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終わらないデスマーチ  作者: やみの ひかり
1/5

01話 記憶喪失の男

僕の作品を見つけて、読んでいただきありがとうございます!!


みなさんに楽しんでもらえたらうれしいです。


それでは、「終わらないデスマーチ」スタートです!!

 杉崎雷太(すぎさきらいた)は、砂漠のど真ん中に立っていた。


 ビュウウウウウウウ


 風は砂を巻き込んで、無数の竜巻を作り出している。


 ググググ……


 目渡す限り続く砂漠を見つめ、眉間にしわを寄せ、アタッシュケースを持つ、黒い手袋を付けた左手に力が入る。


(なぜこうなった? 早くこれを、跡形もなく壊わそう)


 パシュン


 雷太の目の前に、瞬間移動してきた六角健太郎(ろっかくけんたろう)が現れた。二人は、同じベストを着ている。ベストの胸にはRSCの文字。


「なにしてるんだよ。帰ってカップラーメンを食べながら、話の続きをしよう」


 健太郎が、なだめようとするも、


「うるさい!! 俺がすることに指図は受けない!! これをどうしたって俺の勝手だろう!!」


 雷太は正気では無い。


「それはみんなの物だよ。多くの命を助けることが出来る。なぁ、ドームに帰ろう」


 スゥー


 黒い手袋を付けた右手を、健太郎に向ける雷太。身構える健太郎。


「待て待て!! 雷太がやってることが、どういうことか分かっているの?」

「うるさいなぁ!! 俺はジャンプした。何度も何度も!! もう限界なんだ!! デスマーチを止めることは出来ない!!」

「雷太!! 落ち着けよ!!」

「だまれ!!」


 バチイイイイン!!


 雷太の右手から電気エネルギーが発射され、


「うわあああああああああ!!」


 健太郎の体に直撃し、しびれながら倒れる。


「なぜわかってくれない!!」


 パシュン


 雷太は瞬間移動をし、健太郎の前から消える。


「待ってくれ…… 行かないでくれ雷太……」







 ミーン ミーン ミーン


 セミは自らの生命を削り、子孫を残すために、力強く鳴く。そんなとある街の道。山越真知子(やまごえまちこ)は、空に向かって両手を広げ、太陽の熱を体いっぱいに受け止める。


「夏サイコー!!」


 真知子は暑さに強く、太陽の日差しは、彼女の元気を倍増させるのだった。


「真知子ちゃん。今日も元気だね」

「あっ、山田さん。今日は夫婦でお出かけですか?」


 暇な夏休み。真知子は、最寄りの駅に、今日オープンしたショッピングモールへと向かっていた。その途中で、隣に住む山田(やまだ)夫婦に出会った。


「買い物に出かけようと思ったんだが、暑すぎて引き返してきたところなんだ」

「真知子ちゃんは元気ね。私も昔は夏が好きだったな」

「君は夏が好きだったね」

「もう歳ね」

「そんなことないさ」


 山田夫妻は、見つめ合う。


(仲が良いな。私も誰かと恋がしたい。そして結婚して、きれいなウエディングドレス着るんだ。きっと私だけの王子様が現れるわ)


「ちょうど良かった。買い物を頼まれてくれない? 予定が無ければなんだけど」

「なんですか? 今からショッピングモールに行こうと思ってて」

「それなら、今人気のアッシュのチーズケーキを今度おごるからさ。どう? 頼まれてくれない?」

「えっ!? 私行きます!! 行かせてください!!」


 甘いものに目がない真知子は、すぐに快諾する。






 山田夫妻にもらった地図を持ち、目的地を探す真知子。


(こんな住宅街に電気屋なんてあるのかな? 古い電気スタンドだから、ここにしか交換部品が売って無いって言ってたけど……)


 地図を逆さまにしたり、何度も確認したが地図の場所に、電気屋など無かった。


(うーん…… 確かにココなんだけどな…… 何も無いわよね)


 そこには長い間ほったらかされた、草が伸びきる空地しか無かった。


(この地図が間違ってるのかな? 以前はここに電気屋さんがあったってことなの?)


 グワアアアア


(なに?)


 空地の空中が歪んでる様に見える。


(なななな、なに!?)


 空地の空中に、七色に光る穴が現れると、


 ボトッ


 七色に光る穴からアタッシュケースを持った雷太が地上に降ってきた。


(え!? 人が降ってきた!?)


