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大賢者の番頭  作者: 柚希 翠
17/38

17桶目

「創造魔法……?」


「魔力を変換してものを作り出す魔法」


「何言ってんの、そんな御伽噺みたいな魔法あるわけないじゃない。馬鹿にしないでよ」


「え?」


「いい?魔法っていうのはね、魔石をコアとし、綿密に計算された魔法式を編んでそれを自らの固有魔法に反応させて発動するものなの。詳しい原理は私も研究者じゃないから知らないけど、質量のあるものを作り出すことは不可能のはず、こんな常識知らないとでも思ったの?」


そうなのか。

てっきり剣と魔法の世界だから何でもありかと思っていたが、どうやら違うらしい。

となると、俺の魔法やばいんじゃね?色々と。


「で、さっきの金とかの話も嘘ってわけよね」


「いや、入手経路は極秘だが、モノはある」


「あるなら今すぐみせなさい」



というわけで俺たちは風呂上りほやほやのまま、離れの倉庫へ向かった。


「わふっ?!」


途中でユキに出会った。

まだ起きてるのか、と思ったけど寝る時間はあまり必要ないらしい。


それよりも、『こんな時間に主とアリアは何をしていたんですか。二人とも髪の毛濡れてますし、何してたんですか。まさかアリアが主と……』とかぶつぶつ言いだして怖かった。


襲われたこと話すと、ややこしくなりそうだったので適当にごまかしておいた。




「なによこれ……」


目の前に積まれたインゴットをみてアリアは絶句していた。

開いた口が塞がらないとはまさにこのことのようだ。


「これを換金したい。ただ、市場のバランスを崩さないように徐々に」


「そ、そうね、この量一気に流すと急進派の連中が戦線拡大に躍起になると思うし」


なるほど、そういう心配もあるのか。


「なら一つ条件いいか」


「言ってみなさい、これだけの取引でしょう。私にかなえられることならなんでも」


「ほんとに何でもいいのか?」


「なんでもって言ってもその、まさか身体とか、いやでも私一人でこの国の為なら」


「何言ってるんだ? 別に身体とかいらないぞ、もらってもしょうがないしな」


「んなっ」


そう、こっちに来てからそっちの欲がてんでなくなってしまったのだ。


「こいつを兵器には使わないでほしい。魔道具にどんなものがあるのか知らないが、さっきの話ぶりからすると兵器もあるんだろ?兵器転用しないなら、という条件でこのすべての流通を魔王様に任せる」


「あなたが管理するのではなく?」


「そう。魔王様は平和的な方みたいだからな、よろしく頼んだよ、アリア」


「そ、そうね!さすが、見る目あるじゃない!任せなさい!」


「でもここのが無くなったらどうするの?」


「ああ、そうだったな。創造魔法を見せるつもりだったの忘れてた」


とりあえず、以前作った時のデータがライブラリーに保存されてたから、それを呼び出してー、個数を入力して、実行っと。


「っ!?!?」


「どうだ、これで信じてくれたか?」


「信じたくないけれど、目の前で見てしまったし信じざるを得ないでしょ。でもこんな……幻影?いや、本物ですって」


アリアは目の前に作り出された金のインゴットを触りながら、ひとしきり驚きまくってこちらに向き直った。


「これまでの無礼お許しください。わらわとてこの事実を知らぬわけはないのじゃ」


どうした。

急にのじゃキャラに戻ったけど、あ、確かこれが正式(?)な口調なんだっけ。


「急にどうしたんだ、魔王様」


「大賢者様に様つけで呼ばれるなぞ恐ろしいのでやめてくれはせぬか」


「なに、ちびったの?」


「漏らしておらんわ!!」


「でもにおうぞ?」


「えっほんとに!?」


そういって体をよじって、股間を抑えたポーズで俺からサササっと離れた。


「え?マジで漏らしてたの?冗談だったのに」


「なっ!!」


アリアは、顔を真っ赤にしてうつむいてしまった。

おもらしキャラ決定だな。


それに、大賢者とかじゃないので変な誤解は早めにとかないと、このままだとせっかく仲よくなて来たと思ったのに、出会ったときに逆戻りだしな。

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