158、学生自治会室にて 1994年8月9日 大学3年生
僕と雄蔵君が学生自治会室に入室した。
夏休みと言う事もあり、誰もいなかったが自治会名簿が保管されている棚に行き、か行のファイルを手に取り中身を確認した。
「かがみはら・・・、かがみはら・・・、あ、あった。鏡原三花と鏡原雄蔵が並んで記載されてるね。」
「お、本当だ。」
「一応、雄蔵君も自治会メンバーの一人と言う事が分かったよ。」
「名前の横に役職が記載されてるな。何々・・・、」
『鏡原三花 学生自治会長 住所○○』
『鏡原雄蔵 学生自治副会長 住所以下同文』
「と、記載されてるな。と言う事は僕と雄蔵君は同じ住所であると言う風に理解されてるみたいだね。」
「そういう事だな。まあ、結果が知れたので、早くおいとましようや。」
「一応、教員室には報告してあるから心配ないよ。」
「いや、俺が心配しているのはだな、誰もいない部屋に2人きりと言うのを目撃されないかと言う事だ。」
「心配しなくても平気だと思うよ。報告してあるとは言ったでしょ?」
「天然なのか、わざとなのかわからないな・・・。俺だから安心してもいいけど、他の者とは二人きりになるなよ?」
「分かってるよ。心配症だな~。」
≪≪三花、雄蔵さんは自分の立場と言うのが理解しているのだろうか?≫≫
≪雄蔵君、雄蔵さんはいつもこんな感じよ。≫
≪≪そ、そうなのか?色々と大丈夫か?≫≫
≪私も心配な部分もあるわね。≫
≪≪何かあったら問題だぞ?≫≫
≪分かってはいるのだけどね・・・。≫
≪所で2人は何で僕の悪口みたいな事を話してるのかな?≫
≪≪いや、雄蔵さん、雄蔵さんは今を時めく大スターなんだぞ。その自覚はあるのか?≫≫
≪そんな・・・大スターだなんて。僕はまだまだだよ。≫
≪≪でも世間は雄蔵さんの事から目が離せないんだぞ。≫≫
≪僕はそんなにうぬぼれていないし、色々と発展途上だよ。≫
≪≪そ、そうか・・・。≫≫
≪僕から言わせたら、雄蔵君も身長180㎝もあり筋肉質で好青年だから世間がやかましいんじゃないの?≫
≪そうね、私もそう思うわ。≫
≪≪俺は、三花一筋だからほかの女性は目に入らないさ。≫≫
≪雄蔵君、貴方ってナルシストなの?雄蔵さんもナルシストっぽい感じだけど。≫
≪え?そうかい?≫
≪ええ、そうよ。自分自身を鏡越しで見つめているじゃない。≫
≪ああ、それは三花ちゃんが可愛いからつい見とれてるだけだよ。≫
≪≪そもそも、鏡原雄蔵さん本人の女体化した姿が現在の鏡原三花ちゃんで、俺は鏡原三花ちゃんが男体化した鏡原雄蔵だからな。つまりナルシストなのは雄蔵さん本人が自分自身が好きと言う事になるな。≫≫
≪ああ、言えるかもね。私も第3の人生の時に雄蔵さんになったけど、雄蔵さんの演じる三花ちゃんとても可愛いかったわよ。≫
≪≪そろいもそろって、自分の異性化した姿に興奮していたという事か・・・。≫≫
≪まあ、不毛な言い争いはやめようよ。結論、僕らは恰好良いし可愛い。それで良いじゃないか。≫
≪そうよね。それが結論よね。≫
≪≪まあ、話を戻すけど雄蔵さん、君の現状は誰もがうらやむ大スターで皆、君を狙っている。だから身辺に今後も気を付けるんだぞ。≫≫
≪分かったよ。≫
≪≪雄蔵さん、返事は?≫≫
≪はい。今後気を付けます。≫
≪≪分かればよろしい。≫≫
そうこう念話している間に、ファイルを棚に片付け自治会室を退室した。
大学の帰り、教員室に顔を出し用が済んだ事を報告した。
そして帰宅の途についた。