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大賢者の番頭  作者: 柚希 翠
28/38

28桶目

 こんなもんかな?


 俺は銭湯のお湯に回復系の付与をする為の装置の所に居る。

 魔石を作るのはかなり魔力を食うらしく、調整する度に気が遠くなる。

 なんでこれ作れたのか、謎だ。


「ユキ、お湯はどんな感じだ」


『いい気持ちです』


「いや、そうじゃなくてだな」


『冗談です。私今裸なんですよ、どうですか』


「何がどうですか、だよ。お風呂入ってるんだからそりゃ裸だろ」


 効力を調整するにあたって、ユキに手伝って貰うことにした。

 壁1枚くらいなら念話で余裕らしい。

 めっちゃ便利。


『ブー』


 念話てわざわざ「ブー」って言ってむくれるユキさん、可愛いかも。


「で、効力はどうですか? 裸のユキさん」


『主さま、女の子に裸だっていやらしい』


「……」


『冗談です冗談冗談』


「やけにご機嫌だな」


『最近、住民が増えました』


「そうだな」


『魔王も来ました』


「来たな」


『初めは、私と主と二人でした』


「いや、ちょっとまて。狼もいただろ」


『眷属たちはいないも同然です』


「色々酷いな」


『こうやって、主さまとゆっくり話せるのは何時ぶりでしょうか。それに、主の力になれる事は何でもしたいですし、それが今どうしようもなく嬉しいのです。エルフの小娘と同じ、という訳ではないのですが、今私は主が主さまで本当に良かったと、思っています』


「そ、そうか」


 急に語り出したかと思ったけど、ちょっとまてこれ死ぬほど恥ずかしぞ。

 

『それに、主さまとの共同作業したものがこれから先もずっと使われている、と考えるともう私、私、嬉ションしそうです』


「俺は何もしてないけど、こちらこそこれからもよろしくな。ってまてまてまてまて、嬉ションは辞めろ、辞めろよ!?」


『っ〜////』


 声は聞こえないけど、雰囲気で伝わってきた。


「お湯抜いてお風呂洗っとくように。エルフとか他のやつにやらせるなよ。俺と同じかどうかは知らないが、フェンリルからの命令は眷属たちもエルフ達も逆らえないんだから」


『はい……』


「で、お湯の効能は?」


『ああ、それならバッチリですよ。完璧です。擦り傷程度なら2回入ると消えます。毒は瀕死は無理ですが、その辺の毒植物程度の毒や、蛇毒なら飲めば徐々に治ります。魔力回復は、魔力量の少ない人なら1日、多い人なら2日で回復すると思います』


「お、おう。流石だな、ありがとう」


『いえ、では私は上がりますね』


「ちょっとまて、先に掃除な」


『ちぇっ』



色々あったけど、ユキが手伝ってくれてとても助かった。

あの念話、色々使えそうだな。

俺も念話使えるようにならないかな?

いや、魔力回路とやらを学べばインターホン的な何かが出来ないだろうか。


今度アリアが来た時に聞いてみることにしよう。

どうも、エルフ達もユキも魔力回路とかそういう事に関しては疎いみたいだしな。


して、俺も一風呂浴びるか。


今日は、温冷交替浴。


温冷交替浴とは、熱めのお風呂と水風呂に交互に入るちょっと特殊な入浴法だ。

まずは、あつ湯に入って身体を温める。

お湯の温度は、41~42度くらい、長いこと入ってるとのぼせるくらいの温度が気持ちよくなれる。


ふぅ、付与装置を弱体化させたから、お湯の感じ変わると思ったけどさほど変わらないな。

と言うか、俺には分からない。

やっぱり1人でやらなくてよかった。


そろそろ身体が温まってきた。

顔が熱を持つのを感じる。


では、このホカホカの身体のまま水風呂にINだ。


うひょぉお、つめてー。


水風呂は、身体が冷えきらないうちに上がる。

人によるが、大体30秒くらいだ。


そしてまたあつ湯にはいる。

これは2~3分ほどだが、あくまで目安。

顔が熱を持ってぼーっとしてくる一歩手前で水風呂に行く。

水風呂は、初めてはいる時は冷たいのだが、2回目からは冷たくなく気持ちよくなってくる。


これを5~6回繰り返す。

だんだん気持ちよくなってくるのが分かる。

水風呂に入ると、スーッと頭が冴えてくる感覚に襲われる。

整ったら、自ずと分かるはずだ。


これは、本当にいい。


エルフ達はハマったみたいだが、こんどユキにも教えてあげよう。




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