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生きる彼等に成敗を  作者: あの時の塩分
11/20

走るネズミと微笑むジャスミン

ぎり1年ぶりじゃないです、更新。ぎり……

いつもと同じ時間に起き、カーテンを開けると昨日までそこにあったシミひとつない青いカーペットのような空は薄い雲で覆い隠されていた。

「今日は祭りだってのに。」

母が用意してくれた少し端の焦げたパンを口に押し込み、少しぬるくなっていたホットミルクで一気に流し込んで家を飛び出した。


いつだって朝から賑やかな街も今日は一段と人の声が飛び交い、特別な日だと言うことを心に響かせ鼓動を高鳴らせた。

中央の広場まで通じる細い坂の階段を駆け下りる。風が強いのだろう、薄い雲が集団で流れていき不規則に太陽を見え隠れさせ、踏み外さないように見ていた足元の階段に自分のものとは別の、雲の不思議な影模様を写し出していた。


「ラピス!」

頭上から声がかかる。顔をあげ声の主を探すと、マキが祭り旗を振りながら笑っていた。

「今日のステージの主人公は君かい?ラピス。」

「いや、」

「ああ、主人公はレイラか。そしたら君は主人公の周りで飛び跳ねるネズミの役?」

「僕にはネズミ役がお似合いだって?」

きっと彼は全部分かりきっていて、話しかけてきたのだろう。彼はすぐに顔に出る。今だって真面目に話しているようにしているのに口の端がぴくぴくしてる。

「マキ」

「なんだよ、怒っ、」

「僕はネズミはネズミでも主人公に祝福の花を届けるネズミだ」

は?と口をあけぽかんとするマキを残して再び走り出す。

僕はステージに立てない。もうそれはどうでも良くなった。僕は今、レイラが立つステージを見る資格がある。それだけで心が満たされているから。

長く続いた階段を下りきり、今日のために花で飾られた広場の噴水を横切る。


ふとジャスミンの香りが鼻をかすめ、ラピスは足を止めた。

「あ、ラピス。おはよう!」

化粧をしてステージ衣装と無数のジャスミンで飾られ、にこやかに微笑むレイラに一瞬で目を奪われた。

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