 空地から無造作に生える、背丈ほどに伸びた草をかき分け、


 ガサ ガサ ガサ


 雷太の元へと近寄る真知子。


(どういうこと? 今、穴が開いて降ってきたわよね…… この人傷だらけだわ)


 雷太の服は所々破け、全身砂まみれだ。額からは血が流れている。真知子は、雷太の口元に耳を近づけてみる。


 スー スー


(息はしてる。救急車を呼んだほうが良いわよね? とにかく、意識があるか確認だ)


「あのー。すいませーん。大丈夫ですか?」

「うううう……」

「あのー。すみませーん!!」

「うるさいな!! 今起きるからちょっと待てよ!!」

「はい。すいません……」

「うん?」


 ムク


 起き上がる雷太。ボーっとした表情でなにもない空気中を見つめる。


「誰?」

「私の名前は、山越真知子です」

「真知子? そうじゃなくて俺だよ。俺は誰だ?」

「えっ? 知らないですけど……」


(なに? この人記憶喪失?)


「ここはどこだ?」

「ここは住宅街の空地ですけど」


 プーン


「蚊だ!! やめろ!! 俺を刺すな!! やめてくれぇ!!」

「ただの蚊でしょ?」

「なに言ってるんだ。死ぬ。ひぃいいいい!! 俺を刺さないでくれぇ!!」


 蚊に異常に反応し、


 バタバタバタバタ


 慌てる雷太を、冷めた目で見る真知子。


(この人本当かしら記憶が無いだなんて…… 蚊にこれだけの反応示すなんて、頭が混乱してるんだわ。あの七色の穴はなんだったのかしら。なんだか、親近感がある顔なのよね。どこかで会ったことがある?)


「ひいいいいい!! 何匹いるんだ!! なんでこんなに大量にいるんだ!!」

「こっちに来てください」


 雷太の手を引っ張り、


 バサ バサ バサ


 草をかき分けて、蚊の少なそうな路地に出る。


「助かった……」

「あなた名前は? 覚えてないの?」

「何も覚えていない」

「今、七色に光る穴から出てきたわよね? それもわからない?」

「七色の穴? なんだそれ? いたっ」


 頭を抑える雷太。


「大丈夫ですか?」

「大丈夫かどうか聞くなよ。見たらわかんだろう!!」

「えっ」


(なんなのこの人…… なんかこの顔どこかで見たことあるのよね。そうだ!! 家で飼ってた、お隣の山田さんにもらったクゥーちゃんにそっくりだ。亡くなったときは悲しかったな。お母さんと一緒に泣いたな)


 雷太のお腹が、


 グウウウウウウ


 激しく鳴る。


「お腹空いてるの?」

「空いてるよ。食糧危機で食料が無い」


(食糧危機? 何言ってるんだろう。この人頭打ってるからな。どうしよう。ほっとけないし)


「なにか食べます?」

「食べ物持ってるのか!? なんでも良いくれ!!」

「ごめんなさい。今は持ってないです」

「なんだよ!! 期待させやがって」


(この人、性格悪いな。死んだクゥーちゃんに似てなかったら……)






 真知子は雷太を連れて、今日オープンしたショッピングモールにあるフードコートにやってきた。ラーメン屋、うどん屋、牛丼、ハンバーガー、アイスクリーム屋一通りのものが集まっている。


 雷太は感動して、膝から崩れ落ち叫ぶ。


「ここは天国なのか!? 俺は死んでしまったのか!? なんでこんなに食料がある!?」


 雷太を見て、顔を隠す真知子。


(あぁー。恥ずかしい…… こんなところに連れてくるんじゃなかった)


「なぁ、真知子聞いてるのか!? おい!!」

「聞いてるわよ!!」


 二人の前を通る通行人が、


 ヒソヒソ


 二人を見てなにやら話している。


「早く立って!! 周りの人が見てるから」

「関係ないね。そんなの気にしてたら、生きてけないぞ」

「そんなこと言うなら、おごったあげないんだから。食べさせる話は無しよ」

「そんなぁ…… 悪かったよ。今日の髪型似合ってるな。その顔よく見るとかわいい」

「おだてたってダメ!! ただでさえ、私のおこずかい少ないんだから」

「ごめんさいごめんなさい。俺が間違えてました。目立たない様にしますから。なにとぞなにとぞ、お恵みを。真知子様」


 雷太は、悲しそうな目で見つめてくる。


(もう!! なんで死んじゃったクゥーちゃんに似てるのよ。そんな目で見つめないで)


