29.親友たちとの再会《異国の地で》
魔力戦闘機には、小夜琴音と触定頼架が乗っていた。ぐるんぐるんと縦横無尽に動くその中では――。
「こんなの、あたしの専門外なんだけど――ッ!?」
「でも、撃墜数は一ノ瀬さんといい勝負してるじゃない?」
「さっきは『多重接続者』にあんなこと言ったけど、こりゃ想像以上だ……。ううっ、キモチワルッ」
「射撃訓練の成績で選んでしまったのが間違いだったみたい……。ごめんなさい」
だが、そんな気分の悪い中でも事実。放った攻撃が次々と敵機を撃ち落としていくのが、彼女の天性的な才能を証明していた。ちなみに顔色の方は最悪ではあるのだが。
***
一方、輸送機には次々と魔法大学の二年生たちが乗り込んでいく。最初に戦闘手段を持たない研究者の搭乗が完了し、今は魔法師、人形師と続いて乗り込んでいる。
空港の結界が壊されたことに気がついたのか、次々とアメリカの戦闘機が次々と向かってくる。が、飛び交うこちらの戦闘機と、『妖精王』『水上の破壊姫』といったSランクたちの砲撃によってその全てが撃墜されていく。
「なんというか、俺たちの出る幕はもうなさそうだな……」
空港自体が陸を離れ、完全に島として独立してしまった今、空と海を渡るしかこちらを止める術はない。その位置取りから当然、こちらの有利は揺るがない。
島にして、結界を張り隔離することで、魔法大学の学生、講師を人質として戦争の火種にしようとしていたらしいが……それが逆に彼らの首を絞めることになったようだ。
流れるように輸送機へと乗り込んでいく中で、圭司たちはとある聞き慣れた声と共にこちらへやってくる二人の影を見る。
「圭司? お前、なんでこんなとこに来ちまったんだ!? 『水上の破壊姫』とか『妖精王』とか、そうそうたるメンバーの中に知ってる顔があったからつい飛んできちまったんだけど」
その声の正体は、フリフリメイド服を着飾ったリリアと、その人形師である一輝だった。
思い描く『元の日常』には欠かせない、欠けてはならない人物。きっと大丈夫だろう。そう自分に言い聞かせながらも気がかりだった二人の安否がハッキリして、やっと心のモヤモヤが晴れ、一安心できた気がする。
「成り行きで今回の作戦に参加することになったんだよ。……まあ、特に何に貢献できたかって聞かれたら、返答に困るんだけど。一輝たちの無事をこの目で確認できただけでも、参加した甲斐はあったのかな」
「……ありがとな。俺たちのために命がけで戦ってくれて」
「今更だろ。それに、今回の俺たちは無傷だ。まあ、納乃が真っ二つにされたり、シエラに羽が生えて魔力を使い果たしたりもしたけど、周りのみんなのおかげで何とか」
「おい、今聞き捨てならんことを言っただろ! なんだよ真っ二つって……。羽が生えたってのも意味分からんし!」
そんな二人の元へ、ある女性の声が飛んでくる。
「漣くん? ご歓談中で悪いんだけど……。もうとっくに全員乗り終えて、あとはあなた達だけだから……」
レーザーのような超火力の水流を撃ちまくっていた、一ノ瀬香凜だった。
「ああ、ごめん一ノ瀬さん。……行こうか、みんな」
「あの『水上の破壊姫』と苗字で呼び合っていやがる!? 圭司、今回の作戦だかで交友関係が広がるのは親友として喜ばしい限りだけどよ、俺と疎遠にでもなったら許さないからな?」
「……何言ってるんだ、一輝?」
そんな彼らも最後に輸送機へと乗り込んで。
全員が乗ったことを確認すると、扉は閉まり、間もなく――日本行きの輸送機は飛び立った。




