表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

詩集:ジョン・ボビー

ジョン・ボビー

作者: 歌川 詩季

 ミルクレープ、はがして食べてしまう。

 産声(うぶごえ)と悲鳴をあげて

 絶望の(はら)から 手をのばせ

 ()まれて間も無くを 理由にするなら

 ()まれてこのかたに 終わるだろうぜ



 祈りと 願いと 望みを 織り成して

 ミルクレープ (つな)ぎのクリームに

 いったい なにを練りこんだんだか?

 いち枚ずつひっぺがして たしかめる

 無粋(ぶすい)なやつらのケツ

 蹴りあげる爪先(つまさき)(とが)らせとけよ

 (かかと)との両刃(もろは)を振り子にしたら

 地を這うブランコが高くまで弧を(えが)

 見ときな こいつが生き様だ


 抱擁の腕をかいくぐって

 石楠花(しゃくなげ)のベッドのシーツをひったくって

 白と 黒との 立体交差点に

 悪名(あくみょう)を刻んだ(ふだ) ぶらさげてら

 見とけよ もうじき死に様だ



 生命(いのち)短し 燃やせよ炎と

 知ったふうな口をきくんじゃねえぜ

 死にぞこなった老木の枝にゃあ

 ひよっこどもが(はね)を休めることもあろう

 ひんまがった その幹と

 ()がれ()ちた その樹皮の奥に

 なにが(のぞ)けたんだか

 おれには 耳打ちしてさえくれなかったけど


 それからってものは

 ただの一度も

 老木はひょっこだなんて

 あいつらを笑いやしなかったのさ


 生き様と 死に様との 立体交差点をくぐる

 ちいさな翼のことを もう二度と


 悪名(あくみょう)を刻んだ(ふだ)をぶらさげた

 白と 黒との 立体交差点をくぐる

 ちいさな翼のことを もう二度と



 ちいさな翼のことをもう二度と

 ぜんぶ。いちまい、いちまい、はがして食べたりはしませんよ(苦笑)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ジョン・ボビーはアメリカ合衆国ニュージャージー州のロックバンド「ボン・ジョヴイ」とは別人なのでしょうか? 名前が似て、ややこしい
[一言] タイトルといい歌詞といい、洋楽オールドロックの訳詞みたいで格好いいです! 生命短し燃やせよ炎は語感も良くてつい言いたくなっちゃいますね。 白と黒との立体交差点に、ラストの2回繰り返す文言も印…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