「わかったわよ。何食べたいの? 一つだけ選んで来て」

「行ってまいります!! 真知子隊長!!」


 雷太は子供のように無邪気に走って、何を食べるか探しに行く。


「ちょっと、走らないで!!」






 真知子は料理の注文を終え、テーブルに番号札を置いて料理を待つ。雷太はデミグラスソースのハンバーグ定食を選んだ。


「早く早く!!」


 雷太は椅子に座ると、テーブルに頬をつけ、駄々をこねる。


「子供みたいだからやめて」

「はじめて食べるんだ。夢にまで見たハンバーグなんだ」

「ハンバーグなんて誰でも食べたことあるでしょ? あなたちょいちょい記憶があるの? 本当は記憶喪失なんて嘘でしょ?」

「俺が嘘なんてつくかよ。そういえばそうだな。なんでだろう? 全部は記憶が消えていないみたいだな」


 店員が二人のテーブルにある番号札を見つけ、料理を持って来ようとするも、


「どけ」


 大柄な男が店員を押しのけて、雷太と真知子へと近づいてくる。雷太とアタッシュケースを目で確認すると、


「目標を確認。任務を遂行する」


 男は両手を振りかぶると、


 ガシャアアアアアアアアアアアアン


 テーブルごと雷太を両手で叩こうとするも、危険を察知した雷太が間一髪避ける。テーブルは粉々に砕け散る。


「ビックリした。なんだよ!!」

「目標の沈黙に失敗」

「俺の知り合いか? 俺なんかしたのか?」


 ピキィィン


 大型な男の目が怪しく光る。


「任務を続行する」

「どうやら話を聞いてくれる相手じゃなさそうだ。逃げるぞ!!」

「え……」


 突然のことで、真知子の脳は思考を止める。


「何ボーっとしてんだ!! 来い!!」


 真知子の手を掴み、逃げる雷太。


 ドスドスドスドス


 大きな足音を立てて、大柄な男が追いかけてくる。


「真知子!! なんか武器持ってるか?」

「武器なんか持ってない!!」

「なんで持ってないんだよ!! 普通は一個か、二個持ってるだろうが!!」

「何言ってるのよ!? じゃあ、あんたは持ってるの?」


 雷太は、服のポケットをまさぐってみるが、武器など見当たらない。


「持ってない…… あったのは、携帯電話だけだ」


 雷太がポケットから出したのは薄いカードだ。


「どこが携帯電話なのよ!! カードじゃない!! 冗談やめてよ!!」

「どこからどうみても携帯電話だろ!! 見てみろよ」


 真知子に薄いカードを、


 ポイ


 投げる雷太。真知子は慌ててキャッチする。薄いカードを見てみると、カード表面が光だし。携帯電話の画面のようなものが浮かび上がる。


(なにこれ? どういうこと? 本当に携帯? なにこれ?)


「きゃあ!!」


 カード型の携帯電話に気を取られていた真知子が、足をひっかけて転ぶ。


「真知子!!」


 ドスドスドスドス


 転んだ真知子には目もくれず、雷太のほうに一直線に向かってくる。


「俺だけが狙いかよ!! くそっ!! 俺が何したんだよ!!」


 雷太は、大柄な男に追いかけられて行ってしまう。


(なにがなんなのよ。頭がおかしくなりそう)


 ピリリリリリリ ピリリリリリリ


「うわぁ!! ビックリした……」


 雷太から受け取った。カード型の携帯電話が鳴り響く。


 ビリリリリリリ ビリリリリリリ


(これって出てもいいのかしら…… 出たら後に引き返せないような…… とんでもないことに巻き込まれてない私?)


