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大賢者の番頭  作者: 柚希 翠
23/38

23桶目

 といったものの、なかなかエルフの少女は出ていこうとしない。


「それで、ですね……、一族の総意、として聞いてほしいんですが、お礼をするために私が選ばれここに

 来たわけなのですが、その、私そういうの初めてで、あ、でも先ほどアサブロに入って身を清めてきましたので、あの、安心して私をっ」


 そういうことか。


「いらんいらん、そういうことは大切な人にとっときなさい」


 何かお父さんみたいなことを言ってしまっているようだが、こういうのは人身供物というのだろうか。

 俺はそんなこと望んでいないし、そういうことを致すなら相思相愛じゃないけど、お互い自分の意志でそういう流れになってから、というのはやっぱり日本の価値観なんだろうか。


「やっぱり私みたいな見た目じゃダメなんですね……」


「いや、見た目はめっちゃ可愛いと思うよ? でも自分の意志じゃないなら俺は受け入れられないし、君のことはまだ何も知らない」


「あっ、そうでした! 私の名前はエルリア・フォレスティアです。エルとお呼びください!」


「じゃあエル、みんなに伝えてもらえるかな? 助けたお礼は何もいらない、と」


「そんな……」



 急に絶望した顔になったので、詳しく話を聞いてみる。

 どうやら村が滅ぼされて、命からがら逃げてきて、この森の王だったフェンリルに助けを求めようと来たら、ここにも人間が。

 ただ、ここの人間、まあ俺なんだが、悪い人じゃなさそうだし命の恩人。


 このまま助けを求めても申し訳がないので、エルを妾でもなんでもいいから差し出して交渉しようと思ったらしい。


 俺は怒っていた。


 エルの意志を無視してそんなことしていいはずがない。

 一族のしきたりだろうが、そんなの関係ない。


 とりあえず一度話し合う必要があると感じたので、話し合いの場を設けてもらうことで話を終わらせた。



 時は昼過ぎ、お昼御飯が終わり会談室にエルフのみんなと、ユキと俺と狼たちが顔を合わせていた。


「人身供物とは感心しないな」


「い、いえ。そんなつもりは……」


「ならなぜエルを?」


「失礼な話、あなた様は独り身のようにお見受けしましたので、その、エルを娶ってくださると我らとのつながりも出来ましょうと、そういう話になりまして」


「エルは自ら希望したのか?」


 そう、俺はもともと助けるつもりだった。

 行き場がないなら、そのことも何とかするつもりだ。

 ただ、そこに見返りは求めていない。

 強いて言うと、みんなで仲良く暮らしていきたい、と思っているのでこちらとしては出来るだけ友好的に努めているつもりだ。


「はい」


「ほら、自ら望まない関係を迫って来いと言われたエルの……え?」


「ですから、自ら望んで向かいました」


「それはどういう」


「なんなら、ほかの者も希望していたので、かなり話し合いが重ねられ、というか争いにまで発展しかけたんですが、エルはあれでも族長の娘なので、最終的にエルに決定したわけです」


 んん? 族長ってあの族長? あの残念イケメンエルフの?


「まじか」


「まじです」


 俺はどうやら早とちりで、かなり恥ずかしい説教をしていたらしい。

 エルの気持ちを尊重していなかったのは俺か。


「まぁ、ただその俺もまだそういうことを考えていないので、この話はおいおいゆっくりと」


「ちょっとまてっ」


 ドアのほうから、怒声が聞こえてきた。


 あ、残念イケn……族長だ。

 なんかめっちゃ怒ってる。


「誰が俺の娘を貴様なんぞにやるか、殺すぞ」


 こりゃ族長ではなく、お父さんの発言だな。


「まてまて、俺も貰うつもりはないから。とりあえず怒らないでもらえますか」


「なに!? 娘じゃ不満だっていうのか!」


 めんどくせえ、どっちなんだよ。


「一先ず、そういう話は置いておいて行く場所ないんですよね?」


「ええ……、お恥ずかしながら私たちは行く当てもなく、銀狼様が納めるというこの森に助けを求めてきたのですが」


「銀狼は居ず、俺がいたと」


「はい」


「実際のところユキ、基フェンリルが納めているようなもんだし、俺も力ずくで今の立場になったわけでもない、よな?」


「どうして疑問形なんですか?」


「それは貴様が薄汚い手段を使ったからであろう」


 族長、敵意丸出し。

 さっきからこんな感じで茶々入れてくるんです。


「まぁ、その件に関してはユキに聞いてください。俺の口から話すより信頼できるでしょう」


「貴様に言われんでもそうさせてもらう」


「まぁ、行く場所ないならこの敷地の隣にでも皆さんで住んだらどうですか。土地は腐るほどありますし、温泉も入り放題ですよ。代わりといっては何ですが、銭湯の管理のお手伝いを少ししてもらえれは助かりますが」


「い、いいんですか!」


 エルが立ち上がった。


「いいよいいよ、族長の説得してくれると助かるけど」


 その族長はというと、ユキを探して出て行った。


「そんなことでしたら全然大丈夫です。多数決で一瞬です」


 見ると周りのエルフたちもうなずいている。


 なるほど、族長レベルの過激派(?)は少数派みたいだ。


 話もまとまりそうなので、村の建設予定地を案内することにした。


 というか、割と村長の立場低かったりするのかな?

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