155、入籍 1994年8月8日 大学3年生
1994年8月8日、同人誌即売会が終了して僕も帰宅の途についた。
その夜・・・。
僕事鏡原三花とお相手の鏡原雄蔵、そして長年の付き合いの有る歌やピアノのレッスンの先生と3人で役所に来ていた。
そして今ここに1枚の申請書を記入していた。
『婚姻届け』
新婦側に僕の名前の『鏡原三花』を。新郎側に『鏡原雄蔵』と。そして証人の欄にレッスンの先生の名前が記載された。
そして、印鑑と婚姻届けと共に『休日夜間窓口』へと向かい、受理された。
1994年(平成6年)8月8日がはれて入籍日となった。
「いや~小さい頃から知ってる三花ちゃんと雄蔵君が許嫁だったとはね。
はれて入籍日に立ち会えるなんて光栄だよ。」
レッスンの先生が言う。
「こちらこそ、小さい頃よりお世話になっている先生に証人になっていただいてありがとうございます。」
僕が先生に言う。
「それで、式はいつ挙げるつもりだい?」
「いえ・・・。そこまではまだ考えていません。」
「なんてこったい。式は大がかりにするつもりかい?」
「なるべく質素が良いとは思いますが、どうなりますかね。」
「景気も回復してきてる事だし、豪華な挙式を挙げたら良いと思うよ。」
「まあ、豪華にはなるかもしれませんね。」
「そうだろう。そうだろう。」
「まあ、おいおいと。と言う事で。」
僕達は役所から帰りの車の中で話していた。
幸いな事に、この時間では僕達だけしかいなくて目撃される事はなかった。
芸能事務所に行き、長年世話になっている社長に入籍報告をした。
「おめでとう、三花ちゃん。雄蔵君と言ったね。今後とも三花ちゃんの事をよろしく頼んだよ。」
「はい、わかりました。」
芸能事務所社長が雄蔵さんに言い、答えた。
「この事はまだ秘密にしています。婚姻届けも今しがた終えたばかりで、この『みかん』入籍話は我々4人と役所の人間しかまだ知りません。」
同行していた先生が社長に言う。
「三花ちゃん、入籍したとは言え元々同居していたと言う話だが、外では芸能リポーターとかの目を注意してくれたまえ。」
「了解しました。」
「雄蔵君、君は一般人。この入籍話が世間に広まるとやっかみや妬みを買う恐れがある。よく見たら身長も高いし、筋肉質。ルックスもいいから三花ちゃんとユニットを組まないかい?」
「名前はとりあえず、『みかん』と『雄蔵』をもじって『ユー&ミー』と言うのはいかがでしょうか?」
雄蔵さんが社長に問われて答えた。それは第3の人生時代でのユニット名で僕は懐かしい気持ちになった。
「訳すと『あなたと私』か。いい名前だね。」
「ありがとうございます。」
「私も良い案だと思います。そのユニット名を賛成致します。」
「そうだね、君達が自分で考えた名前だからね。無事大物になってくれよ。」
「「はい!」」
「〇〇君、2人の為に良い楽曲を作成してくれたまえ。」
「所で社長、雄蔵さんの歌唱力は調べないのでしょうか?」
「それはもちろんするさ。では雄蔵君と三花ちゃんは収録室に向かいたまえ。そこで歌唱力テストおよびダンス能力等見るから。」
そうして僕達は収録室へ向かった。身長130㎝の僕の横に身長180㎝の雄蔵さんが一緒に並んで歩いている。その差50㎝。事務所内ですれ違う人それぞれが雄蔵さんの事を見ていた。
収録室へ到着すると、雄蔵さんの歌唱力、ダンス能力その他を採点された。
結果は無事僕事三花ちゃんの相手が務まると判断されて、とあるデュエット曲を歌いそれを元に歌とピアノの先生が作詞、作曲する様に社長が命じた。
後日、曲が出来上がり僕達夫婦コンビが歌い、初シングルCDが完成した。
夫婦と言う事は秘密にされたが、『みかん』のコンビデビュー曲と言う事で話題性が高く、なんとか売れてヒットした。
ジャケットには僕1人だけ大写しになっているだけで、雄蔵さんは出ていなかった。
その為に、僕のコンビの相手が誰なのかと話題になった。