 ゴックン


 唾を飲み込むと、


「もしもし」


 意を決して、雷太の携帯電話に出る。


「良かったつながった!! もしもし? 女の声?」

「すいません。代わりに出ました」

「誰? 恋人? なんでか女にモテるんだよな」

「違います!! 私は巻き込まれて。山越真知子と言います」

「どうもどうも、真知子さん。僕は雷太の友人の六角健太郎と言います。あの雷太に代わってもらっていいですか?」

「あの人。雷太っていうんですか? 彼、記憶喪失みたいなんです」

「えっ? それは……」


 ボソ


「え? 好都合?」

「いやいや、大変だって言ったんだよ」


(今、小さい声で好都合だなって聞こえた気がした。きっと気のせいよね)


「それで、雷太はどこにいるの? 電話代わってもらえます?」

「あっ!! 今、大きな男に追いかけられていて!! 大変なんです!!」

「それは大変だ。今から、急いでそちらに武器を送る。雷太の正確な位置情報がわからないから、屋上に届けることにしよう。雷太に、屋上に武器を送ると伝えてください。作業があるので、電話切りますよ」

「わかりました。お願いします」


 ドゴオオオオオオオン


「きゃあ!!」


 デパート内部で大きな衝突音が聞こえる。


 ピッ タタタタタタ


 電話を切り、急いで聞こえたほうへと走ると、


「俺の勇士を見ないでどこ行ってたんだよ。もう終わったぞ。はぁはぁはぁ」


 大柄の男が壁に激突し、壁の中へめり込んでいる。


「でかい図体して直線的に突進してくるだけだから、避けるのに苦労しないね。それを利用させてもらった。ふぅー、疲れた」

「後ろ……」


 雷太が後ろを振り返ると、


「そういうことか。人間にしては、あんだけ走っても、息も切らさないと思っていた」


 大柄の男が立っている。裂傷した体から機械がのぞく。


「ロボットだったのか。これはまずい……」

「対象を確認。任務を遂行する」


 走り出す雷太と真知子。


 ドスドスドスドス


 二人を再び追いかける大柄な男。


「雷太さん!! 健太郎さんという人から電話がきたの」

「雷太? 健太郎? ちょっと何言ってるかわからない」

「雷太はあなたの名前で、健太郎さんはあなたの友達」

「俺の名前は雷太か。かっこいい名前だ」

「ナルシストかい!! こんなときに冗談言わないで!! ツッコミしちゃったじゃないの!!」

「冗談じゃないけど……」

「もう!! そんなことは良いんですけど、健太郎さんが屋上に武器を送ると伝えてくれと」

「屋上だな。健太郎ナイス!! どんな男か記憶は無いが」


 ドスドスドスドス


 後ろを振り返ると大柄の男が追ってくる。


「狙いは俺だ。真知子は一緒に走らなくて良いんじゃないのか?」

「そっか、それもそうね」


 真知子は走るのを止める。


 ドスドスドスドス


 真知子の目の前を大柄の男が通り過ぎる。


「雷太さんファイト!! 頑張って!!」

「薄情な女だな!!」

「あんたが言ったんじゃない!!」


 大柄な男は、雷太だけを狙い、執拗に追いかけていく。


(さて、私はどうしようかしら。先回りしよう)






 エレベーターに乗り、ショッピングモールの屋上に着いた真知子。


(どうやら、先に着いたみたいね。雷太さん大丈夫かしら)


 グワアアアアア


 屋上の空間が歪むと、


 ポト


 七色に光る穴が現れて、箱が穴から落ちてくる。


(また七色の穴が…… もう、わけわかんない。これは夢? とんでもないことに巻き込まれてない?)


 武器の箱には、RSCと書いてある。


 ガチャ


 屋上の非常口のドアが開くと、必死の形相の雷太が出てきた。


「はぁはぁはぁはぁはぁ。あいつ機械だから体力の限界が無い。はぁはぁはぁ。お腹もペコペコで体力の限界だ。武器はどこだ?」

「これじゃないかしら」


 箱を指さす真知子。


「おお!! 来てるじゃないか。それで使い方は?」

「聞いてないけど……」

「なにやってんだよ。ちゃんと聞いとけよ!! ちょっとどけ!! とにかく開けるしかない!!」


 真知子を払いのける雷太。


 ガチャ


 屋上の非常階段を、大柄な男が息も切らさず、涼しい顔で入ってくる。


「ヤバイぞ!! どう使うんだ」


『ピピー』


 箱から電子音が聞こえ、


 プシュウ……


 箱が開く。


『生体認証。杉崎雷太を確認。両腕をボックスの中へ』


 両腕を入れる雷太。


 ドスドスドスドス


 大柄の男が、勢いよく走ってくる。


「早くしてくれ!!」


 ウィー ガチャン


『装着完了しました。攻撃対象に両腕を向けてください』


「こうか?」


 雷太の両腕に、黒い手袋が取り付けられた。


『ピピーピ』


 手袋型の武器が、電子音を鳴らす。


 ドスドスドスドス


『攻撃対象RA-500を確認。通常攻撃での有効打は不可能。チャージモードに切り替えます。チャージ完了するまで、RA-500の攻撃から待避してください。チャージ完了まで10』


