67、自動車学校1日目 (1992年4月以降)大学1年生
僕専属の運転手、福島大貴さんとの出会いは僕がまだ物心つく前に両親と共に乗っていた頃までさかのぼる。
安全運転は勿論、加速、減速、停車等のタイミングは自然でいつの間にか加速していつの間にか原則して停車していると言う感じで福島さん以外の乗員の身体への負荷が一切無く気持ちが良くて居眠りしてしまう事が多々あった。
「三花は気持ちよさそうに寝ているわね。なるべく家に到着するまで起こさない様にしましょう。」
「そうだね。それが良い。」
お母様とお父様の会話だ。
それから幼稚園、小学校、中学校、高校、大学と僕が大きくなるにつれ僕専属のお抱え運転手となった。
「お嬢様、目的地に間もなく到着します。」
「福島さん、いつもありがとうございます。」
「いいえ、勿体無いお言葉。自分めは仕事ですのでお気を使わずにお願いします。」
「福島さんと出会って15年余り、お互いに歳を取りましたね。」
「お嬢様はまだまだお若い。自分めは間もなく40歳代。いやはやあっという間に月日が過ぎましたね。」
「これからもお世話になります。福島さん今後共よろしくお願い致しますわね。」
「勿体なきお言葉。自分もお嬢様を送り迎え出来て光栄の極みでございます。」
「福島さんはいつ頃から自動車を運転していらしたの?」
「はい。自動車免許取得が可能な歳になったらすぐに自動車学校に行きました。免許を取得後安全運転を心掛ける為ドライビングスクールに通っていました。そこで今の様な運転技術を学んで今現在お嬢様を安心、安全に送り迎えしているのであります。」
「まあ、そうでしたの。年齢で言えば私も18歳を超えているから自動車を運転出来る年頃なのよね。
福島さんの運転技術を少しでも見て学びたい物ね。」
「ありがたいお言葉、恐縮であります。」
「お父様に今度相談してみようかしら。自動車学校に通って普通車免許を取得したいと。」
「自分もお嬢様が自動車を乗りこなす姿がみとうございます。」
「確か既存のマニュアル車とオートマチック車の2種類が有るらしいわね。」
「はいお嬢様。よくご存じで。」
確かこの頃はオートマチック限定免許と言うのもあったはず。
でもぜひ乗るならマニュアル車が何かと便利であろう。
後世、ほとんどの車がオートマ仕様になるのは知っているが・・・。
それに自動運転の研究も盛んに行われて発展途上だったんだなと前世を思い出した。
それからしばらくして家に到着してお父様が帰宅するのを待った。
ちなみに今日は芸能関係の仕事は休みの日で久しぶりに家族団らんの時間を過ごした。
お兄様方や弟も成長しており、お兄様は自分の自動車を持っていた。
僕はうらやましく思い早くお父様が帰宅されるのを心待ちした。
「ただいま。皆、帰ったぞ。」
お父様の声が聴こえてきた。
それからしばらくして、リビングでの一コマ。
「お父様、大事なお話があります。」
「どうしたんだい?三花。」
「はい、私もそろそろ普通車免許を取得したいと思っています。許可を出しては頂けませんでしょうか?」
「そうか・・・。そろそろ三花も自動車免許の話を言うと思っていたよ。太郎(長兄)、次郎(次兄)に自動車を与えた時には三花は自分の様にはしゃいで、とてもうらやましがっていた物な。」
「お恥ずかしい限りでございます・・・。」
「いや、いいんだ。三花もそろそろ自前の自動車に乗りたいと言う気持ちはよくわかる。
でもその体格では無事に乗れるか保証出来ない。仮に運転免許証を取得出来たとしても視界の高さやアクセル、ブレーキ、クラッチに足が届くか今の所未知数で、安全に乗りこなせるか心配なんだ。
わかってくれるかい?」
僕がお父様に自動車免許取得許可のお願いを出したが、難色を示された。
「でも三花がどうしてもと言うなら今度自動車学校で教習を受けると良い。でも芸能界関係との兼ね合いもあるので芸能事務所とも良く相談する事だね。」
「ありがとうございます!お父様!」
善は急げという事ですぐさま芸能事務所に相談して自動車学校への通学許可を申請した。
芸能事務所側もすぐさま了承を出してくれて、ドキュメンタリービデオにしたいと反対に提案された。
時間は大学の講義が終わった夕方、ドキュメンタリーの仕事という事で撮影スタッフも同行した。
自動車学校側はあの『みかん』ちゃんが入校してくれて宣伝になるとの事ですぐさま入校手続きが済まされた。
そして運命の1日目、教習の先生と顔合わせをして教習車に乗り込む。
乗り込む前に車の前後、左右、車体の下などを良く確認する様に言われた。
理由として小さい子達がかくれんぼ等したり、自動車の陰で遊んだりして事故に巻き込まれない様に入念に確認する為だった。
「まずは運転席に座って下さい。」
「はい。」
教習官が指示をしてくる。僕は指示に従い座席に座ると座席の前後移動の仕方を教えて下さった。
なんとか座席を前の方にずらして足はペダルに届く事を確認した。
「視線の高さはどうでしょうか?」
「はい、なんとか大丈夫です。」
「本当に問題無いのですね?」
「はい。問題ありません。」
教習官と僕はやりとりをする。
「ではまずはエンジンをかけてみましょう。車のキーが差し込んであるので奥に回しこんでください。」
「はい。」
ブルルン。ブロロロロ・・・・。
エンジン音が鳴り響く。
「今はブレーキギアを引いていて、シフトレバーがニュートラルすなわち何も動かしていない状態になっていますが、まずはブレーキギアを戻して左側のクラッチペダルを踏みこんで下さい。右側のアクセルペダルを右足で軽く踏んでエンジンをふかしてください。そしてシフトレバーを1(ロー)に動かして下さい。
少しずつだが教習車が前に動く。しばらくすると、
「では右足で真ん中のペダル、ブレーキを踏んでください。左足のクラッチペダルの踏み忘れに注意して下さい。」
「はい。」
そうしてひとまず少し前進して停車した。
「では次にバックの練習もしましょう。発進と同じ要領でクラッチペダルを踏みながら今度はシフトレバーの右下に動かしましょう。」
「はい。」
のろのろとバックする。しばらくすると教習官が、
「はい、ブレーキを踏んでください。くどい様ですがクラッチペダルの踏み忘れに注意して下さいね。」
「はい、わかりました。」
「初めてにしては上出来ですね。」
「ありがとうございます。」
「ではしばらく前後移動の練習してみましょう。」
「はい。」
しばらく前後移動の練習をしていると1日の教習時間の1時間があっという間に過ぎ、合格点を貰えた。
「明日もこの調子で頑張りましょう。」
「ありがとうございます。」
なんとか1日目の教習を終えた。
「どうだったかい?三花ちゃん。」
「初めてなので緊張しました。」
撮影スタッフに聞かれると僕は答えた。
実を言うと初めてでは無い。『鏡原三花』としては初めてだけど、前世で『鏡原雄蔵』としてはマニュアル車を乗りこなしていており、いずれ時代はオートマ化していったが普通免許は取得していた。
だが身長差が前世と今世ではありすぎてとても緊張した。
あと、久々のマニュアル車なのでかなり最初は緊張してしまった。
だが逆行転生しても身体はなんとか覚えている物ですぐに調子を取り戻した。
身体と言うか前世の雄蔵としての魂だけど。
そうしてなんとか自動車学校1日目を終えた。
マニュアル車の操縦の仕方はうろ覚えで執筆しているので所々違う箇所が見受けられるかもしれません。
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