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3、目覚め

僕が気が付くとおでこにひんやりとした物が置かれており、何やら人影が見えたが意識がもうろうとしていた。


 「お父さん、お母さん。三花が気付いたよ。」


と、だだだっと見知らぬ男の子が駆け出した。それを見てもう一人の男の子も後を追う様に駆け出した。


 『ここはどこだろう・・・?それに身体に違和感がなんとなく有る気がする・・・。』


僕はおでこの上に乗っているひんやりした物に触れようとして右手を顔の前まで動かした。

成人男性だった時と明らかに違う右手、なんとなくだがきゃしゃな手をしてるなと思った。

おもむろに左手も見てみる。こちらもきゃしゃに見える。


 「あの~すみません~。」


口から言葉を発すると、どことなくかわいらしい声が聴こえた。

 

 「ここはどこでしょうか?」


再度僕は話かける。そしてこのかわいらしい声がまた聴こえそして消えていった。

なんとなくだがこの声の正体がわかった気がする。そしておもむろにおでこを確認した。

そこにはおしぼりが置かれいて、僕の隣を見ると水を張った洗面器があり、看病してもらえていたのだろうかと思った。

洗面器を見ようと上半身を起こしたら、ふぁさ~と肩に髪の毛が触れる感触が有り、これもなんとなくだが

頭が少し重い気がした。そして中の水に顔を近づけるとどこからともなく美少女の顔が見えた。

びっくりして顔を洗面器より離すと美少女も離れていった。意を決し、もう一回洗面器を覗き込み試しに片目をつむってみた。すると美少女も目をつむった。それを何回か繰り返している内におぼろげな思いも整理がついていった。すなわち、この美少女は僕自身なのだと。これは夢の続きだろうか・・・。

そしてここはどこだろう?さっきの2人の男の子は誰?


