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大賢者の番頭  作者: 柚希 翠
9/38

9桶目

 肉は焼いてフルーツは切ってあげただけなのに、めちゃくちゃ喜んでた。

 やっぱり普段は生肉ばかりだからなのか?


「身体そんなに大きいのにこれだけじゃ全然足りないだろ」


『主さまよ、大丈夫である。問題ない』


「お前がそう言うならいいけど、足りないならいつでも取ってきていいからな? 済まないが俺には狩の技術は無いみたいだし」


『所で1つ申し訳ないのだが、お願いがありまして』


「食料取ってきてもらったし、できる限りの事は叶えるよ」


『では、我に名を与えては頂けませんか』


「あー、名前か。流石にお前じゃ嫌か。すまない」


『い、いえそんな!お前でもてめえでもクズでも蛆虫でもなんでもいいのです!!ただ、主さまにお仕えする証が欲しいのです』


「いや、そんな卑下しなくても……」


 あまりにも自分を卑下するもんだからちょっと引いてしまった。


「んー、てかお前、あーキミってオス?」


『いえ、メスですが』


「まじか」


『まじです』


「済まない」


『何がです?』


「いや、声低いからてっきりオスかと……」


『ああ、というか主さま、我は声発しておりません』


「言われてみれば確かに口動いてないな」


『念話でございます』


「念話か」


『念話です』


 なんで声低いのかの答えになってないけど、まあいいか。


「女の子なら、うーん。名前どうしようか」


『我に名を与えてくださるだけでもありがたいのでなんでもよいです』


 うーん、白色だからシロ?

 いや、犬じゃないしなぁ。

 銀狼? プラチナ? シルバー? ヴァイス?


 どれも微妙だ。


 悩むなぁ。


「あ、ユキとかどう?」


『ユキですね。有難く頂きます』


 スゥと俺の中に、なにかヒンヤリしたでも心地のいい何かが流れこんできた。


「お? 今のは」


『魔力的に我と主さまが繋がり、ユキという名が真名となったのだ』


「なるほど、そういうものか」


『そういうものです』



 こうして俺とユキは一緒に暮らし始めた。


 その後主に食料調達をお願いしたり、川の場所を聞いて銭湯の排水系統を整えたり忙しく数日が過ぎた。



『ようやくお湯が張れるのですね』


「そうそう、やっとゆっくり大きなお風呂に入れるって訳よ」


『我は水浴びで十分なのですが、主がそう言うなら入ってみるのもいいですね』


 あまりにもユキが堅苦しいので、最近はできるだけフランクに接して欲しいと伝えている。

 特に、主さまとか割に合わないのでせめてあるじと呼ばせるようにした。



 銭湯の中も、なかなかいい感じに出来てきて、無駄に券売機とかも出来た。


 マッサージチェアも作ってみたからぜひ使って欲しいと思う。とは言え、人型をしている奴は自分以外にいないので誰も使えないのだが。


 それよりも何よりも発電機を作れたことが大きい。

 なんとライブラリのなかに小型火力発電のユニットが登録されていたので、ひとまずは最低限の電力を確保することが出来た。

燃料は大量に切った木だ。


 なので、今は夜も明るく冷蔵庫も冷えてる状態だ。

 よくよくライブラリ見てみると家電系とかは結構揃ってたりしたので、前世の部屋の水準くらいまでは戻せた。


 でも何故だかベッドとか家電系以外は相変わらずないのでどうしようもないのだが。

 それに服もない。

 なので数日置きに素っ裸になって洗濯している。

 さすがに数日置きは臭いかと思ったのだが、ユキ的には特に気にならないらしく、その他の狼共も言わずもがななので諦めた。

 乾燥機は無かったのだが、適当にやってたら作れたので良しとする。


 家電系も中身がブラックボックスになっている様なものはライブラリに登録されているが、俺が中身を知ってるものは登録されていなかった。


 代わりに部品ライブラリにその部品が登録されていたりして、なんというか、神様が飽きないように手を加えてくれた感がある。


 おかげでそこそこ頭使うけど、作るのは不可能ってものはなくなったので、高難易度のプラモデル的な楽しみができた。


 作製に使う魔力の回復は食事を取った方が遥かに回復が早いことも判明したので、ここ最近はきちんと食事を取るようにしている。


 とまあ、現状こんな感じだ。


 今夜は待ちに待った銭湯にお湯を入れる日。


 ユキからお風呂の良さを聞いた狼共もわらわらと集まってきた。


 毛が多い生物も入れるように湯船を分けたときはとても喜ばれた。


 ユキはメスだけど、てか狼共もオスメス色々だけれどもこれ男湯女湯別れてもらった方が良いのかな?


 まぁ、動物(?)だし、いいか。


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