「おいおい。早くしてくれ!!」


『9、8、7』


 ブン


 大柄な男が雷太めがけて太い腕を振り回す。


『6』


 チッ


 男の腕が雷太のお腹をかすめる。


「いってぇえ!!」


 服をめくると、お腹はミミズ腫れになっている。


『5』


(まともにくらったらヤバイな。早く終わらせないと、もう足が疲労で、思い通りに動かなくなってきてる)


「雷太さん大丈夫!?」

「大丈夫だ!! さがってろ!!」


『4』


 大柄の男が高くジャンプし、大きな両腕を振りかぶって雷太の頭上から降ってくる。


 ドガアアアアアアアン


 両腕を避けたのだが、大柄の男がそのまま地面を破壊し、


「くそっ!! 目が!!」


 地面の欠片が雷太の目に直撃してしまう。


『3』


 顔を塞ぎこむ雷太を見た真知子が、


「この!!」


 大柄な男の後ろから、


 ペチ


 蹴りを入れるも、まったく効果が無い。


「きゃあ!!」

「下がってろって言ったろう!!」


『2』


 目をやっと開けれるようになった雷太が前を見ると、真知子は大柄の男に、片足を捕まれ宙吊りになっている。


『1。チャージ完了しました。再び両腕を攻撃対象RA-500に向けてください』


「待ってました。じっとしてろ!!」


『攻撃対象RA-500をロックオン。チャージ砲発射します』


 ドゴオオオオオオオオオオオオオオン


 雷太の両腕から、物凄い電気エネルギーが放たれ、大柄の男に向かっていく。


 バアアアアアアアアアアアアアアアン


 物凄い音と共に、大柄の男に電気エネルギーがぶつかると、真知子は爆風で吹き飛ばされ、


「きゃああああああああ!!」


 屋上の床を小石の様に転がっていく。


 ゴロゴロゴロゴロゴロゴロ


『対象RA-500の沈黙を確認。オーバーヒートによるため、92%破損しました。すぐにこの武器を破棄してください。自爆処理されます』


 ガチャン


 雷太の両腕から手袋型の武器が、煙を上げて外れる。


 ガタアアン


 大柄な男が、煙を立てて倒れる。


「ふぅー。なんとかなったな。真知子!! 腹減ったぞ!! そんなところで倒れてないでハンバーグ食べに行くぞ」


(なんなの? この非現実な体験は? 頭がおかしくなりそう)


 寝転びながら、ボーっと空を眺める真知子。爆風の衝撃と出来事に頭の中がグチャグチャになる。


「おいって、聞いてるのか?」


 真知子に歩み寄る雷太。


「起きろよ。あれぐらいで大袈裟だな」


 ガバッ


 雷太の態度にムカついてきて、急に起き上がり、雷太の胸に指を突きつける真知子。


「あんたね!! 大丈夫なわけないでしょ!! もう!! 帰る!!」


 プイ


 雷太にそっぽを向けると、真知子は足早に非常口に向かっていく。


「待ってくれ!! 悪かったよ。でも、助かったろ? 俺のハンバーグは?」

「知らない!! 私に関わらないで!!」

「ちょっと待てよ!! おごってくれるって約束だろ!!」


 非常口から二人は、屋上を後にする。






 雷太と真知子が去った屋上。二人が去ってから数分後。雷太が使っていた手袋型の武器と、武器が入っていた箱は、


 ボオオオオ……


 燃えて灰になっていく。


 横たわっていた大柄な男の目が、


 ピキン


 開き、あやしく光る。


「85%の修復を完了。任務を続行する」


 起き上がる大柄な男。

01話いかがだったででしょうか?


ブックマークと、この下にある☆☆☆☆☆で評価してもらえると、僕の執筆作業の意欲になります。読者の反応を知ることが出来て、とてもとてもうれしいです。


さらにその下には、感想を書けるようになっています。気が向いたらで良いので、感想お待ちしております。


次の02話もよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 出だしとしては謎があって惹くものがあると思います。 [気になる点] 地文がト書きのようで物語の流れがポキポキ折れる感じがしてきになりました。意図的にそう書いているのかな。 「~た」と終えな…
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