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大賢者の番頭  作者: 柚希 翠
24/38

24桶目

エルフたちはこの後行く場所もないという事なので、整備していた銭湯の周りに村を建ててもらう事にしよう、と話したら女性陣はとても喜んでいた。


どうやらお風呂が気に入ったらしい。


今は、そのため実際村を作る場所まで来て、村の構想などの話をしている。


ちなみに村長は元村長となった。


助けてくれた恩人に対する態度を見て、あとお風呂に浸かりたい女性陣の意見もあってクビになった。

主に後者が原因らしい。


それはそれで大層抵抗されたらしいのだが、俺は気にしなくていいらしい。


「して、村を建てると言いましたが材料はどうするんですか? 」


「材料でしたら言ってくれれば用意します。ちなみに材料関係なしにどんな家に住みたいか、各家庭絵に描いて貰えますか?」


「そう簡単に材料なんて用意……、あっ」


そう言って銭湯の方を見る。


「はい。作れます。とは言っても、一日で全て準備することは叶わないので、それまで適当に施設の方でゆっくりしといてください」


「「「ありがとうございますっ!!」」」


てなわけで、当面の仕事が決まった。

スローライフのつもりだったけど、何もしないってのも体がなまるしな。

あと、何か作るの好きだしね。


ちなみにエルフの女性陣の料理は、The 自然派、という感じでとても美味しかった。

俺の作る料理べた褒めされたけど、個人的にはこっちの方が好きだな。


「こんな感じで大丈夫ですか? 」


「おお! これはありがとうございます!」

「これだけの建材準備しようとしたら、宮廷建築士の力を借りてもたりません」


まぁ、魔法で作ったから寸法に狂いはないんだが、やはりそこに驚かれた。

そりゃそうか。


材料が揃ってからは早かった。

あっという間にエルフの集落の完成だ。

エルフたちが希望したのは、簡易なログハウス風の家だったので、割と簡単だった。


前世でログハウスキットの仕組みを調べたことがあったのだが、それが役に立った。


斯くして、エルフの移住騒動は終わった。

終わったのだが、ひとつ困ったことが出てきた。


それは、エルフ達が俺の事を大賢者様だと崇め始めたのだ。

これには困った。

アリアもそうだったのだが、大賢者=現人神的な感じがある。

どうにか誤解を解こうとしたのだが、あまり効果は出ていない。


さて、どうしたものか。


「あの……」


「うん?」


あれやこれや番台で考えていると、例のエルフの少女、エルがやってきた。


「この間はすいませんでしたっ! 身体を差し出すようなこと言って、貴方程のお方に失礼でした。ほんとすいませんでした、では失礼しますっ」


「あっ……」


行っちゃった。

全然気にしてなかったのに、まあいいか。

にしても、なんであんな悲しそうな顔をしていたんだろうか。

確かに拒否はした、したが御礼はそういう形じゃないのがいい、という事を言いたかったんだけどな。


出来ればこれからも隣人として、エルフ達とは仲良くしたいのに、さてどうしたもんか。


そうこう考えているうちに、大人のエルフたちが入口から数名入ってきた。

中には元族長もいる。


「どうしたんですか」


番台まで来るかと思ったが、少し離れた所でこちらをちらちら見ながら何か話し始めたので、声を掛けた。


「あの……今更で大変申し訳ないのですが、大賢者様のお名前を私たち知らないので、ほんと今更で申し訳ないのですが……」


そう申し訳なさそうに、おずおずと申し出たのはまさかの族長だった。

あまりの態度の変わりように空いた口が塞がらない。


「あー、そういや自己紹介まだだったな。こちらこそ申し訳ない。俺の名前は、五島。五島 幸介(いつしま こうすけ)だ」


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