたりしたかママに教えてほしいな」
「いいよ。こうたろう君はきのこ食べられないんだよ」
「へー、苦手なものはだれにでもあるよね」
食べ物の話をしているうちに保育園に到着。
「今日も楽しく過ごしてね。いってらしゃい!」
にゃんスケの話を聞きながら、なんだか胸のあたりがほんわかしていた。いつの間にか頭の強張りもほどけている
。
子供に寄り添っていれば大丈夫。そんな言葉が浮かんだ。