目を逸らそうとしない赤ちゃんたち
掲載日:2023/07/06
大人たちが、今日も淡々と通りすぎる。
こちらに目を向けず、商品だけに目を向ける。
それもそうだ。
ここはスーパーマーケット。
野菜や果物、鮮魚や精肉。
惣菜やお菓子などを、目的に来ているから。
それでいいんだ。
それがいいんだ。
あまり注目されたくない。
だから、僕には合っているんだ。
こちらも、美味しそうな惣菜に目がいく。
ずらっと並んでいて、かなり悩む。
ふと横を見ると、赤ちゃんがこちらを見ていた。
ベビーカーから、真顔で僕を見つめていた。
赤ちゃんは、食材目的ではない。
ここに、食べ物目的で来ていない。
だから、僕に興味があるのだろう。
前からそうだ。
前から僕は、赤ちゃんの視線を、独占しがちだった。
ベビーカーが、あっちを向いていても。
こっちに振り返ったりする。
そんな日常だった。
今日も、それをされた。
大人に凝視されたら、怖い。
だけど、赤ちゃんだから、悪い気はしない。
僕は、大きなメンチカツを見ていた。
ずっと、見つめていた。
美味しそうで、美味しそうで。
ずっと、見つめていた。
そうか。
やっと、分かった気がする。
僕は赤ちゃんにとって、メンチカツなんだ。
メンチカツのような、存在なんだ。
そう思ったら、少し嬉しくなってきた。




