おとぎ話
昔むかし、派閥が生まれ争いの続く国がありました。王様は統一された国にしたいと日々策を練っていましたが、なかなかいい方法が思いつきません。
珍しく静まり返った満月の夜、居てもたってもいられなくなった王様は代々信仰する神様「メトゥアルノ」にお願いしました。望む世界を作れる力を下さい、と。その瞬間王様はメトゥアルノの声を聞きました。
栄えた街の踊り子から依代となる“舞う代”を。2番目に大きい街の美しい令嬢からその死がキーとなり命をもって神を地に降ろす“鍵”を集め儀式を行え、と。
王様は国の精鋭部隊に命じ、儀式の準備を整えました。
よく晴れた夕方、令嬢は仮面をつけた騎士に殺され街1番の踊り子を依代にメトゥアルノは現界し王様の願いを叶えあっという間に国は統一されました。
待ち望んでいた平穏が訪れたのです。
その後、踊り子の出身地は聖地としてさらに栄え、令嬢はその美貌とともに賞賛を浴びました。
国が安定したことを確認したメトゥアルノは願いを叶え終えた、と依代の踊り子と共に天に帰っていきました。
めでたしめでたし。
【カティアルノの伝説・おとぎ話】より
「めでたしめでたし。」
「めでたし、なの?」
1人の少女は不思議そうに姉に尋ねた。
「どうして?」
「だって…」
この踊り子とお姉さん、全然幸せそうじゃないよ?