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13.次のステップへ《第二段階》

 ――ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッッ!!


 広大な敷地を誇る夜の公園に、大地をも揺らす激しい轟音が響き渡る。


 立ち並ぶ木々をも薙ぎ倒し、かなり強引に公園の敷地内に着陸した一機の戦闘機と、巨大輸送機が発した音だった。


 幸い、夜も遅いうえにこの辺り一帯は空港での騒ぎ以来キナ臭いせいか、公園内に一般人は見当たらないのは双方にとって都合がいい。


 あくまで、今回の作戦は二年生と講師陣の奪還。関係のない一般人を巻き込むことは決して許されない。


 ……のだが、魔法師や人形師、その他アメリカ軍の関係者の姿さえないのは少し違和感がある。が、そんなことを気にしている暇もない。


 ひとまず『特別作戦Xオペレーション・エクス』の第一段階(フェーズ・ワン)は無事、終了とみて問題ないだろう。


 それぞれ着陸した機体の中から、今回の作戦に参加するメンバーが公園内で再び集合する。


「『第一段階』はこれにて完了。続けて『第二段階(フェーズ・ツー)』へと移行します。各チームリーダーの指示に従って、くれぐれも命だけは大切に。健闘を祈ります」


 彼女にとっての戦闘服であるフリフリのドレスで着飾ったアイドル講師、小夜琴音(さよ ことね)が普段の穏やかな口調とは正反対に、どこか機械的な堅苦しさを含む声でそう宣言する。


 この作戦は当然、第二段階……二年生とその引率講師たちとの合流、本作戦でのベースキャンプであるこの公園まで誘導し、連れてくるまでが一番の山場になるだろう。


 優秀な研究者が揃うチーム『X03(エクス・スリー)』は、ベースキャンプの設営から戦闘機、輸送機の整備、その他装備や機材の調整などを行う。


 そして、戦闘面において確かな実力を備えたメンバーが揃うチーム『X02(エクス・ツー)』は、作戦の要であるこのベースキャンプを防衛する。


 ベースキャンプの死守、脱出の準備も当然、作戦の成否に関わる重大な任務なのは間違いない。


 しかし、成功のカギを直接的に握るのは――。


「さて、『X01』は全員集合しているわね。ここは後のチームに任せて、わたしたちは先に行きましょう。……あの、赤い結界に封じられた『空港』に」


 海を挟んだ先に見えるのは、外から来る物を拒み、中から抜け出すことも禁じている。禍々しさも感じるその赤い結界に囲まれた島。その中で、今もきっと助けを待っている。


「あの結界に向かうなら、空港南にある港から船を使うしかなさそうね」


「だが、そうなると西側から回らなくてはならない。街中を突っ切る形になるが……」


「そんなもの、全部ブッ倒しちゃえばいいんじゃない?」


「くっくっく……われの『分解銃(アナトミスダウン)』も待ちきれないと言っている……ッ」


 魔法大学でも屈指の実力を誇る『怪物』たちが勢揃いする中。底辺のFランクたちも先を見つめて。


「……俺たちも、足手まといにはならないように頑張ろうか」

「ですねっ、ここまで来たからには」

「変わるキッカケをくれた()()()を。シエラは助けたいです」


 シエラにとってそれは恩返しに近い。何しろ、圭司や納乃と並んで()()()()()()()()()大切な人物がそこにいるのだから。


 それは一ヶ月前。圭司と納乃が『人形喰い』に立ち向かうべく、シエラを置いて二人で先に行ってしまったあの時。


 もしも彼がいなければきっと、あの部屋に残ったまま再び(あるじ)を失い、悲しむことさえなく、何もかもが終わっていたはずだった。


 そんな彼女の背中を押してくれたのが紛れもない。……新井一輝(あらい かずき)という人形師だったのだ。


「――始めるか。『日常』を取り戻すための『戦争』を」


 目的地が分かっているだけまだ幸運だったのか。はたまた、不幸へのカウントダウンか。


 それは、『戦場の歌姫』『水上の破壊姫』『妖精王』『一撃迅雷』『覚醒魔手』『多重接続者』が一堂に会す、チーム『X01』に託された。

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