46、バレンタインデー (1989年2月14日)中学3年生
1989年1月8日、元号が『平成』に変わっても受験シーズンである僕らには変化が見られない。
しいて言うならば受験も踏まえて僕の仕事量がセーブされた事だろうか・・・。
後、生徒会長の職も2年生の後任に任せているが僕は『名誉生徒会長』として生徒会に居続けた。
いわゆる僕のネームバリューがすごく他校からの交渉や相談事、はては見学等々交流事に僕も出席している。
世間はのちに『バブル経済』と呼ばれる、いわゆる『いけいけどんどん』の社会が続いており、
僕もその恩恵を受けていたと思う。
まさに世間はこの世の春を謳歌していたと言えた。
高校受験は付近の私立の学校からの特別推薦ですでに内定しているのはここだけの秘密だ。
でもマスコミを含めて僕の進路先が気になるらしく、どこどこ高校等と推測がされていた。
卒業式は3月上旬、残り2か月程の中学生生活精一杯頑張ろうと心に誓う。
2月14日のバレンタインデーを控えて、男子、女子共に生徒達は色めきだっていた。
僕も芸能事務所を始め、仕事先に用意した。
用意と言っても既成品を贈る事にしている。自分で湯煎してチョコレートを溶かして型枠で成形してもおつなのだけど、食中毒等が怖く事務所を通じてチョコレートメーカーから大量に取り寄せている。
バレンタインデー当日、学校中の男子女子共にそわそわしていた。
「鏡原さんはどなたか本命の方いるの?」
教室でクラスメイトの1人が言う。
「別に特定の方はいませんよ。ぜひ良かったら後から皆さんにお贈りしますので食べてください。」
僕は校長先生に前もって交渉して学校の方々全員分のチョコレートを用意しており、帰りに配ってもらう予定だ。
勿論1人1人に手渡しは無理なので各教室や職員室に入室しては人数分の入った箱を各学級の担任に渡した。
皆喜んでいた。渡したかいがあったと思う。
義理でもあり皆への本命チョコそれは芸能事務所でも渡した。もちろん仕事先でも。
「三花ちゃんありがとう。」
「いえ、先生には小さい頃よりお世話になっておりますのとこれからもよろしくお願いしますと言う意味も込めまして。」
僕とピアノのレッスンの先生との会話を聞いて、事務所の社長も交じってきた。
「三花ちゃん、いつもすまないね。ところで本命はもう渡したのかい?」
「皆さん1人ずつ本命だと思い配っています。心に決めた人はまだいません。」
「そうかい。嬉しい事言うね。いずれ心に決めた人が出れば良いね。」
「ありがとうございます。今はまだその気はありませんから・・・。」
「そうかい。僕がもっと若ければ恋人に立候補するのにな。」
「またまた御冗談を・・・。」
「これでも本気だよ。」
『そうだ、僕はこれから恋をしていけるのだろうか・・・。』
TS逆行転生して現在中学3年生の女の子の元おっさんが人生をやり直している。
今の姿で一番渡したいと思うのは元の自分、すなわち前世の『鏡原雄蔵』
ただ1人。決してナルシストではないけど、いずれその様な事が出来たらな・・・。
まあしようと思えば、脳内のもう1人の人格である本来の鏡原三花ちゃんに鏡越しで貰う事は出来るんだけど、今度お願いしてみようかな・・・。
≪雄蔵さん、そんな事お安い御用よ。楽しみにしててね。≫
≪三花ちゃん、ありがとう。≫
帰宅後家族にもお礼の意味も込めてチョコレートを配る。
「三花、チョコレートありがとうな。」
「お姉ちゃん、ありがとう。」
「三花ちゃん、ありがとうね。」
家族から様々な感想が帰ってくる。
最後に個室に戻り本日のメインイベント、本来の三花ちゃんに身体をゆだねて鏡越しに一言言ってもらう。
「今までありがとう。とても楽しい日々だった。これからもよろしくね。」
鏡に向かって本命チョコを両手に持って差し出す。
≪三花ちゃん、ありがとう。≫
僕の人格に身体の主導権が戻り、受け取ったお礼を述べた。
≪さあ、残り3週間で中学校の卒業式。悔いの無い様にしないとね。雄蔵さん。≫
≪そうだね、三花ちゃん。あっという間の中学生生活。悔いの無い様に。≫
≪≪ではおやすみなさい。≫≫
無事2月14日のバレンタインデーの日を過ごして就寝した。
面白い、続きが読みたいとお思いの方はお手数だけど、
下の星の所から評価をよろしくお願い致します。
面白ければ☆5を。つまらないとお思いの方は☆1を。
またそれ以外の方は☆4~☆2をお願いします。
またブックマーク、感想を記入していただけると多いに励みになります。
何卒よろしくお願い致します。
m(_ _)m