32、ラジコンとプラモデル (1984年以降)小学5年生
ある日、兄達がプロポ(ラジコンの送信機の俗称)を持ってどこかへ出かけて行った。
興味を持った僕はすぐさま後を追った。
「お兄様、それはなんでしょうか?」
「ああ、三花かこれはラジコン(無線操縦)と言って電波で操縦するんだ。」
「やあ、三花ちゃんこんにちは。」
「こんにちは。お兄様方。」
公園で兄達と数名の方々がラジコンカーで遊んでいた。
この頃は空前のラジコンカーブーム。某学童誌に取り上げられており前世の僕はうらやましいと思っていた。
「どうだい?三花ちゃんも操縦するかい?」
「え?いいのでしょうか?」
そう言われプロポを貸してもらい操作方法を習った。
「うまい、うまい。三花ちゃん飲み込みが早いね。」
「ありがとうございます。」
最初は前後運動から始め、前進しながらの右左折、後退しながらの右左折の練習をした。
走り慣れてくると見学者の人が、
「三花ちゃんうまいね。確か初めてなんだろう?見込みがあるよ。」
「ありがとうございます。」
プロポを返してから辺りを見回すとラジコンカー、ラジコンヘリ、ラジコン飛行機、ラジコン船等思い思いの場所で操縦している方々の笑顔が見て取れた。
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「どうだ?三花も作成風景を見るかい?」
帰宅すると兄達が部屋に入り僕も誘われた。
作成しているのは新たなラジコンカー、説明書を見ながらせっせと組み立て作業の続きをしていた。
「三花、退屈じゃないかい?」
「え?どうしてでしょうか?」
「いや、女の子なんだから機械いじりとか見ても退屈じゃないかと思ってさ。」
「いえ、そんな事ありませんわ。組み立て作業を見ているのはとても楽しいわよ。」
「それならいいんだけど・・・。」
しばらく組み立て作業を眺めている僕。
『ラジコンと言えば前世の時、ラジコン戦車のプラモデルに憧れていて店で外箱を眺めていたな・・・。当時は高価でとても手がでなかったけど・・・。』
プラモデル。ミリタリー物、城、車等々。色々子供の頃買ってもらって父に作ってもらっていた記憶が蘇り、唐突に目から一筋の汗がこぼれた。
「三花、突然泣き出して一体どうした?」
「いえ、なんでもありません。目にゴミが入ったのでしょう。」
大きくなるにつれ自分で組み立てていたが前世での事を思い出してしまった。
前世での壮年の時も思っていたが、歳を重ねると涙腺が弱くなる。今の身体でも時たま感極まって目から汗が出る事がある。
『今なら前世の時購入出来なかった大型のプラモデル入手できるかな?』
そう思い、今世での父に頼んでみた。
「三花、購入してもいいけど組み立ては誰がするんだい?」
「それは・・・その・・・。」
「ははは。冗談、冗談。」
「いえ、空いた時間に私が組み立てます。色は塗らないでしょうが・・・。」
「まあ、塗装は無理にしなくてもまあいいさ。」
「ありがとうございます。」
「で、最初は何が欲しいんだい?」
「戦車や戦艦、戦闘機等のミリタリー物、城や車、飛行機等色々ありますが、まずは戦車でいこうかと思います。」
「三花、理由を聞かせてもらってもいいかい?なぜ戦車なんだい?」
僕は『前世からの憧れだから。』とは言えず返答に困っていると、
「ははは。そう言えば三花は戦車のプラモデルとか見るのが好きだったものな。」
「そうでしたか?」
「そうだとも。君は覚えてないだろうけどおもちゃ売り場に行ったら戦車等のプラモデルを興味深そうに見てたぞ。」
「そんな事がありましたか・・・。」
「そうだ。いずれ欲しがるだろうとこちらも心待ちしてたんだよ。でも急になんでラジコン戦車を欲しがったんだい?」
「はい。先日お兄様の後をついていって公園でラジコンカーを操縦しました。そして組み立てしてるのを見て私自身もしたいと思いまして、それで・・・。」
「わかったよ。まずは安全な地上のラジコンをしたいと言うんだね?」
「はい。飛行機や船も憧れましたがまずは戦車で行こうかと思いました。」
「車じゃなく戦車とは思い切ったね。」
「戦車も一応は車でしょうから・・・。」
「ははは。確かにその通りだけどその様なへりくつどこで覚えたんだい?」
「いえ、文字を見てそうひらめきました。」
僕はタイヤが付いてるから車、自転車も三輪車、一輪車、四輪車も車だと昔習った記憶があったのを覚えていてそう答えたかったが自重した。
そうして前世を含めて長年の夢であったラジコン戦車のプラモデルを購入して自力で組み立てた。
そうそう、このニッパーの切り具合。接着剤の甘いシンナーの匂い。部屋をちゃんと換気しながらの作成となった。
後日、庭先で車体にスプレー缶で迷彩色に吹きかけて着色した。
それは大型のプラモデルを自力で組み立てたと言う記念すべき第一号となり、兄達も時々操縦させてくれとお願いしてくる時がある。
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