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72、みかんちゃんの彼氏は誰だ? (1992年以降) 大学1年生以降

 とあるTV番組企画で、

【『みかん』ちゃんにふさわしい彼氏は誰だ?】

と言うのが行われた。

 

 僕も思えば18歳を超えて大学生である。

そろそろ彼氏の1人くらいはいないとおかしい年頃に差し掛かっている。

でも三花ちゃんの女性の身体に慣れたとは言え、元男の自分が男と付き合うのはな・・・。

確かに筋肉質の身体にはあこがれがある。前世ではひょろひょろのガリガリだったからだ。


 番組制作側の意図は、普通に彼氏を作ろうにも僕の体型的に付き合う男性が法律的にまずいと見間違われる懸念が有る為、番組で大々的に彼氏を作ろうと言う大義名分で視聴率稼ぎの番組であるのは明白だった。


 彼氏志願応募は一般から芸能人まで多岐にわたり、付き合えなくても生で視られるチャンスだと思い応募してくる人が多かったらしい。

一応書類選考も有ったが僕はノータッチであり、全ては番組制作委員会がすると言う事で蚊帳の外だった。

 

 『僕の事なのに・・・。』


 番組制作者側だけで楽しんでいる節があり僕は嫌悪感を持っていた。

そして収録の日が来て、半分嫌々ながらも笑顔で番組スタッフに挨拶をする。

その日は日曜日で僕も含め一般の方の休日を利用したという事だ。


 「では『みかん』ちゃんの登場だ~!皆、良く拝めよ~!」

 「「「「「お~!」」」」」

 幕が落とされて、僕が舞台上の椅子に座っていて皆を見下ろしている格好となっている。

すなわち会場の舞台下からは僕を見上げる恰好となり、立派な胸部が大変目立つ事になっていた。

僕の後ろには巨大モニターが映し出されており、僕の座る恰好のつま先から徐々に上にカメラが動きひざ、腰、胸部、顔とアップで映し出された。


 「「「「「『みかん』ちゃ~ん!」」」」」

熱気ぶりに僕は少し顔がひきつる状態であったがポーカーフェイスでニコニコと顔の横で小さく手を振った。

会場はそれだけでもう大盛り上がり。

僕の目にはまるで獲物を見つめるかの様にぎらぎらとした目付きで僕の事を観ている気分がした。

 自分で言うのもなんだが、俗に言うロリ巨乳の美少女の僕と公認で付き合えると言うまさにファンからしてみれば天からの贈り物の様であり、皆、この瞬間瞬間を喜んでいた。

客観的に観たら僕自身も、こう言う企画なら前世では喜んで参加していたと思う。

でも商品が自分自身となると話は別である。


 『これが夢ならいいのにな・・・。』


 収録は進み、まずは『みかん』クイズがあり、マルバツ形式で行われそれにより大多数が惨敗していった。

残り10数人と言う所まで進んだところで、『みかん』ちゃんへのアピールタイムと言う企画があり、

僕は内心辟易としながら聞き流していた。


 それから10数人で僕を巡ってゲームが行われて、数人まで絞られた。

それからもファンとしての猛アタックを受けて最後は僕の審判にゆだねられた。

それは参加している男性陣と番組制作者だけが楽しんでいて、完全に僕は置物状態でありどうしようか迷っていた。


 休憩を挟んで僕はマネージャーに相談する。


 「私は企画自体としては大変ありがたいと思いますが、見世物として公で彼氏を作るつもりはありませんから・・・。」

 「そうは言ってもね、『みかん』ちゃん。こう言うタイミングでないと彼氏は出来ないよ?」

 「そうは言いますけどね、嫌なものは嫌なんです。」

 「そう・・・。そこまで追いつめていたのね・・・。私も今回の企画は反対していました。」

 「ではなぜ?」

 「それは局の方針には逆らえないからです。」

 「局の方針と言うのは?」

 「難しい話は別に・・・。と言いたいですが、『みかん』ちゃんの今後に関わる話。理由を述べましょう。ある局のお偉いさんのご子息が貴女の事を大層お気に召しましてね。」

 「それなら堂々と話しかけてこれば良いのに・・・。わざわざこんな大掛かりな事をしなくても・・・。」

 「向こうにも理由が有るのですよ。個人的では確実に周りの目が有るため無理でしょうが、今回の様な企画では堂々と『みかん』ちゃんを彼女に出来ます。それも全国にアピールする事が出来て万々歳なのですよ。」

 「そう言う理由があったのですね。」

 「はい。わかって貰えましたか?」

 「成る程。成る程。」

 「どうしても嫌なら、全員断ると言う選択肢も無い事はありません。」

 「それは本当に出来ますか?出来るならそうしたいのですが・・・。」

 「もし仮にそうしたとしますと、『みかん』ちゃんは恨みを買う事になりますよ。」

 「え?恨み?」

 「はい。恨みです。『みかん』ちゃんの事が好きすぎてこの企画自体を持ち込んだのに公の場で振られる。考えてもみて下さい。プライドが大変傷つきますからね。最悪は『みかん』ちゃん自身危険な目に合うかもしれません。」


 確かに逆恨みは恐ろしい。前世でもそういう小さな事からもつれて行き危険な目に合う人達はいた。

ではこの危険をどの様に回避しようか・・・。


 「今更ですがそもそも論として『みかん』ちゃんに彼氏、もしくはいいなずけでもいればこの様な番組が企画される事は無かったでしょうね。」

 「確かに言われてみればそうですよね。そもそも論として既に彼氏もしくはいいなずけがいる・・・。」

 『確かに・・・。確かに・・・。』


 ここで僕は閃いた。赤の他人の彼氏を作るくらいならば一層の事・・・。

僕は脳内で不安視している三花ちゃんの魂と念話して僕の今後の事を伝えた。

 

 ≪ええ。私もそれが良いと思うわ。雄蔵さん、私もその案に賛成するわ。≫

 ≪ありがとう三花ちゃん。≫

 ≪ではいくよ。≫

 ≪ええ、わかったわ雄蔵さん。≫


 僕は三花ちゃんから了解を得ると実行に移した・・・。

 


 

 

 

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