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生きる彼等に成敗を  作者: あの時の塩分
19/20

ずっと

「ここから離れよう。きっとここも見つかる」

腰に巻つけていた布をレイラの頭にかぶせた。無いよりは守れるだろうか?初めて踊り子の舞台衣装の目を引く華やかさを恨む。

「ありがとうラピス、」

答える代わりにしっかりと彼女の手を握った。

「行こう」

レイラの手をひいて歩き始めたそのとき


時計台にやってきた2人の兵士とかち合った。

すうっと血の気が引くのを感じる。頭が回らずその場で立ち止まってしまった。

「いたぞ!」

「その娘をこちらに渡せ!」

兵士が怒号をあげながらこちらに銃口を向ける。逃げるよりも先に咄嗟に腕を広げレイラを背中に隠した。



一瞬の出来事だった。

後ろから突き飛ばされ、想定していない力に反応出来ずに通路の脇に倒れ込んだ。

突き飛ばした本人と目が合う。泣き跡の残る目でこちらに微笑む彼女は


無慈悲な銃弾に赤く貫かれた。



「ーーーッ!」

そんなどうしてなんでレイラが嫌だこんなのあってはならない今やっと会えたんだ守れると思ったばかりなんだそれなのにだめだレイラだめまってだめだよそんなの


レイラが死ぬなんてそんなのだめだ


「レイラ!レイラ!」

がむしゃらに体を動かし、そのまま後ろに倒れたレイラを抱き寄せる。

苦しげな彼女の顔が真っ白に染まっていく。

「らぴ、す」

「レイラしっかりして痛いよねすぐに診てもらわなくちゃ嗚呼血が」

必死に布で押さえつけるが、胸にあいた傷から流れる血は止まらない。


レイラを撃った兵士達が連れていくはずの女を撃ってどうするんだと喚いている。ラピスがレイラの名を呼んだことで彼女が自分たちが探している人物だと気づいたのだろう。

苛立ったように銃を叩きつけ、時計台の外に飛び出していくのが視界の端に見えた。


いっそ僕もレイラと同じ所へ送ってくれよ



冷たいレイラの手がラピスの頬を撫でた。

「レイラ…?」

何か言いたそうな彼女に顔を近づける。

レイラはゆっくりと両手でラピスの顔を包み込み

「ごめんねラピス好きだよ」

そう言ってキスをした。


「…え、?」

唇が軽く触れ合うだけのキス。すぐに顔が離れ、レイラを見つめる。

「ふふ」

いつもの皆に愛された笑顔で見つめ返してくるレイラ。そんな場合じゃないのに顔の筋肉が緩んで涙が零れた。

「なに、してんだよこんな時に」

「こんなとき、だから、じゃん」

「…敵わないな」

さらりと髪を撫でるとレイラは嬉しそうに微笑んだ。

「なんで庇ったんだ、ばか」

「好きだから、でしょ」

「、そっか」

「らぴす、これからも踊って ほしい」

どこか今後の自分の行動の確信をつかれたようなその言葉にははっと笑いがこぼれた。

じんわりと重たくなっていく体をしっかりと抱き直して頷く。

「いつもレイラは僕の先を行くんだね」

「らぴすの視界に入っていたかっ、たから」

目が虚ろになっていく彼女にこれからもそうして欲しいとはもう言えなかった。

「レイラ」

「なあに、らぴ す」

「好きだよずっと」

ずっと好きだった。ずっと好きだ。これからも


嬉しそうに目を閉じた彼女に優しくキスをした。

今度はもう彼女の瞳は開かれなかった。

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