24桶目
エルフたちはこの後行く場所もないという事なので、整備していた銭湯の周りに村を建ててもらう事にしよう、と話したら女性陣はとても喜んでいた。
どうやらお風呂が気に入ったらしい。
今は、そのため実際村を作る場所まで来て、村の構想などの話をしている。
ちなみに村長は元村長となった。
助けてくれた恩人に対する態度を見て、あとお風呂に浸かりたい女性陣の意見もあってクビになった。
主に後者が原因らしい。
それはそれで大層抵抗されたらしいのだが、俺は気にしなくていいらしい。
「して、村を建てると言いましたが材料はどうするんですか? 」
「材料でしたら言ってくれれば用意します。ちなみに材料関係なしにどんな家に住みたいか、各家庭絵に描いて貰えますか?」
「そう簡単に材料なんて用意……、あっ」
そう言って銭湯の方を見る。
「はい。作れます。とは言っても、一日で全て準備することは叶わないので、それまで適当に施設の方でゆっくりしといてください」
「「「ありがとうございますっ!!」」」
てなわけで、当面の仕事が決まった。
スローライフのつもりだったけど、何もしないってのも体がなまるしな。
あと、何か作るの好きだしね。
ちなみにエルフの女性陣の料理は、The 自然派、という感じでとても美味しかった。
俺の作る料理べた褒めされたけど、個人的にはこっちの方が好きだな。
「こんな感じで大丈夫ですか? 」
「おお! これはありがとうございます!」
「これだけの建材準備しようとしたら、宮廷建築士の力を借りてもたりません」
まぁ、魔法で作ったから寸法に狂いはないんだが、やはりそこに驚かれた。
そりゃそうか。
材料が揃ってからは早かった。
あっという間にエルフの集落の完成だ。
エルフたちが希望したのは、簡易なログハウス風の家だったので、割と簡単だった。
前世でログハウスキットの仕組みを調べたことがあったのだが、それが役に立った。
斯くして、エルフの移住騒動は終わった。
終わったのだが、ひとつ困ったことが出てきた。
それは、エルフ達が俺の事を大賢者様だと崇め始めたのだ。
これには困った。
アリアもそうだったのだが、大賢者=現人神的な感じがある。
どうにか誤解を解こうとしたのだが、あまり効果は出ていない。
さて、どうしたものか。
「あの……」
「うん?」
あれやこれや番台で考えていると、例のエルフの少女、エルがやってきた。
「この間はすいませんでしたっ! 身体を差し出すようなこと言って、貴方程のお方に失礼でした。ほんとすいませんでした、では失礼しますっ」
「あっ……」
行っちゃった。
全然気にしてなかったのに、まあいいか。
にしても、なんであんな悲しそうな顔をしていたんだろうか。
確かに拒否はした、したが御礼はそういう形じゃないのがいい、という事を言いたかったんだけどな。
出来ればこれからも隣人として、エルフ達とは仲良くしたいのに、さてどうしたもんか。
そうこう考えているうちに、大人のエルフたちが入口から数名入ってきた。
中には元族長もいる。
「どうしたんですか」
番台まで来るかと思ったが、少し離れた所でこちらをちらちら見ながら何か話し始めたので、声を掛けた。
「あの……今更で大変申し訳ないのですが、大賢者様のお名前を私たち知らないので、ほんと今更で申し訳ないのですが……」
そう申し訳なさそうに、おずおずと申し出たのはまさかの族長だった。
あまりの態度の変わりように空いた口が塞がらない。
「あー、そういや自己紹介まだだったな。こちらこそ申し訳ない。俺の名前は、五島。五島 幸介だ」