等と思案にくれていると、


 ≪あなたは誰?≫


と頭に響いた。僕が黙っていると、


 ≪もう一度聞きます。あなたは誰?≫


 ≪君こそ誰だい?まずは名乗って欲しいな。≫


 ≪質問に質問で返すのは変じゃありませんか?≫


 『まあ、ごもっとも。』


 ≪繰り返します。あなたは誰?≫


 このままでは堂々巡りの恐れがある。僕は自分の名前を念じた。


 ≪鏡原雄蔵。君こそ誰だい?≫


 ≪私の名前はかがみはらみか。≫


 と頭の中で会話した。


 ≪そっか。みかちゃんというのか。でも君は何者なの?≫


 ≪あなたこそ何者なの?≫


 ≪多分だけど、みかちゃんはこの身体の持ち主?≫


 ≪ええ。そうよ。私の身体を返してよ。それであなたは何者なの?≫


 ≪僕は君で、君は僕だと思う。≫


 ≪え?どういう事?≫


 ≪つまりだね、僕は異性の僕になって人生をやり直す事になっていたんだ。そして気付いた時は君の中。≫


 ≪え?という事は?≫


 ≪だから僕はみかちゃんがもしも男で産まれたならばの世界から来たということだよ。≫


 ≪ふう~ん。そういう事てあるんだね。≫


 ≪信じてもらえたかい?≫


 ≪全然。まあ、今の私の状態の説明がつくかもしれないわね。≫


 ≪分かりやすく例えると、小説等でよくある前世の記憶を取り戻したという事かな?≫


 ≪え?なにそれ?知らないわそんな話。≫


 ≪ちょっと待って、こういった小説が世間にざらにあるじゃないか。聞いた事ないなんておかしいよ。≫


 ≪だって、知らないものは知らないんだもの。≫


 ≪待って、少し整理する。今は21世紀だよね?。≫


 ≪え?何言ってるの?まだ20世紀じゃない。≫


なんてことだ・・・。今が20世紀ならみかちゃんが知らないのも無理はない。

ふとカレンダーなり何か今日の日付がわかる物はないかあたりを見まわした。

そしてカレンダーの日付を見ると僕が4歳の時の年だったのでみかちゃんに聞いてみた。


 ≪ちなみにみかちゃんて今何歳?もしかして4歳?≫


 ≪あら、よくわかったわね。そうよ、現在4歳よ。≫


 ≪という事はおおよそ1970年代という事だね。≫


 ≪だからカレンダーに書いてあるじゃない。≫


 ≪ん?ちょっと待って雄蔵さん。≫


 ≪どうしたんだい?≫


 ≪いえ、確かに貴方がさっき言った前世の記憶とやらが頭にイメージする事が出来たわ。≫


 ≪つまり?≫


 ≪ごめんなさいね。あなたの言う通りみたいね。≫


 ≪良かった。信じてくれて。≫


 ≪現在の私の家族構成は、父、母、兄2人、弟1人、私の計6人よ。≫


 そうして僕はみかちゃんと話をしていた。まもなくしてみかちゃんの両親らしき人物を伴い聞いたところ、兄達が戻ってきた。


 「みかちゃん、熱は冷めたの?よかった~。」


 「みか、熱は治まったのか?」


 と言ってくる。そして僕は気付いた。若かりし頃の両親だと。


 「みか、心配したぞ。よかったな。」


 という男の子は誰だろう?察するにみかちゃんの兄だと思うけど・・・。

するとみかちゃんが教えてくれた。上の兄が『太郎』、下の兄が『次郎』、弟が『三郎』と。

そして今話しかけてきたのは上の兄『太郎』であると。


 「お父さん、お母さん、お兄ちゃん、心配かけてごめんなさい。」


と自然に言葉が発せられた。どうやらみかちゃんが答えた様だ。


 「どうやら熱は冷めた様ね。でもしばらくは安静にしているのよ。」


 お母さんがそう言いつつ、TVをつけてくれた。


 TVを観つつ感じた事は、『流石に4歳の頃はよく覚えていないや。』という事であり、みかちゃんと共に

視聴を楽しんだ。


 おもむろにみかちゃんが話しかけてきた。


 ≪ではまずは名前のおさらいをしましょうか。苗字は鏡原で同じね。そして私は3番目に産まれた女の子で、蝶よ花よという事で三番の花と書いて『三花』と書くの。よろしくね!≫


 ≪こちらこそよろしく。≫


 ≪ところで・・・あなたは自分磨きをしてこなかったのね。遊び呆けて勉強もせずに・・・。だから後悔してやり直したいと願った。でも安心して。私の身体でやり直せばいいじゃない。その為にご都合主義と言われるほどの設定をしたんでしょ?でも私もたまに息抜きに兄達が所持する漫画やアニメ等を観て過ごす時があるわね。≫


それを言われるときつい・・・。


 ≪あなたのいた世界、多分未来のアニメや漫画、その他もろもろ興味がわくわね。≫


好奇心旺盛でこの先どの様な作品が出るのか楽しみにしてるみたいだ。


 ≪じゃあ、後に封印された作品。または今は無名でもいずれ活躍する作家等を教えるね。覚えている限りだけど・・・。≫


 色々うろ覚えな事柄を教えると三花ちゃんは嬉々とした声で語りかけてきた。


 ≪そうなんだ!ならその作品は永久保存版だね。実は家にビデオデッキがあるんだよ。≫


 僕の世界ではこの頃のビデオは高級品で、カセットテープに録音していたと記憶している。

そして我が家にビデオデッキが購入されたのは僕が小学1年の頃だった。当時ビデオテープは高く、何度も重ね録画していた。


 ≪ふーん。レコード、カセットテープからCD、DVDの時代が来るんだね。はてはブルーレイかあ~。その間にフロッピー、MD等の記録媒体が生まれるんだね。ありがとう。為になったよ。≫


 三花ちゃんは僕の記憶を読めば済むが、僕が知りたいくらいあれやこれやと質問してきた。


 ≪PCも雄蔵さんがいた世界ではだいぶ発達するんだね。容量がテラバイトのHDDか・・・。

容量の大きさが想像も出来ないよ。でも現在はカセットテープに記録するんだよ。

もう少し元気になったらお父さんの部屋にあるPCを見せてあげるよ。≫


 ≪楽しみにしているよ。≫


 ≪それはそうとお手洗いに行きたくなってきたわね。案内するから行かない?≫


 そういえば、気が付けば少しだけ尿意を感じた。寝起きな事と話しに夢中になり、あっという間に時間が過ぎていった。三花ちゃんの身体の主導権はどうやら僕が持ってるらしい。

そうしてベッドから降りてトイレに向かった。


  

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