70、学校紹介(大学編)(1992年) 大学1年生
学生自治会主要メンバーになって数日後、僕は初めて自治会室に向かった。
大学に入学時に全員が学生自治会員になるが、僕はそれの取りまとめ役の主要メンバーに推挙されたわけだ。
「お世話になります。鏡原三花と申します。皆さんよろしくお願い申し上げます。」
ペコリとお辞儀をして先輩方に挨拶をした。
「ようこそ、鏡原君。我々は君をとても歓迎するよ。」
「ありがとうございます。」
気さくに先輩の1人が言うと周りから拍手の音が聴こえた。
「では早速だが鏡原君にしてもらいたい事は、学校PRのモデル兼レポーターになって本校の紹介をしてもらいたいんだ。」
「え?私、まだ入学したばかりでまだ全容を把握していませんけど・・・本当に私で務まるのでしょうか?」
「確か中学、高校の生徒会の一員の時の仕事で学校紹介をしていたと思うけど?」
「はい。確かに紹介ビデオを作成しました。」
「それと同じだよ。その時の事を思い出して学校の各施設や各サークル等を紹介してくれればいいよ。
君にも為になると思うからね。」
「と、言うと?」
「先程君も言っただろ?学校の施設の事を良くわからないと。でも紹介ビデオを作成していく内に君も自然と覚えて行くと思うよ。」
「そうでしたか、わかりました。収録はいつ頃になりますでしょうか?」
「すぐにとでも言いたいが、君にも予定が有るだろうのとプロの機材が必要になる。そこで鏡原君のコネでなんとか撮影スタッフを用意してもらえないかい?
ここに大学側からの要望書と芸能事務所でのこの件の了承済みの書類が有る。
なによりも鏡原君の衣装の件もあるからね。」
と、封筒を渡されて、僕は中身の文面を確認した。
確かに大学側と僕の所属する芸能事務所との僕を使った大学PRビデオ撮影の申請書と了承のサインが有って、後は僕の判断に任せられていると言う話だった。
「ずいぶんと話が早いと思いますね。ここまで根回ししていたとは。まるで私がすでに出演する前提で話が進められていたようでしょうね。」
「鏡原君には悪いと思ったけど、君がわが校に入学する話が持ち上がった時からプロジェクトが立ち上がっていてね。後は君が本当に入学してくれるか心配だったんだ。」
「それ程私の事を買われていたのですね。」
「それは勿論さ。君は今やトップアイドルと言っても良い。実を言うと僕も君のファンなのさ。」
「「「「「私も。私も。」」」」」
「「「「「僕も。僕も。」」」」」
「それはありがとうございます。」
「では詳しい日時は追って指示するよ。それまでに衣装合わせをよろしく頼むよ。」
そう言われ、僕は大学から芸能事務所に行きこのやり取りの話を事務所社長に報告した。
「三花ちゃん、君には急な知らせだったかもしれないけど、君が大学に入学すると言う話が出た当時からその話は持ち上がっていてね。中学、高校と同じ要領の仕事だし、前向きに大学自治会側と話を詰めていたんだ。もちろんこの話は大学のトップも知っている事なんだ。引き受けてくれるかい?と言うより、これは業務命令になってしまうね。すでにこのプロジェクトの為にスタッフも準備されているから君の当日の衣装が決まり次第いつでも撮影が出来るんだよ。
君が出てもらう事によって、大学側だけではなく我が事務所も宣伝になるから良い提案だと思っていたんだよ。
君に黙っていたのはすまない。この通りだ。」
「そこまで大きなプロジェクトになっていたのですか・・・。わかりました。全力を尽くします。」
「ありがとう、三花ちゃん。君ならそう答えてくれると思っていた。わが社はこの撮影に全力でバックアップするからね。安心して良いからね。」
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数日後、撮影スタッフが大学に来て学生自治会室に訪問した。
大学のトップと芸能事務所社長も同席している。
自治会メンバーの方々は緊張していた。
今日の僕の衣装は無難に白色のワンピース、黒のローファの機能重視したチョイスだった。
まずは大学トップへのインタビュー、施設案内、受講風景、各サークル紹介等2、3日にかけて撮影が行われた。
大学紹介を撮影するのを更に撮影してビデオに残した。
すなわち、学校紹介以外にも僕の打ち合わせ風景も撮影された。
後日、2本のテープが完成して関係者で試写会が行われた。
出来は上々で拍手喝采だったので正式に大学紹介ビデオとして商品化された。
もう1本はと言うと後世の鏡原三花記念館で所蔵されており、学生時代の僕の姿が残された。
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